
「部長、少し会議が多すぎませんか? 部下が営業活動をする時間がありません」
【画像を見る】Slack、ハドル機能の「開始ボタン」はここだ
ある企業のコンサルティングに入ったとき、私はその会社の営業部長に単刀直入に伝えた。すると部長はキョトンとした顔でこう言った。
「マネジメントこそが私の仕事ですよ? 会議を減らしたら、どうマネジメントすればいいんですか?」
私はがくぜんとした。彼は「会議をすること=マネジメント」だと信じ込んでいたのだ。部下を集め、顔を合わせ、何かを話す。その行為自体に安心感を覚え、仕事をした気になっている。
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こうした「会議中毒」の上司は少なくない。そこで今回は、会議を減らせないなら「やり方を変える」という発想で、新しいミーティングの形「ハドルミーティング」の活用法を解説する。ムダな会議に悩んでいる管理職も、その下で働いている社員も、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
●あなたの会議は「メタボ会議」になっていないか
まず、自分たちの会議を振り返ってみてほしい。次の3つに当てはまるなら、それは「メタボ会議」だ。
報告だけで終わる
事前に配られた資料を、発表者が読み上げるだけ。参加者は手元の資料を目で追い、やがて思考が停止する。はっきり言うが、これは「大人の朗読会」だ。会議と呼ぶべきではない。
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読むという行為は、各自がデスクや移動時間にやればいい。会議でやるべきは「書いてあること」の確認ではなく「書いていないこと」。つまり数字の背景や課題の真因について議論することだ。
目的が不明
「とりあえず定例だから集まろう」
この「とりあえず集まる」習慣はとても危険だ。ゴールが決まっていない会議は、ゴールのないマラソンと同じ。参加者はペース配分もできず、ただダラダラと時間を過ごすことになる。
ネクストアクションがない
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熱く議論したのに「で、誰がいつまでに何をやるの?(ネクストアクション)」が決まっていない。「引き締めていこう!」という精神論で締めくくられた会議は、部屋を出た瞬間に忘れ去られる。
このような会議は、だいたい「人」も「時間」も「テーマ」も膨れ上がっていく。だから不健全な「メタボ会議」になっていくのだ。
本来は、4人で15分で終わる会議なのに、9人で90分もかけてしまったら、経営効率は大きく落ちることになる。
●「ハドルミーティング」という選択肢
こうしたメタボ会議を根本から変える手段として注目されているのが、「ハドルミーティング」だ。
ハドルとは、アメリカンフットボールで選手たちが試合中にフィールド上で円陣を組み、次の作戦を確認する行為のことだ。短時間で集中的に情報を共有し、すぐにプレーに戻る。このスタイルをビジネスに取り入れたのがハドルミーティングである。
特徴は3つある。時間は10分から長くても30分以内であること。参加者は、今その問題に直接関係する少人数だけであること。そして、事前の会議室予約やスケジュール調整が不要であること。「今ちょっといいですか?」とその場で始められるのがハドルミーティングだ。
一般的な会議との違いは明確である。会議が「かしこまった場で深い議論をする場」だとすれば、ハドルミーティングは「ちょっとした相談や確認を、即座に行う場」だ。
リモートワークの普及も追い風になっている。オフィスにいなくても、オンラインツールを使えばその場でハドルを始められる。働き方改革で労働時間が制約されるなかで、ムダを省きつつ円滑なコミュニケーションを維持する手法として、世界中の企業が導入を進めている。
●問題解決の「高速化」
ハドルミーティングを導入した企業からは、具体的な成果が報告されている。
ある大手IT企業のエンジニアチームでは、システムの不具合修正にハドルミーティングを活用している。チャットで文字を打ち合うよりも、画面を共有しながら音声で会話するほうが圧倒的に早いという。
あるグローバル企業では、音声中心のハドルミーティングを導入したところ、社内のビデオ会議が約30%も減少した。カメラをオンにするプレッシャーがないため、上司の部屋をノックしてちょっと質問するような感覚で使えるのだ。
日本企業でも成果は出ている。ある大手メーカーでは、オフィス内にオープンなハドルスペースを多数設置したところ、会議室の予約率が4割減少した。社員の約70%が「すぐにミーティングができるようになった」と回答している。以前は打ち合わせをするために平均5日前に会議室を予約しなければならなかったというから、その変化は劇的だ。
共通しているのは「正式な会議」を減らしながらも、コミュニケーションの質は上がっているという点だ。
●Slackの「ハドル機能」を使い倒せ
ハドルミーティングをオンラインで行うなら、ビジネスチャットツール「Slack」の「ハドル機能」が非常に使いやすい。チャンネルやダイレクトメッセージの画面にあるヘッドホンアイコンをワンクリックするだけで、即座に音声通話が始まる。URLを発行する必要すらない。
具体的な活用法を3つ紹介しよう。
「オフィスアワー」として使う
上司やリーダーが、毎週決まった時間にオープンなチャンネルでハドルを開始しておく。部下はその時間内に自由に出入りし、気軽に相談や質問ができる。上司の部屋のドアを常に開けておく「オープンドアポリシー」のデジタル版だ。
「作戦指令室」として使う
新システムのリリース日など、緊迫した状況ではチームのチャンネルでハドルをつなぎっぱなしにする。各自が作業を進めながら、トラブル発生時には即座に音声で対応を話し合える。
「ペアワーク」として使う
通話中に画面を共有し、共有された画面に直接書き込むことも可能だ。資料のレビューやデータの確認など、2人で同じ画面を見ながら作業すれば、メールを何往復もする手間が省ける。
もちろん、ZoomやMicrosoft Teams、Google Meetでも短時間の打ち合わせは可能だ。しかし、Slackのハドル機能は「通話を開始するまでの手間」が圧倒的に少ない。この起動の速さが、ハドルミーティングの本質である「すぐに始められる」を実現している。
●ハドルミーティングと「正式な会議」を使い分けよ
ただし、ハドルミーティングが万能なわけではない。
会社の経営方針を決めるような深い議論や、複雑な問題解決が必要な場面には向いていない。そうした場面では、参加者全員が膝を突き合わせるリアル会議が必要だ。
使い分けの基準はシンプルである。
報告や進捗確認、ちょっとした相談。これらはハドルミーティングで済ませる。意思決定、問題解決、ブレインストーミング――これらは目的を明確にした正式な会議で行う。
逆に、ハドルミーティングで扱うべきテーマを正式な会議に持ち込むのも時間の浪費だ。「この進捗報告、わざわざ1時間の会議でやる必要があるか?」と常に自問してほしい。
重要なのは「今からやるのはどちらの会議なのか」を常に意識することだ。これを意識しないと、ハドルミーティングのつもりで始めたのに議論が白熱して1時間が経過するという「会議の肥大化」が起きる。
「この話は10分では終わらないな」と感じたら「別途会議を設定しよう」と切り上げる判断が必要だ。その切り替えができるかどうかが、ハドルミーティングを機能させる最大のポイントである。
●会議を変えれば、組織の「時間の使い方」が変わる
会議は手段であって、目的ではない。目標を達成するための議論をし、意思決定をし、メンバーのベクトルを合わせるための「道具」だ。
しかし、冒頭の営業部長のように、会議そのものが目的化してしまうケースは多い。「とりあえず定例だから」と集まる。「何をやっているか見えない」という理由で部下の時間を奪う。
会議を減らせないなら、まずハドルミーティングを導入してみること。10分で終わる打ち合わせを体験すれば、「1時間の定例会議は本当に必要だったのか?」と考えるきっかけになる。
著者プロフィール・横山信弘(よこやまのぶひろ)
企業の現場に入り、営業目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の考案者として知られる。15年間で3000回以上のセミナーや書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。現在YouTubeチャンネル「予材管理大学」が人気を博し、経営者、営業マネジャーが視聴する。『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、多くはアジアを中心に翻訳版が発売されている。
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