夏目志穂さん アイドルグループ Palette Parade のメンバー・夏目志穂さん(natsume_shiho)は慶應義塾大学法学部を経て広告代理店に勤務し、社会人としてのキャリアを捨てて芸能界に進んだ。経歴の異色さだけでなく、自らのことを赤裸々に語るnoteの文才にも注目が集まる。キャリアのこれまでとこれからを聞いた。
◆福岡県の私立中を目指していたが…
――noteを拝読すると、幼いときから「七田式教育」を受けるなど、相当教育熱心なご家庭だなと感じます。
夏目志穂:そうですね、3歳からバレエ、ピアノを習い、4歳からはそろばんをやっていましたから、常に何かしら習い事をしていたと思います。生まれ育ったのが沖縄県那覇市なのですが、中学受験を志す子は学級に数名程度だったので、両親は結構熱心だったのだろうと思います。
――当初、福岡県の私立中学校を目指して勉強されていたそうですね。
夏目志穂:はい。大手中学受験予備校である日能研に通い、先生から「県外に出てみては?」と勧められまして。両親も賛同していて、実際に福岡県に家族全員で引っ越すつもりで計画を立てていました。新居も決めたのですが、記念受験で受けた東京の女子校に合格してしまいまして……。
――それで進学することになった。
夏目志穂:はい(笑)。でも福岡県の物件は契約してしまっているので、しばらくの間は賃貸に出して、そのあと売却していたと記憶しています。
◆父は会社員。特別な家庭環境ではない
――お子さんの教育環境に合わせてものすごいフットワークの軽さだなと思うわけですが、かなり裕福なご家庭とか……?
夏目志穂:中学受験をして私立大学まで出してもらいましたが、経済的に恵まれていなかったわけではありません。しかし父はいわゆる会社員ですし、特別な家庭環境かといわれるとそれも違いますね。子どもの学習環境に合わせて本当によく動いてくれたなと心から感謝します。
――入学した中高は名前が非公開なことが悔やまれるほどの名門校なわけですが、学校はいかがでしたか。
夏目志穂:学校そのものは規律も厳しめで、「すごく快適だったか」と言われると全力で頷けない部分はあります(笑)。ただ、友人には心底恵まれたなと思います。
◆アイドルになる際、両親の反応は…
――超名門校出身のご友人は、社会人からアイドルへ転身した夏目さんについてどうみているのでしょうか。
夏目志穂:全員がどう思っているかはわかりませんが、仲の良い友人は本当に応援してくれていると思います。特に中高時代に苦楽をともにした友人のなかに、今度の全国ツアーのチケットをすでに買って一緒に都市を回ってくれる子がいて……本当にありがたいなと思います。母校の友人は、みんな自分の課題を設定してクリアしていくパワフルな子が多く、他人の選択にとやかく言う人は多くない印象です。
――そもそも、夏目さんはなぜアイドルに転身したのでしょうか。
夏目志穂:小学生時代からAKBさんのようなアイドルが大好きでした。長年の憧れを形にした、という感じでしょうか。
――教育熱心なご両親の反応はどうでしたか。
夏目志穂:会社に在籍中にアイドルのオーディションを受けていて、その段階から母には「受かったら会社をやめちゃおうかな」と冗談まじりに話していました。私の性格を知っているので、いい意味で諦めてくれていて、笑いながら応援してくれましたね。父には、実際に退職したあとに報告しました。反応は母と似たような感じだったと思います。
◆夢は大きく武道館
――インテリアイドルとしての戦略は何かありますか。
夏目志穂:それが1つもなくて(笑)。よく「クイズ番組に出たらどうでしょうか」みたいなアドバイスをいただくんですが、もっと泥臭いことを手当たり次第やりたいんですよね。だから、とにかくこのグループで駆け抜けたいと思っています。
――個人で売れたいというより、グループで活動したい?
夏目志穂:そうですね。経歴の特異さから、ありがたいことにインタビューのお話をいただいたりもしますが、Palette Paradeがもっと勢いをつけるための起爆剤になれたらという思いが強いです。夢はこのグループで武道館の舞台に立つことです。
――最後に夏目さんが活動のなかで大切にしていることを教えてください。
夏目志穂:ファンに注目することでしょうか。たぶん、ほとんどのファンの方々を私は認識していると思います。単純に、私を応援してくれている人がどんな人なのか、興味があるんですよね。ライブは土日も平日もやりますが、ライブ後には特典会という交流の時間がとれて「どんな方なんだろう」と思っていろいろ話せるのが嬉しいですね。私ももとはアイドルが好きなファンの側でしたし、同じくアイドルを推す人間として、一丸になれたらなと思います。
=====
屈託ない笑顔とは、夏目さんの笑顔をいうのだろう。「こうやって生きていく」と決めたら、脇目もふらずに突き進む。周囲はたちまち巻き込まれ、いつの間にか彼女を応援している。そんな幸福な渦の中心に彼女はいる。アイドルの道は平坦ではないが、その険しさも彼女ならきっと鼻歌まじりで攻略し、あの純白の笑顔で人々を魅了するのだろう。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki