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<広島1−0中日>◇29日◇マツダスタジアム
先発転向初戦の広島栗林良吏投手(29)が準完全試合を達成した。中日3回戦(マツダスタジアム)でプロ初先発し、9回をわずか95球で投げ抜く「マダックス」達成となった。許した走者は安打による1人だけ。打者28人で片付けた。昨季まで登板271試合すべて中継ぎで通算134セーブを挙げていた守護神が、先発としてチームを4年ぶりの開幕3連勝に導いた。
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9回、ドジャース・ディアス守護神の登場曲「NARCO」が流れる中、栗林はマウンドにかけて行った。自身も抑えのときに使用していた曲。ファンの大きな拍手とともに、ギアをさらに上げる力となった。1点差の9回2死。28人目の打者、板山をフォークで空を切らせると、マウンド上で力強く右拳を握り、勝利の雄たけびを上げた。
「あの曲を流すのがひとつの目標だった。流しただけじゃなく、そのまま自分が守り切ることができて良かった」
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本拠地のまっさらなマウンドに上がった。左足を大きく上げるフォームに戻し、投球スタイルも変えた。直球を中心に押すスタイルから変化球を有効に使った。空振りを狙うだけではなく、カウント球や裏をかくアクセントとなった。3回まで奪った3三振はいずれも見逃しだ。広島の先発右腕が得意とする左打者の外角カットボールでカウントを取り、新たに習得したスライダーでも惑わせた。
7回まで1人の走者も出さず、大記録達成への期待が高まる8回。先頭細川を詰まらせた打球は右中間手前に落ちた。大きなため息に包まれる中、マウンド上の栗林の心は動かなかった。「何年も先発している投手だったら、ガックリ来るところだったかもしれないですけど、僕は初登板。そこに対する思いは別になかったので。ただ“ノーアウトの走者を出しちゃった”という気持ちだけでした」。この日初めてのセットポジションも、登板間に課題として取り組んできたことで技術的なブレも生じなかった。
人知れず不安とも闘いながらも「完投型」を目指した。初登板でいきなり9回95球1安打無失点での“マダックス”。新井監督は「すごいとしか言いようがない。もともと先発ができる要素を備えた選手だと思っていたんですけど、まさか初登板でマダックスするとは夢にも思っていませんでした」と目を丸くした。試合後、安堵(あんど)感をにじませた栗林は「今日はいい結果でしたけど、粘らないといけない投球もあると思う。毎試合しっかり自分の中で反省を繰り返しながら成長していきたい」と続けた。その表情からは先発として生きていく覚悟が感じられた。【前原淳】
▽広島坂倉(準完全の先発栗林に)「ストライク先行で行けたし、真っすぐでもファウルが取れたし、空振りも取れた」
▼プロ初先発の栗林が95球で1安打完封勝ち。許した走者は安打を打たれた細川だけ。許した走者1人で完封する「準完全試合」は22年6月18日山本(オリックス)以来51人、54度目。ノーヒットノーランは過去90人、102度あり、準完全の方が難しい。広島で準完全試合は65年10月2日阪神戦の外木場、15年3月28日ヤクルト戦のジョンソンに次いで3人目。ジョンソンは開幕2試合目で来日初登板で記録した。今回のように100球未満で達成は09年8月5日藤原(楽天)以来となり、開幕カードでは96年4月5日に開幕の阪神戦で記録した斎藤雅(巨人)と前記ジョンソンに次いで3人目。日本人投手でプロ初先発で準完全試合は初めてだ。
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