
今回の配信では、「AIの普及による思考力の低下への不安」に関する相談に、茂木が脳科学的な知見を交えてアドバイスを送りました。
パーソナリティの茂木健一郎
<リスナーからの質問>
最近、仕事のメール作成や調べ物で(ChatGPTやGeminiなどの)AIを使うことが当たり前になってきました。短時間で分かりやすい文章ができ、とても助かっている一方で、ふと「自分は以前より考えなくなっているのではないか」と不安に感じる瞬間があります。
先日も、簡単な文章なのに自分で1から書く前に、無意識にAIを開いている自分に気づきました。便利さと引き換えに、思考力や発想力が衰えてしまうのではないかと心配です。新しい道具に頼ることで、人の脳の働きは変化していくのでしょうか。また、思考力を保つためにできる工夫があれば教えていただきたいです。
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これは今、非常に重要な問いですね。AIと脳の関係には“分かれ道”があります。AIを使って「楽をする道」か、AIを使うことでむしろ「脳への負荷を高めていく道」か。どちらを選ぶかが鍵となります。
私のおすすめは、AIをあくまで“壁打ち”の相手として使うことです。調べ物に使うのは良いのですが、その際に高度な「プロンプト(指示文)」を投げれば、高度な答えが返ってきます。つまり、質の高い質問を考える回数が増えることは、脳にとって非常に良い刺激になります。
これからの時代は「どのような質問ができるか」で、仕事のスピードや創造性が決まってくるでしょう。AIから返ってきた内容に対し、「これはこういうことかな?」とさらに深掘りして聞き直す。AIに丸投げするのではなく、自分で考えるための“材料”や“きっかけ”として活用するのが理想的です。
一方で、ご指摘の通り「英語の勉強はAIに任せればいい」といった“サボり”の気持ちに流されると、脳は次第に考えなくなってしまいます。
では、どうすれば思考力を保てるのでしょうか。例えば、「AIを開く前に、まず1分間だけ自分で考えてみる」という習慣はいかがでしょうか。私はよく「すぐにググらない(Googleで検索しない)」ということを実践しています。
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また、私は文章を書くプロとして、日本語でも英語でも執筆時にAIは一切使いません。考えをまとめる壁打ちには使いますが、最終的なアウトプットは自分の体の中から出てくる言葉を大切にしています。
例えば、ヒップホップの世界には「リプレゼンテーション(自分らしさの表現)」という考え方がありますが、ビジネスにおいても、あなたの中からしか出てこない言葉こそが人の心を動かします。
「AIでサボってしまう」という悩みは、現代人の多くが抱えるタイムリーな課題です。脳に負荷をかけないことは、いわば“思考の筋肉”を使わないのと同じで、筋肉が細るように脳の回路も弱くなってしまいます。認知症予防の観点からも、脳を使うことは未来への投資です。ぜひ、自分の脳でさらに深く考えるためのきっかけとして、AIを使いこなしてみてください。
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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/dreamheart/
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