
「iPhone 17e」が3月10日に発売となる。
iPhoneの最もベーシックな機能だけを、一番手頃な価格で提供する「e」シリーズの最新モデルだけに、カメラは超広角や望遠レンズが省かれている。シンプルな1レンズ仕様なので、写真を撮る楽しみは限られる。
とはいえ、新たにMagSafeに対応したり、割り切ったカメラ仕様のおかげで最も美しい背面を持ったり、その背面に春らしい新色ソフトピンクが加わるなど、魅力を大幅に増している。本体色に合わせた新アクセサリーでファッションアイテムとしての楽しみも加わるなど、2026年度の新入学・新生活のシーズンの人気アイテムの1つにもなりそうだ。
●美しさとスペックの両立 逆風下での価格維持は快挙
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新たに発表されたiPhone 17eは、他のiPhoneのような画面の常時点灯には対応せず、しばらく放置すると節電のため画面がオフになる。 それでも、ほとんどの人にはこれで十分で、それどころか潔い1レンズ仕様のおかげにより、背面の見た目はスッキリとして美しい。
これはテクノロジー好きな人には響かないかもしれないが、そうでない多くの人にとって、モノとしての美しさは重要な購入判断の1つだろう。
常に手にしながら持ち歩くスマートフォンの見た目となれば、なおさらだ。
美しい光沢を持つホワイト、マットな美しさのあるブラックどちらも魅力的だが、今回、新たにまるで日本の桜を意識したかのようなソフトピンクが加わった。実際の色はAppleが提供している写真よりもずっと淡く、光の当たり方によっては白くも見えることもあるが、暗い場所では、ほのかなピンクが浮き立ってくる。とても柔和な色合いだ。
前モデルとなる「iPhone 16e」から約1年で順当に登場し、当たり前のようにスペックが進化し、当たり前のように同じ価格を維持したiPhone 17eだが、よく考えると驚くべき点が多い。
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例えばストレージだ。今、世界では深刻なメモリ不足と価格高騰が起きており、同じ容量のメモリが以前の2〜3倍、容量によっては数倍にまで跳ね上がる状況が常態化している(そもそも品切れで入手できないこともある)。しかも、為替市場では円が続落するなど、お手頃価格のiPhoneを作るには逆風が吹きまくっている。
しかし、そのような中で、圧倒的な出荷量を誇るAppleだからこそできる環境変化を吸収する戦略で価格を維持しつつ、基本ストレージを2倍の256GBに引き上げることを含む大幅なスペックアップを行った。
おかげでストレージの残量を心配することなく高精細な写真をたくさん撮影でき、動画のダウンロードやアプリのインストールも余裕を持って行えるようになった。
搭載されたプロセッサは最新世代の「A19」に進化した。例えば写真上の邪魔な物を消し去るクリーンアップ機能などで約38%ほど性能が向上している。iPhone 16eでは新しい通信モデムを採用したことでそのパフォーマンスの問題が指摘されることがあったが、17eは最大2倍速い「C1X」というiPhone Airと同じものを備える。
カメラの仕様も一見従来通りに見えるが、撮影後に写真をポートレートへ変換できるように機能強化された。
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●待望のMagSafe対応 そしてeSIMへ
変更点で何といってもうれしいのは、MagSafeへの対応だろう。iPhone背面に充電器をマグネットで吸着させるMagSafeは、使い勝手が極めて高い人気の機能だ。iPhone 16eは非接触充電(Qi)には対応していたものの、MagSafeには対応していなかった。
MagSafeと引き換えに省かれたのがSIMカードスロットで、iPhone 17eではeSIMと呼ばれるソフトウェアSIMで使うことが前提になる。2025年の秋、eSIMでスマホの移行失敗といったニュースが出たことで、eSIM移行に不安を抱えている人もいるかもしれないが、eSIMは極めて利便性の高い機能で、これから全てのiPhoneで標準になるだろう。
世界中で多くの人が満足して使っているし、今後いずれどこかのタイミングで切り替えなければならないものでもある。iPhone 17eは、その決断を早めてくれる。
なお目立たない変化ではあるが、側面にあったSIMスロットの穴や節目が消え、製品の美しさが少しだけ増すことになった。
●iPhoneをファッションアイテムに昇華させるアクセサリー
ところで、iPhone 17eの大きな“推しポイント”である見た目の美しさに関して、もう1つ無視できない話題がある。この製品をファッションアイテムにまで昇華させる純正アクセサリー「シリコーンケース」と「クロスボディストラップ」の存在だ。
iPhoneをポケットやバッグに収納する代わりに、斜めがけストラップを使ってそのまま体に携帯する人が世界的に増えている。欧米のファッションスナップでも、東京の街中でも、iPhoneがアクセサリーの一部として「見せて」使われるシーンが増えた。
ストラップでスマホを携帯するスタイルは、今や一部のトレンドセッターだけのものではなく、幅広い世代に広がりつつある。Appleはこのトレンドを重視しており、それが2025年に話題となったISSEY MIYAKEとのコラボレーション「iPhone Pocket」にもつながっている。
iPhone 17eでも、このiPhoneをウェアラブルデバイスに変える身に付け方にしっかりと純正品で対応している。7980円のシリコーンケースと、そこに取り付ける別売りのクロスボディストラップ(9980円)を追加購入することで実践できる。
これらの純正アクセサリーの価格は、スマホのアクセサリーとして見ると高価で、現行iPhoneシリーズの中で唯一10万円を切る価格(9万9800円〜)が魅力という人には矛盾した選択に思えるかもしれない。
一方、同じ製品をファッションアイテム、それも世界的ブランド企業の正規品として捉えると、むしろ手頃に見えてくる。
新色ソフトピンクも含め、色合いにはうるさいAppleのデザインチームがしっかりと本体色に合わせて彩色した色使いや、手で触れる部分の触り心地のブラッシュアップ、さらにはストラップの二重になっている部分が磁力でピタッと吸着しヨレを防ぐ仕組み、強い衝撃で引っ張られたときに切れてユーザーを危険から守る作り(しかも、その部分の金具1つまで美しく作り込まれている)――こういったディテールを1つずつ読み解いていくと、十分納得のいく仕上がりになっている。
もちろんアクセサリーは必須ではないので、高価に感じる人には他社のもっと手頃なケースを選ぶのもありだし、逆にケースをつけないのも自由だ。
ちなみに、ケースをつけない場合でも画面を傷から守る「Ceramic Shield 2」を採用しているため、例えばポケットの中に金属の鍵などと一緒に入れていても画面は傷がつきにくい。ただし、「iPhone Air」や「iPhone Pro」シリーズと異なり、背面にはCeramic Shieldがないので、背面は傷つきやすい点は覚えておきたい。
●バッテリーにAI、使い勝手の細部にも
機能面でもう少し補足しよう。
まずはバッテリーだが、こちらもiPhone 16eとほぼ同等の仕様だ。とはいえ、iPhone SE(第3世代)からの移行で1日あたり最大12時間、iPhone 11からでも最大6時間も使用時間が延びる。「夕方には充電器を探し始める」「輝度を落として節電」――そんな生活をしてきた人には、これだけで乗り換えの理由となりえる。
iPhone 16eから、引き続き搭載されているアクションボタンも見逃せない。押すだけでカメラ/フラッシュライト/ボイスメモ/翻訳など好みの機能に一発でアクセスでき、ショートカットアプリと組み合わせれば自分好みの動作も割り当てられる。最近、Xではこのボタンで一発録音を開始する設定が話題になっている。
16eから引き続き、「Apple Intelligence」にも対応する。最新のiOS 26の機能として、知らない番号からかかってきた電話に自動で応答し用件を聞いてテキスト表示する「着信スクリーニング」が追加されたのに加え、コールセンターで延々と保留された後に再びつながったら知らせてくれる「保留アシスト」、カメラを向けるだけで目の前のものを調べられる「ビジュアルインテリジェンス」といった機能も利用可能になる。
最後に、残念に感じた部分にも触れておこう。
人気のMagSafeアクセサリーの1つに、磁石でカチッとくっつく充電スタンドがある。iPhone ProシリーズなどAlways-On Display搭載のiPhoneであれば、充電中に画面が置き時計の代わりになったり、スケジュールや天気予報を表示する「スタンドバイ」という機能が利用できる。
iPhone 17eでも「スタンドバイ」が一瞬表示されるのだが、ディスプレイが常時点灯に対応していないため、しばらく経つと画面が消えてしまい置き時計としては使えないのだ。できれば充電中だけでも常時点灯して、このスタンドバイを使えるようにして欲しかった(採用している画面の仕様上、充電中に画面をオンにしておくと本体が熱くなってしまうという問題があるのかもしれないが)。
なおMagSafeでの充電速度は、前モデルの7.5Wから最大15Wへと倍増しているので、対応充電器を使えばより素早く充電できる。
スペックの進化、MagSafeの実現、ファッションアイテムとしての楽しみ、そしてAIによる新しい体験……。iPhone 17eは、ベーシックという言葉が似合わないほど多くのものを、円安という逆風が吹く日本でこれまで通りの9万9800円という価格で形にした。
桜を連想させる新色のソフトピンクも含め、Appleが日本市場をいかに大事にしているかが感じられる製品だ。
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