【堂本光一 コンマ一秒の恍惚Web】ホンダにはアップデートがうまくいっていることを母国で見せてほしい!

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2026年03月27日 08:20  週プレNEWS

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「F1はドライバーが0.1秒、0.01秒を削るために、マシンやコースの限界を攻めるレースであってほしい」(堂本光一)


「F1はドライバーが0.1秒、0.01秒を削るために、マシンやコースの限界を攻めるレースであってほしい」(堂本光一)

連載【堂本光一 コンマ一秒の恍惚Web】RACE46

電動モーターとエンジンの出力がほぼ同じ比率になるなど、電気エネルギーがより重要となる新レギュレーションが導入された2026年シーズンがついに開幕した。

初戦のオーストラリアGPと第2戦の中国GPはメルセデスが連続でワンツー・フィニッシュを達成。ライバルを圧倒する強さを見せつけた。

アストンマーティンと組み、5年振りにワークス復帰を果たしたホンダは苦戦が続く。オフのテストからマシントラブルに悩まされていたが、シーズンに入っても問題は解決されず、開幕2戦は完走もままならない状況に陥っている。

今週末(3月27日〜30日)には鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で日本GPが開催されるが、果たしてホンダは母国で復活の走りを披露できるのか?

【写真】F1参戦2シーズン目にして初優勝を達成したアントネッリ

* * *

【昔からのファンを置き去りにしている】

開幕からの2戦を見ましたが、新レギュレーションのF1は好きになれません。ドライバーが電気エネルギーを回生するために高速コーナーの手前でアクセルを抜いて、コーナーを全開で攻められない。

オーバーテイクに関してもブレーキを限界ギリギリまで突っ込んで、ドライバーが不安定なマシンをコントロールしながら抜いていくという純粋なテクニックを発揮する機会もありません。コーナーの出口ではクロスラインをとっての抜きつ抜かれつの攻防はありますが、電気エネルギーによって操作されているように見えてしまう。

それが新しい時代のF1の姿なんだよと言われたらそれまでなのですが、果たしてこれはスポーツなのかと疑問に感じてしまう。

F1はドライバーが0.1秒、0.01秒を削るために、マシンやコースの限界を攻めるレースであってほしい。F1というスポーツが誕生したときから、常にスピードの限界を求めて進化してきたと僕は思います。

でも新レギュレーションでは、ドライバーがコースとマシン性能の限界を突き詰め、バトルを繰り広げるのではなく、電気エネルギーの効率化の限界を突き詰めるというレースなんですよね。で、電気がなくなったらポジションを落としていくという、ゲームっぽいレースになっています。

初めてF1を見た方やレギュレーション変更のことをよくわからない方たちにとっては「追い抜きがいっぱいあって、すごく面白いね」と感じるかもしれません。でも前回も触れましたが、電気エネルギーを効率よく使って走る、ということばかりがクローズアップされ、昔からのファンを置き去りにしているように感じます。

もちろんシーズンはまだ2戦が終わったばかりで、様子を見ていく必要はありますが、スポーツとしてのレースをもっと見たいと僕は率直に思っています。

【フェラーリ同士のバトルは面白かった!】

新レギュレーションに合わせて、もっともうまくマシンを開発してきたのはメルセデスです。開幕戦のオーストラリアと第2戦の中国ではワンツー・フィニッシュを飾りましたが、メルセデスのレースペースはライバルを圧倒しています。

彼らの強さの秘訣はPUの性能ですが、まだまだパワーを隠し持っていそうです。それはフェラーリ陣営もよくわかっているんじゃないでしょうか。ルイス・ハミルトン選手は第2戦の中国GPで3位に入り、フェラーリ移籍後初の表彰台を喜んでいましたが、「メルセデスとパワーの差があり過ぎる」とコメントしていました。

でもハミルトン選手は開幕から元気な走りをしているので、これからのシーズンがすごく楽しみ。レギュレーション変更でマシンが軽くなって、俊敏性が増したことがハミルトン選手のドライビングスタイルに合っているんでしょうね。

マシンをねじ伏せながら走らせるという、ハミルトン選手ならではアグレッシブなドライビングが光っていますが、ルクレール選手も冷静でうまいですよね。どんなときでも落ち着いた走りができるのが彼のよさです。

ただ中国GPではスプリントと決勝の両方でフェラーリの2台が激しくポジションを争って、結果的にメルセデスを助けるような形になってしまいましたね。ハミルトン選手とルクレール選手の激しい攻防戦はフェラーリファンとしてはかなりハラハラでしたが、同時にすごくワクワクしました。

電気エネルギーのマネジメント部分は置いておいて、マシンが軽量コンパクトになったことでバトルや追い抜きが増えたことに関しては、いい方向に向かっているなと思いました。

【アントネッリの初優勝に感激】

第2戦中国GPは、19歳のキミ・アントネッリ選手がポール・トゥ・ウインを達成し、F1参戦2シーズン目で自身にとって初勝利を飾りました。レース後の記者会見で涙を流す姿を見て、なんだか「お父さん」のような気持ちになりましたね(笑)。

このままアントネッリ選手がチャンピオン争いに加わってほしい。開幕戦と中国GPのスプリントを制した28歳のジョージ・ラッセル選手も調子が良さそうですが、アントネッリ選手が新時代のF1でチャンピオンになる姿を見てみたい。


史上最年少の19歳6ヵ月17日でポールポジションを獲得したアントネッリ(中央)。そのまま決勝レースを制し、F1参戦2シーズン目にして自身初優勝を達成した。開幕戦から元気な走りを披露し続ける41歳のハミルトン(右)。通算7度の世界チャンピオンは中国GPでは3位に入り、フェラーリ移籍後初の表彰台に上がった

その一方で、マックス・フェルスタッペン選手がドライブするレッドブルのマシンは乗りやすそうに見えますが、メルセデスやフェラーリにはやや遅れをとっている印象です。むしろ中団グループのレーシングブルズとタイム差がほとんどないという状況です。

レッドブルは今年からフォードと提携し、初めて自社製のPUを搭載したマシンで戦っています。それを考えると、自社製のPU初年度でここまで走れるというのはすごいことだと思います。

それとは対照的にアストンマーティン・ホンダの低迷には驚いています。開幕前にホンダのPU開発責任者を務める角田哲史(かくだ・てつし)さんにインタビューさせていただきましたが、信頼性不足でまともに走れないような状況になるとは......。

期待が膨らんでいただけに、ショックも大きいです。アストンマーティンの2026年型マシン「AMR26」を見たとき、エイドリアン・ニューウェイ氏が手掛けるマシンのデザインに衝撃を受けました。細部まで工夫が凝らされていて、「カッコいい、これは速そうだな」と感じました。

しかし、開幕前のテストからPUの異常振動に悩まされてまともに走ることはできず、その後も、中国GPではフェルナンド・アロンソ選手が「激しい振動によって手足の感覚がなくなった」ということでリタイアを喫しています。

【鈴鹿の高速バトルは見逃せない!】

情報を見る限り、異常振動の原因をアストンマーティン・ホンダはまだ把握し切れていないようですが、早く挽回してほしいと願うしかありません。

こうした開幕からの結果を見ると、F1はいかに「継続して戦う」ことが大事なのかと改めて感じます。フタを開けてみると、フェラーリ、メルセデス、レッドブル、マクラーレンが上位に入り、ずっと参戦しているチームがやっぱり強い。古豪のウイリアムズはちょっと出遅れていますが。

今週末には鈴鹿サーキットで日本GPが開催されますが、ホンダにとって母国GPは正念場になります。まずはファンの前でレースを最後まで走り切り、アップデートがうまく進んでいることを見せてほしい。

今回の日本GPはいろんなドラマが起こりそうな気がします。開幕の2戦でもいきなりスタートできないマシンが出たり、PUのトラブルでリタイアしたりと、何が起こるのかわからないという展開になっています。特にスタートは注目です。

あとは鈴鹿ならではハイスピードコーナー、1〜2コーナーやS字、130Rで新しいマシンがどんな走りをするのかは、すごく楽しみ。オーバーテイクは増えると思いますが、特に1コーナー、へアピン、シケインのバトルは熱くなりそうです!

☆取材こぼれ話☆

中東情勢の悪化により、4月に開催予定だった第4戦バーレーンGPと第5戦サウジアラビアGPが中止となった。第3戦の日本GP(決勝3月29日)のあとには約1ヵ月間のインターバルを挟み、第6戦マイアミGP(決勝5月3日)が開催される予定だ。

「中東での2レースの中止はとても残念です。日本GPのあと、5週間もイベントが開催されないので、7月から8月にかけての夏休み(4週間)よりもインターバルが長いことになります。

スポーツやエンターテイメントは「平和」でないとできないということですよね。新レギュレーションの戦いがどうだとかいろいろとグチってしまいましたが、平和な生活を享受できているからこそ、レースを楽しむことができるんですよね。

戦争や災害が起こったら、スポーツやエンタメを楽しむことなんてできません。改めて平和の大切さに気がつかされます」

スタイリング/渡邊奈央(Creative GUILD) ヘア&メイク/大平真輝 衣装協力/tk.TAKEO KIKUCHI THE BOLDMAN/株式会社シビア

構成/川原田 剛 撮影/樋口 涼(堂本氏) 写真/桜井淳雄

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