“推し友”グループLINEで悪者にされたことも……。追っかけ歴7年、58歳女性の「推し活事情」

0

2026年03月25日 22:10  All About

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

All About

ある声優のファンになり、地方への追っかけもしていたという58歳女性。SNSを通じてファン同士でつながり、推し活を楽しんでいた。だが、最近はライブ会場などで推し友に会うのが嫌になってきたという。その理由とは。※サムネイル画像:PIXTA
老若男女問わず、「推し活」が流行している。誰かを好きになって日常生活に活気が出たというプラスな面もありつつ、中には「ファン同士の諍い」に疲れてそっと距離を置く人たちもいる。

とある声優のファンになって

「7年ほど前から、とある声優さんのファンになり、一時期は地方への追っかけもしていました。その後、コロナ禍で追っかけもできなくなりましたが、またできるようになったときはファン同士で泣きましたよ。あのころは楽しかった」

ふうっとため息をつくシオリさん(58歳)。推し活をしていると、同好の士と知り合える。相手がどこの誰かも分からないが、同じ人を応援するというただ一点でつながれる稀有な存在だ。

「必要以上に相手の私生活には踏みこまず、でもSNSなどでつながって情報のやりとりをし、抜け駆けはしない。そんなゆるいルールがありましたね。でもこのところの推し活ブームに乗って、新たなファンが増えた。それは当事者にはいいことだし、みんなで応援できればいいよねと話していたんですが、抜け駆けする人たちが多くなってきて」

例えばその声優が地方へ行くと、どのホテルに泊まるのか情報が行き交う。自分が泊まるホテルと違っている場合は、声優が泊まるとされるホテルの周りをうろうろしたり、片っ端からホテルをチェックしたりする。

悪口合戦が始まることも

「その人にもプライバシーがありますからね、古参のファンは放っておいてあげればいいのにと言っているけど、『突撃した方がトクよね』と言い切っているグループもいる。握手会などになるともっと大変。手の握り方が強かっただの、私より時間が長かっただのと悪口合戦が始まることも。声優さん本人にはとても迷惑だと思います」

プレゼントもエスカレートする。中には宝石を贈ったとうわさされている人もいた。どうやらそれはうそ情報だったのだが、目立ちたい一部のファンが、別のファンを陥れようとしたらしい。

「醜い争いですよね。そもそもはその声優さんを応援したいというだけなのに、みんな自分を認識してほしい、自分だけがもっと近づきたいという方向にシフトしていく。彼に一目置かれたい気持ちは分かりますが、ライブのときも並んでもいないのにするするといつの間にか最前列にいる人とか、ライブ会場に知り合いがいるのか脇から入っていく人など、いろいろな状況を目撃しました」

なんだか推し活に疲れてきた。1年ほど前からそう感じていた。

距離を置く決意

決定的なことが起こったのは昨年の暮れのこと。

「彼のライブがあったとき、ファン同士のもめごとが起こったんです。最初は会場でAさんとBさんが押したの押されたのという話だったんですが、その後、ファン同士の間でそれが問題になった。ただ、それを中立的に裁く人がいるわけではないので、陰での悪口合戦になって。

グループで話していたLINEの内容が他のグループに伝わって、それをまたお節介な人がAさんとBさんに伝えたりして……。結果、私たち古参ファンのせいみたいになっていったんです」

どこからどういう情報が伝わったのかは分からない。伝言ゲームのようなものだから、うわさと中傷だけが肥大化していった。中でもシオリさんが一番悪いと特定するようなメッセージもあふれた。

「私は無関係なんですけどね。その人のことは応援したいし、ずっとファンでいたかったけど、ライブなどで他のファンに会うのが嫌になってしまった。気にすることないよと言ってくれる人もいたけど、つらい思いを抱えてわざわざライブに行く必要もないんじゃないかと……。そんなふうに思っていたとき、ちょうど近くに住む実母が転倒して骨折、看病をしなければならなくなった。いい機会なのかなと思いました」

私なりの応援を続けていく

これからおそらく介護が待っている。彼の歌を聴きながら、実生活を充実させていった方がいいのだろうとシオリさんは判断した。

「推し活やめるわと言ったら、黙って協力してくれていた夫が『また、やりたくなったらやればいいさ』と。そういう考え方もあるなと思いました。私は私なりの応援を続けていけばいい。ファンの中で目立ちたいとか承認欲求を満たしたいとか、妙なことを考えずに静かに応援を続けていく。そんなファンがいてもいいんじゃないかと今は思っています」

推し活の中で嫌な思いをしたという声は少なくない。どこへでも行き、いつでも声援を届けることができる人もいれば、ひそかにグッズなどを買って自宅で応援している人もいる。そこに「ファンとしての優劣はない」とシオリさんは自分に言い聞かせているという。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

    話題数ランキング

    一覧へ

    前日のランキングへ

    ニュース設定