
帝国データバンクは2026年3月4日、経営層・マネジャー5241人を対象とした「企業の経営課題に関するアンケート(2026年)」の結果を発表した。全31項目のうち、最重要課題として「人材強化」を挙げた企業が90.2%に達し、人手不足が経営の大きなボトルネックとなっている実態が浮き彫りになった。次いで既存顧客との取引深耕や販路開拓が続き、人材確保と売上拡大の両面で課題を抱える企業が多い。
●2026年の経営課題ランキング 「人材強化」が90.2%で首位
全31項目の経営課題のうち、「人材強化(採用、定着、育成)」が90.2%と圧倒的な首位となった。企業規模を問わず「ヒト」の問題が最優先課題となっている。
「組織・人材」カテゴリーでは、賃上げや人事評価制度への対応(57.6%)も上位に入った。特に中小企業では62.6%と高く、人材確保に向けた処遇改善の重要性が高まっている。しかし、小規模企業からは「ハローワークに求人を出しても応募がない」「社員の高齢化が進んでいる」といった切実な声も上がっている。これらの課題に対し、8割を超える企業が「1年以内」の着手が必要と回答しており、即時性が求められている。
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●小規模企業の経営課題は? 6割超が「資金繰り」を懸念
「財務・リスクマネジメント」カテゴリーでは、小規模企業の61.9%が「資金繰り・財務体質の強化」を課題に挙げた。原材料や人件費の高騰、金利変動といった外部環境の変化が、経営基盤の脆弱(ぜいじゃく)な小規模企業を直撃している。
一方、大企業や中堅企業ではコンプライアンスやサイバーセキュリティ、BCP(事業継続計画)の強化が全体平均を大きく上回った。近年相次ぐサイバー攻撃や、政府が2026年度末の開始を目指す「SCS評価制度」の導入を見据え、サプライチェーン全体でのリスク管理を迫られている状況がうかがえる。
●成長戦略ランキング 既存顧客の深耕が66%、販路開拓も6割
成長戦略については、「既存顧客との取引深耕」が66.0%で最も高く、次いで「販路開拓」が60.5%となった。収益安定のために既存の関係を強化しつつ、新たな顧客層の確保に動く企業が増えている。ただし、ここでも「新規事業を担う人材がいない」「営業力がない」といった人材面の課題が障壁となっている。
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設備投資(48.0%)と価格転嫁(47.7%)も拮抗しており、将来の生産性向上と足元のコスト上昇への対応を同時に求められている。特に中堅・中小企業で投資意欲が高い一方で、小規模企業は資金確保の難しさから設備更新を後回しにする傾向が見られた。
●DX・AI活用の実態 大企業と小規模企業で30ポイント差
「業務改革・DX」カテゴリーでは、「業務の標準化」が58.3%で首位となった。属人的な運用を解消し、全社共通のルール作りを急ぐ姿勢が鮮明になっている。
AI活用やDX化については、大企業・中堅企業と小規模企業の間で約30ポイントの格差が生じている。規模が小さいほど人材やノウハウ、資金の不足が壁となり、技術進化のスピードに対応しきれていない現状がある。
調査を通じて、経営課題に取り組むうえでの最大の障壁は「人材の不足」「ノウハウの欠如」「スキルの不足」に集約された。帝国データバンクは、人手不足が深刻化するなかで外部専門機関のリソース活用も有効な打ち手になるとし、自社の強みを生かした事業計画の構築と、実行・改善サイクルの重要性を指摘している。
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