ウーバーイーツ配達の現場で「WBC特需」は起きたのか?【チャリンコ爆走配達日誌】

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2026年03月19日 07:10  週プレNEWS

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「WBC特需」でひと稼ぎしようと、東京ドームで試合が行なわれた期間に配達してみました


「WBC特需」でひと稼ぎしようと、東京ドームで試合が行なわれた期間に配達してみました

連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第142回

ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

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3月18日に幕を閉じた野球の国際大会・ワールドベースボールクラシック(WBC)で日本は準々決勝でベネズエラに敗れるという結果となりました。

この大会の生中継はテレビで行なわれず、試合後に放送されるスポーツニュースでも権利の関係で試合のダイジェスト放送に制限がかけられるなど、さまざまな制約がありました。とはいえ、多くの方がネットの有料配信を見ていたことや、大谷選手などメジャーリーグに所属する日本人選手が大活躍したことで大いに盛り上がりました。

WBCやオリンピックなど大きなスポーツイベントは、みんなでワイワイ盛り上がりながら鑑賞するもの。そのようなみんなで楽しむ場所には、フードデリバリーで頼んだ料理がたくさん並ぶのがつきもの。そんなわけで「WBC特需」でひと稼ぎしようと、東京ドームで試合が行なわれた期間に配達してみました。

侍ジャパンこと日本代表チームの初戦は3月6日のチャイニーズ・タイペイ戦。試合開始が19時だったので、1時間半前の17時30分に配達員用のアプリを起動しました。ですが、最初に入ってきたのは近くのスーパーマーケットからのピック・パック・ペイ(買い物代行)の依頼。試合30分前の18時30分頃から料理の配達依頼が入り始め、鈴木誠也選手の地元である東京都荒川区を中心に配達しました。

ところが、もくろんでいた「みんなでワイワイ鑑賞する」場所への配達はなく(もしかしたら置き配で配達した可能性はありますが)、ラーメンや牛丼を単身者の多いアパートへ運ぶケースがほとんど。ホームパーティで定番のピザやチキン、すしといったものは一度も運ぶことなく試合が終了。配達による収入は5913円、チップ122円。トータル6035円の稼ぎでした。

2戦目(3月7日)は韓国戦。前日のことを考慮して18時20分にアプリを起動。すると、サムギョプサル、チヂミ、ビビンバ、チャプチェ、ヤンニョムチキンなどなど、韓国料理の配達依頼が立て続けてきました。

配達先を見ると、韓国の方と思われる名前があったり、商品を受け渡す際に野球中継の音声が聞こえてきたりと、「これは間違いなくWBC特需でしょう」と言えるような配達が続きました。韓国の方だけでなく、日本の方と思われる名前の方も韓国料理を注文される方が多かったので「韓国のものを食べて勝つ」というゲン担ぎをしている方もいたのかもしれません。

ただ、この日もパーティの定番料理の配達はゼロ。どの配達先も1、2人前の料理を運ぶといった感じでした。この日の配達による収入は7349円、チップなどの配達外収入は0円でした。

3戦目(3月8日)はオーストラリア戦。この日、野球ではおよそ60年ぶりとなる天覧試合の実施とのことで東京ドームは盛り上がりそうな雰囲気ですが、試合前の時点で日本の準々決勝進出が確定していたので、ワイワイ観戦する人は少なそうです。

この日もアプリを立ち上げたのは18時20分頃。早速入ってきたのは、ミニスーパー「まいばすけっと」からの買い物代行。その後も買い物代行が立て続けに入りました。注文は缶ビールや缶チューハイで、届け先が単身の男性の方というケースが多く、おそらくひとりでWBCを見ながらお酒を楽しんでいると思われるのでWBC特需とは言えるのですが、予想した感じとは違います。その後も「マルエツ」などのスーパーからの依頼など、この日は買い物代行依頼ばかり。

そして試合終盤の21時、ようやく「ドミノ・ピザ」からLサイズピザ3枚の配達依頼が。3戦目にしてようやく観戦パーティ会場へ運べると思い、配達先を見ると都内のホテルの住所。商品受け渡し先のロビーにいたのは、野球にはあまり興味がなさそうな、明らかにディズニーランド帰りと思われる、まだミッキーのカチューシャをつけたままの外国の方でした。この日は配達依頼の数も少なく、試合終了時点での稼ぎは配達による収入が5252円、所定の配達回数をクリアするともらえる特別報酬が3200円でした。

日本代表の予選グループの順位も確定したので3月10日のチェコ戦は配達を行ないませんでした。準々決勝以降はアメリカでの開催となり、試合開始時間は準々決勝が3月15日の朝10時といい時間でしたが、別件の仕事があり配達できませんでした。

配達した3試合のトータルの稼ぎは、特別報酬やチップ込みで2万1836円。アプリを起動していた時間は13時間7分。時給換算すると1664円とまあまあな数字ですが、1月30日と1月31日に配達した時のデータを見るとアプリを起動時間は10時間54分で稼ぎが1万9866円、時給換算すると1823円。なので、2日目に「WBC需要」を感じる瞬間はありましたが「特需」とまでは言えなかったというのが結論です。

後日調べて分かったのですが、今回独占配信したNetflixはスポーツバーなど、たくさんの人が集まる場で映像を流す商用利用を認めていなかったとのこと。そういった事情から、みんなでWBCを観戦しようという空気ができ上がらず、観戦パーティが行われなかったのでしょう。商品を受け渡す際、どの配達先もひとりかふたりで見ているような感じがしたのは、おそらくこういったネット配信の事情によるものなのでしょうね。

文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明

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