初勝利が重賞の調教師とドバイワールドカップデー/島田明宏

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2026年03月26日 21:00  netkeiba

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▲作家の島田明宏さん
【島田明宏(作家)=コラム『熱視点』】

 先週の土曜日、3月21日に行われたフラワーカップで原優介騎手が騎乗したスマートプリエールが優勝。馬にとっても、デビュー7年目、25歳の原騎手にとっても、嬉しい重賞初制覇となった。

 原騎手は、「コビさん」こと小桧山悟元調教師に拾われるような形で“再生”し、コビさんの弟子の小手川準調教師が管理していたウィルソンテソーロで国内外のGIに臨み、今は、同じくコビさんの弟子の青木孝文厩舎に所属している。時間はかかったが、違う景色を見たことによって、さらに自分を磨いていく力を得たはずだ。これからも、大胆な騎乗を楽しみにしている。

 そして、日曜日の愛知杯では、幸英明騎手が乗り、橋田宜長調教師が管理するアイサンサンが優勝。幸騎手は、昨秋の落馬事故から先月復帰したばかりで、これが復帰後初の重賞勝ち。しかも、50歳になって、節目のJRA重賞50勝目という記念すべき一戦となった。アイサンサンは、彼の手綱で2021年のエリザベス女王杯を制したアカイイトの全妹で、馬主も同じ岡浩二氏だ。「競馬の神様」が用意してくれたドラマは感動的だった。

 忘れられない一戦になったという意味では、橋田調教師にとっても同じだろう。今月開業したばかりの同調教師にとって、歴代2位のスピード記録となる開業19日目での重賞制覇となった。何と、これが開業初勝利でもあった。昨年引退した音無秀孝元調教師も、開業初勝利を重賞制覇で飾っている。1995年7月23日の北九州記念をイナズマタカオーで勝った。ただ、こちらは日迫良一厩舎時代にも重賞(中日スポーツ賞4歳ステークス)を勝っていたが、アイサンサンはこれが重賞初勝利だった。ゴール前では外の馬にかわされそうになりながらも素晴らしい二の脚を使った。これからも楽しみだ。

 橋田調教師は、現役の調教師でただひとり、私と出身大学と学部も学科も同じで、おそらく過去にもいなかったと思う。学部と学科の枠を早稲田大学全体にまでひろげても、私の知る限り、現役では理工学部を出た美浦の池上昌和調教師がいるだけだ。競馬マスコミや、出版関係者は早稲田だらけなのだが、ともかく、調教助手時代から知っている2人の早大OBがともに重賞を勝ったことが、個人的にとても嬉しい。

 愛知杯の30分後に行われた阪神大賞典では武豊騎手のアドマイヤテラが勝ち、武騎手にとってデビューした1987年から40年連続の重賞制覇となった。

 幅広い世代のホースマンが、それぞれの到達点を見せてくれた週末だった。

 さて、今週末、現地時間3月28日、土曜日、ドバイワールドカップデーが予定どおり開催されるようだ。

 今回の中東での紛争が勃発する前から、ドバイのメイダン競馬場には、サウジアラビアで走った6頭の日本馬が滞在していた。フォーエバーヤング、アメリカンステージ、ワンダーディーン、ケイアイアギト、シンフォーエバー、ルクソールカフェである。

 そのうち、ケイアイアギト、シンフォーエバー、ルクソールカフェの3頭が、情勢の変化を受けて、3月17日の午前、帰国した。

 これらと入れ替わるように、ガイアフォース、ルガル、パイロマンサーの3頭が3月18日の午前に日本を経ち、同日の夜、メイダン競馬場に到着した。

 外務省が3月5日にUAE(アラブ首長国連邦)の危険情報レベルをレベル3の渡航中止勧告に引き上げたあとの出国だったため、参議院農林水産委員会でも取り上げられ、鈴木憲和農林水産大臣が、JRA同様、関係者に対して何らかのペナルティーを科すことはない、と答弁した。勧告なので、そもそもペナルティーを云々すべきかどうかの議論はさておき、より注目される結果となった。

 競馬は、レース自体がつねに無事を願って見守るものだけに、それに重ねて、ということになるのだが、健闘を祈ると同時に、無事に戻ってくることを願うしかない。

 本稿が公開される翌日、3月27日に日本のプロ野球が開幕する。私はずっと巨人ファンだったのだが、今は巨人を「我が軍」と呼ぶのをやめている。メジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースのほうが好きになったことに加え、巨人が、ユニフォームの背番号の上の選手名をなくすという、わけのわからないことを始めたからだ。高校野球の原点に戻ったのか、ニューヨーク・ヤンキースのマネなのか知らないが、ろくに顔の売れていない選手たちにやらせるとわかりづらいし、見苦しいだけだ。あれをやめ、巨人は特別だという甚だしい勘違いを彼らが捨てるまで、私は巨人ファンの長期休養をつづけるつもりだ。

 メジャーリーグは日本時間の26日に開幕し、ドジャースの今季初戦は27日の午前9時半に始まる。

 日本時間28日夜から29日未明にかけてのドバイワールドカップデーは、日本で馬券は売られないものの、グリーンチャンネルで生中継されるという。

 今年は、日本が東日本大震災に打ちひしがれていたときにヴィクトワールピサがドバイワールドカップ初制覇を果たした2011年と逆のような状況だが、6頭の日本馬の元気な姿を見るのを楽しみにしている。

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