「iPad Air(M4)」実機レビュー 「もうProじゃなくてもいい」と思えた性能、だからこそ欲しかったFace ID

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2026年03月09日 22:31  ITmedia Mobile

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3月11日に登場する「iPad Air(M4)」

 プロセッサをM4に刷新した「iPad Air」が、3月11日に発売される。iPad Airが登場するのは、1年ぶり。2025年に登場したiPad AirはM3を搭載しており、プロセッサとしてはちょうど1世代分の進化を果たしている。チップの違いだけで全ては語れないが、あえて単純化すれば、2024年に登場したiPad Pro並みの処理能力を手に入れたモデルといえそうだ。


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 発売に先立ち、短期間ながら筆者はiPad Air(M4)の実機を試用することができた。ここでは、そのファーストインプレッションをお届けしたい。


●外観は先代モデルを踏襲、Touch IDもそのままに


 まずは外観だが、基本的なデザインや本体の寸法などは、全て前世代である「iPad Air(M3)」から据え置かれている。高さ、幅、厚さの数値は全て同じ。Wi-Fiモデルで4g、セルラーモデルで5gほど重量が増しているが、見た目は変わっていない。ディスプレイサイズも据え置きの11型だ。


 その意味では、利点も欠点もそのまま受け継いでいるところが多い。例えば、Apple PencilやMagic Keyboard対応といった拡張性の高さは前世代譲り。一方で、ディスプレイのリフレッシュレートが60Hzだったり、生体認証がFace IDではなくTouch IDだったりといった点も前世代と共通している。


 Face IDがいいかTouch IDがいいかは使い方にもよるが、キーボードを使うことが多いと、前者の方がロック解除がスムーズ。キーボードに指を置いたままキーを押すだけで自然と顔が認証され、ロックが解除されるからだ。普段、Face IDを備えた「iPad Pro(M4)」を活用している筆者は、久々にTouch IDのiPad Airを使ってやはり指を伸ばすのが面倒だと感じた。


 ただし、iPad Airをキーボードなしで純粋なタブレットとして使うときには、Touch IDの方が認証の失敗が少なく、楽に操作できた。Face IDだと本体と顔の距離を一定程度離して正面に向かわなければならないからだ。画面サイズが大きなiPadの場合、顔の位置がズレてしまって認証に失敗することがある。この場合、指を当てるという確実性があるiPad Airの方が成功率は高く、どちらがいいかは使い方によるところも大きい。


 ディスプレイという観点では、iPad Proと比べてベゼルがやや厚い点も気になった。没入感の高さという観点や黒の締まった映像の美しさという観点では、やはりiPad Proに軍配が上がる。とはいえ、iPad Airのそれも気になるほどというわけではなく、あくまで比較の上での話。iPad AirのWi-Fi版は9万8800円からで、iPad Proの16万8800円より7万円も安いことを踏まえると、このぐらいの差は目をつぶれる範囲だ。


●Pro並みの高い処理能力、ヘビーな編集作業もスムーズに


 M4を搭載したことで、処理能力は2024年に発売されたiPad Pro(M4)にかなり近づいている。ただ、近づいているだけで、完全に同じになったわけではない。同じM4でも、仕様に違いがあるからだ。iPad Pro(M4)に搭載されていたM4はCPUが最大9もしくは10コア、GPUが10コアだったのに対し、iPad AirのそれはCPUが8コア、GPUが9コアになっている。


 CPUで1から2コア、GPUで1コアの差分がある。ベンチマークアプリで計測したスコアにも、その違いがしっかり表れている。「Geekbench 6」で計測したiPad Air(M4)のCPUスコアは、シングルコアが3720、マルチコアが1万3303。対するiPad Pro(M4)は、シングルコアが3730、マルチコアが1万3913。コアあたりの性能が出るシングルコアは同等、マルチコアスコアでは600点ほどの差がついた格好だ。


 GPUも同様で、iPad Air(M4)が5万2542点だったのに対し、iPad Pro(M4)は5万6499と、やはり1コア多い分だけ、iPad Proの方が高い数値が出た。差分は3957点で、単純な割り算をしたときの1コアあたりのスコアより差はついていないものの、わずかにiPad Airの方が性能は低い。


 ただし、これでもタブレットとしては十分な数値で、実利用環境では誤差と言っていいレベルだ。また、iPad Air(M4)ではメモリ(RAM)のサイズが12GBになっており、iPad Air(M3)の8GBから4GB増量されている。前モデルではApple Intelligenceの動作に必要な最低容量をクリアしていた格好だが、iPad Air(M4)ではそれを超えて余裕が出ている。


 試しに、AdobeのLightroomで明るさを補正し、HDRをかけ、レンズの色収差とレンズ補正を有効にした補正を120枚、計2GB分の写真に一括適用してみたところ、40秒ほどで作業が完了した。オブジェクトをAIで検出して、顔にかかったマイクを外し、足りない部分を生成AIで補正するという編集も一瞬で終わる。写真の編集程度には十二分のパフォーマンスだ。


 Apple Intelligenceのスピードも、「A19」を搭載したiPhone 17eより高速だった。差が分かりやすいのは「Image Playground」によるイラストの生成で、iPad Air(M4)は写真を選択してワンテンポ置くだけですぐにイラストが出来上がる。同時に写真を選んだiPhone 17eはそこから数秒待つ必要があった。同じ最新デバイス同士でも、やはりM4を搭載しているiPad Air(M4)の方が処理は高速というわけだ。


●PCライクに使うにも十分な性能――だからこそ欲しかったFace ID


 Magic Keyboardを装着して、PCライクに使うことも可能だ。iPad Air(M4)は最初からiPadOS 26が組み込まれており、ほぼ制限のないマルチウィンドウを実現している。11型というサイズの制約ゆえに、あまりにもたくさんのアプリを開くと見づらくなってしまうが、人の話を録音しつつ、メモを取りながらブラウジングして、さらにその一部をXにポストするといったことも容易にできる。


 しかも、そのパワーゆえに、複数のアプリを同時に立ち上げていても特に動作が重くなるようなことはない。それでもOSの基礎的な設計がmacOSなどのPC用OSとは異なるため、デスクトップに必要なファイルを広げて一括でそれをアプリで開いて編集するといったことは難しいが、ある程度までならPCを代替できる。


 筆者はiPad Pro(M4)でも同様の使い方をしているが、出先で原稿を書き、写真を編集して編集部に送るといった使い方であれば、iPad Air(M4)でも同様のことはこなせる。むしろ、その程度であれば、iPad Proである必要すらなく、10万円を下回るiPad Airで十分といえる。iPad Air(M4)を使っていると、「もういい加減、Proじゃなくてもいいのでは」といった思いがよぎってきた。今のiPad ProがM4なので、無理に乗り換える必要もないのだが……。


 もう1つ、前モデルまでとの違いとして挙げられるのが、セルラー版のモデムが自社製の「C1X」に代わったことだろう。ただし、対応バンドは同じで、日本で主流のものはカバーしている。iPhone 17eで非対応だった4GのBand 21もカバーしており、この周波数帯を使うドコモでの利用も問題なさそうだ。同じC1XでもiPad AirとiPhone 17eで対応バンドに違いがあるのは、アンテナ設計や出荷地域のくくりなど、モデム以外の要素に違いがあるといえそうだ。


 C1Xは省電力といわれているものの、利用期間が短く、かつ現在使用中のiPad Pro(M4)のバッテリー最大容量が減っていることもあり、正直なところ現時点では大きな違いは感じていない。スペック的にも、モバイルネットワークでのインターネット利用が最大9時間となっており、iPad Air(M4)とは差がない。バッテリー使用量はモデム以外の要素も大きくなるため、トータルで電池の持ちが向上したというわけではなさそうだ。


 ここまで処理能力が上がってくると、一般的なユースケースのほとんどはiPad Airで十分カバーできる。あえて、高いProを選ぶ人は相当限られてくるだろう。ただ、だからこそ利用頻度の高い生体認証はFace IDに対応してほしかったというのが正直な気持ちになる。リフレッシュレートやベゼル幅での差分はいいが、使い勝手に大きな違いが出てくるだけに、次機種ではぜひFace IDへの対応を検討してほしいと感じた。


(製品協力:アップルジャパン)



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