06年の高松宮記念はオレハマッテルゼが制した(06年3月撮影、ユーザー提供:ショウナンナンバーさん) 昨年3月に惜しまれながら定年となった音無秀孝調教師。数々の名馬を送り出した名伯楽だが、そのGI初制覇は意外に遅かった。開業11年目を迎えた06年の高松宮記念。オレハマッテルゼと共に悲願のビッグタイトルを射止めた一戦を振り返る。
この年の電撃戦に絶対的な主役は不在だった。1番人気は前年のCBC賞を制したシンボリグラン。2番人気にGI・2勝のラインクラフトが続き、シーイズトウショウ、そしてオレハマッテルゼまでの4頭が単勝10倍以内の支持を受けていた。
レースは伏兵のギャラントアローがハナを奪った。好位にシーイズトウショウ、それを見る形でラインクラフトとオレハマッテルゼが牙を研ぐ。シンボリグランは序盤で流れに乗れず、かなり後ろからとなってしまった。前半600mは33秒7。GIにしてはゆったりした流れで勝負所に向かった。そして直線。内を突いたプリサイスマシーンが前に出るが、それを瞬時に飲み込んだのがオレハマッテルゼだった。柴田善臣騎手の叱咤に応えて残り100mで先頭に立つと、外から猛追するラインクラフトをクビ差封じ込めてゴール。個性的な名前のサンデーサイレンス産駒が、音無調教師と人馬揃ってのGI初制覇を果たしたのだ。
この勝利にはまだドラマがあった。オーナーの小田切有一氏は、音無調教師が騎手時代にGIを制したノアノハコブネの馬主でもあったのだ。恩人ともいえるオーナーとつかんだ待望のビッグタイトル。検量室前に溢れた関係者の笑顔は、格別の輝きを放っていた。