ブラジルのトウモロコシ畑=3日、南部リオグランデドスル州(AFP時事) 【ニューヨーク時事】イランが輸送の要衝ホルムズ海峡を事実上封鎖した影響で、肥料の供給に支障が生じている。ペルシャ湾岸地域はエネルギーだけでなく、肥料の主要産地でもあるためだ。米イスラエルがイラン攻撃を開始した2月28日以降、国際的な肥料価格は急上昇。紛争が長期化すれば、食品価格の押し上げを招き、輸入頼みの国に打撃を及ぼす恐れがある。
サウジアラビアやカタールには豊富な天然ガス資源を使って窒素肥料を生産する一大拠点がある。国際穀物理事会(IGC)によれば、湾岸地域は世界の尿素輸出量の約35%、アンモニアでは最大30%を占める。日本は中東産への依存度が低いものの、穀物輸出大国のブラジルやインドは肥料を多く輸入している。
紛争による海上輸送の混乱を受けて窒素肥料の価格は高騰している。英調査会社プロファーシーが世界の主要な肥料価格を用いて算出する「世界窒素指数」は今月26日、2022年9月以来の高水準に達した。
肥料価格高騰は世界各地の農家経営に深刻な影響を及ぼしかねない。肥料の使用を減らせば収穫量の縮小につながるためだ。穀物価格の国際指標となる米シカゴ商品取引所のトウモロコシ先物相場は今月上旬、対イラン攻撃開始前に比べ6%上昇した。輸送コスト高も、農産物や食品の値上がり要因となる。
国連食糧農業機関(FAO)チーフエコノミストのマッシモ・トレロ氏は「主要農産物の価格が今後も上昇すると予想されている」と指摘。紛争が長引けば需給が逼迫(ひっぱく)し、途上国の食料安全保障を脅かす事態を懸念している。