
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
――上半期の「スプリント王決定戦」GI高松宮記念(中京・芝1200m)が3月29日に行なわれます。大西さんは現役時代、2005年にカルストンライトオで参戦されています。
大西直宏(以下、大西)当日の馬場は「良馬場」発表でしたが、冬場から使い込まれてきた影響もあって、芝コースの内側はかなり掘れてコンディションは決してよくありませんでした。
カルストンライトオは好スタートから内の3〜4頭分を開けて逃げましたが、直線に向く頃には手応えがひと息。追ってから伸びるタイプではないので、その時点で大敗も覚悟しました。しかし、思いのほか最後まで踏ん張ってくれて、勝ったアドマイヤマックスからコンマ5秒差の4着と健闘してくれました。
――カルストンライトオは、その前年に不良馬場のGIスプリンターズS(中山・芝1200m)で鮮やかな逃げきり勝ちを収めていますが、同じ"荒れ馬場"でも状況が異なると勝手が違うのでしょうか。
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大西 そうですね。スプリンターズSのときは直前のドシャ降りによって、コースのどこを通っても大差はなく、(最後の直線も)「他の馬が差してはこられないだろう」といった極端な馬場状態でした。
一方、高松宮記念ではハナを切れたものの、傷んだ内を避けたかったので、どうしてもロスの多い運びになってしまいました。その分、最後に決め手のある馬たちとの差が出てしまったように思います。
――馬場状態については、「良馬場」「重馬場」という公式発表だけでは推し量れない面もあるのですね。さて、今年の出走メンバーについて、率直な印象を聞かせてください。
大西 昨年の1〜3着馬が顔をそろえ、この路線のトップクラスがほぼ集結したと言えるのではないでしょうか。馬券的にも非常に面白い一戦になりそうですね。
――現時点で大西さんが中心視している馬を教えてください。
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大西 一昨年、昨年とこの路線で「◎(本命)」を打ち続けてきた、ナムラクレア(牝7歳)です。今回はラストランということですし、応援の意味も込めて期待しています。
7歳になったとはいえ、衰えはまったく感じられませんし、本当に頭が下がる思いです。最後にまた、長く主戦を務めていた浜中俊騎手とコンビを組むというのも感慨深いですし、運命的なめぐり合わせを感じます。
昨年の覇者で、クリストフ・ルメール騎手とタッグを組むサトノレーヴ(牡7歳)は強敵ですが、ここ数戦より少し前、道中7〜8番手あたりで運ぶ形になれば、悲願達成も夢ではないと思っています。
――昨年の上位馬が今年も中心になる、という見立てですね。では、それら有力馬を脅かすような伏兵候補はいますでしょうか。
大西 配当的な妙味はそれほど期待できないかもしれませんが、パンジャタワー(牡4歳)に注目しています。
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――昨春のGINHKマイルC(東京・芝1600m)の覇者で、秋には海外のレースで善戦を重ねてきました。
大西 海外遠征では勝ち星を挙げるまでには至りませんでしたが、すばらしい経験ができたはず。まだ4歳馬で、伸びしろが豊富なのは魅力です。
マイルのGI馬ですが、本来は1200m〜1400m戦のほうが決め手や爆発力を発揮できるタイプと見ています。スプリント路線において、間違いなく次世代の担い手になる器だと思いますし、ここで一気に世代交代を果たしても驚けません。
――世代交代を果たすには、どういった展開になるのがいいのでしょうか。
大西 パンジャタワーは道中で脚をタメて差す競馬が板についてきて、成績も安定してきました。それからすると、やはり前がやり合ってペースが流れる展開が理想的です。
昨秋のスプリンターズSでワンツーを決めた(逃げ・先行馬の)ウインカーネリアン(牡9歳)とジューンブレア(牝5歳)がいて、ブリンカー着用で逃げ宣言しているインビンシブルパパ(牡5歳)や、快速馬ピューロマジック(牝5歳)もいることを考えると、前半のラップが落ちつくことはないでしょう。
さらに、今年の高松宮記念は厳しい力勝負になる公算が高いです。激戦になるほど強さを発揮し、左回りを得意とするパンジャタワーにとって、好走のお膳立ては整っています。ということで、今回の「ヒモ穴」には同馬を指名したいと思います。

