
NASAによる「アルテミス II」のオリオン宇宙船が、4月11日の朝(日本時間)、無事地球に帰還いたしました。おめでとうございます。わたしはちょうどロケ中でリアルタイムでは観られなかったのが残念。
そのアルテミスIIで話題になったのが宇宙で撮影された写真。地球からは見えない月の裏側の写真をはじめとして次々と公開され、多くの人が写真を等倍表示して拡大してガン見したのである。
なんと撮影した写真のオリジナルサイズで見ることができ、そこに撮影したカメラやセッティングなどの情報が付いているのだ。
これがあれば、撮影したカメラの機種、使ったレンズ、撮影モードやシャッタースピードや絞り値、ISO感度など撮影した時に一緒に記録される様々な情報を我々も見られるのである。
|
|
|
|
カメラで撮影したJPEGやRAWデータなどに画像と一緒に付加される撮影情報は「EXIF」(イグジフと呼んでいる)という名で規格化されており、現在、どのデジタルカメラやスマートフォンでもそれに準拠している(はずである)。デジタルカメラ黎明期に規格を統一しようと富士フイルムを中心に提唱され、制定されたものだ。
今回は、NASAが公開した写真を元にEXIF情報を見る話をしたい。
NASAのイメージライブラリへアクセスすると多くの写真を閲覧できるが、EXIF情報も一緒に見たいとなったら、写真共有サイトの「Flickr」にアクセスするのが一番いい。ジョンソン宇宙研究のアカウントに多くの写真が登録されている。「Artemis II」アルバムがおすすめだ。わたしは昔会員だったのでアカウントがあるけれども、アカウントがなくても閲覧はできる。
非常に数が多いのでサムネイルを見ながら、きちんと見たいモノをチェックするとよい。
まずはこれだろう。地球からは決して見えない月の写真。下半分が月の裏側、多くの人の脳内でピンク・フロイドの「Dark Side of the Moon」が鳴ったとか鳴らなかったとか、邦題は「狂気」だったのでどうなんだろうとという気はしないでもないけど(わたしは輸入盤で聴いてたので、しばらく邦題を知らなかった)。
|
|
|
|
さてこの写真、クリックするとフルサイズで見ることができる。右下を見るとカメラ名とレンズ名が入っており、カメラはニコンの「D5」。2016年に発売されたデジタル一眼レフのフラッグシップモデルだ。画素数は控えめの2082万画素だが、その分高感度に強い。画像サイズにすると5568×2712ピクセル。FlickrやNASAのライブラリに上がっているのはオリジナルサイズだ。
ニコン D5はとにかく信頼性命のカメラであり、頑丈で過酷な環境に強い。NASAはアポロ計画の途中からニコンの一眼レフを採用し(その前はハッセルブラッドだった)、徐々にデジタル一眼レフに切り替わり、今回はD5というわけだ。
使用されたレンズも一緒に書かれている。80-400mm f/4.5-5.6という高倍率の望遠ズームレンズだ。
では、この月の写真は何mmで撮られたのか。「show settings」をクリックすると詳細なEXIF情報を見ることができる。
焦点距離は200mmでシャッタースピードは1/1000秒。絞り値はF8でISO感度は400。200mmで月を画面いっぱいに撮れる距離ってすごい。
|
|
|
|
EXIF情報にはもっと詳細なデータも書き込まれている。「Show EXIF」をクリックするとそれを観ることができる。
撮った写真をAdobeの「Lightroom classic」から出力したものであること、撮影日時とUTFとの差、露出モードはマニュアルで、ホワイトバランスはオートなどなどが分かる。
EXIF情報には必須のタグとオプションのタグ、さらに各メーカーが独自で入れられるタグもあり、メーカー独自タグには撮影シーンやピクチャーモードなどが書かれている。
イマドキ、AIが描いたり計算で作ったCGだったり加工されていたりする画が氾濫してる中、肉眼では確認不可能なこういう写真を見せられると本当かどうかよく分からなかったりするのだが、こうしてEXIF情報ごと公開してくれると「ああ、本当にこう見えているのだなぁ」と思えていい。
これなんかもたまらんですよ。
三日月ならぬ三日地球。月の影で地球がこう見えてるのだ。空気が無いのでエッジがくっきりしてるし、月の細かい凸凹もはっきり見えててすごい。これもD5で380mmで撮影されている。
広角レンズも持っていったようだ。こちらは14-24mm f/2.8の超広角ズームレンズの14mmで撮った月と地球。14mmでこんだけ撮れるって一体どんなとこから撮ったんだ(宇宙からです)。
地球を22mmで撮ってたりするのも一体どこから撮ったんだと(宇宙からです)。
EXIF情報を見ると、基本的にシャッタースピードは速く、絞りはF8くらいまで絞り、というブレずにくっきり写すというセッティングになっている。
●Nikon Z9で撮った写真を発見
と、今回は公表されている通り、メインカメラは信頼のD5なんだが、写真の中に「Z9」で撮ったものを発見。
次世代用の運用テストや保管用として(おそらく)Z9も持っていったのだろう。レンズは35mm f/2D。これ、かなり前のFマウントレンズなので、マウントアダプターを使ってZ9に装着してるのだろう。なぜこのレンズを選んだのかはちょっと分からないけど(Z9だとMFしか使えないはずだし)。まあ、35mm f/2Dである。
Z9は4500万画素と画素数も多いのでオリジナル画像も8256×5504ピクセルだ。
こちらも同じ組み合わせで、オリオンの中から撮影中のシーンがZ9で撮られている。Z9で撮った写真は船内風景が多めだった。
EXIF情報を見ると、ISO16000で1/20秒でf/2.5。船内の暗さが分かる。
●実は他のカメラも使われていたのだった
あと二つ、使われているカメラを発見した。
一つは「iPhone 17 Pro Max」。宇宙でスナップカメラとして使われたiPhone!である。しかも4800万画素で撮影されておりました。
もう一つは「GoPro HERO4」。
これは手持ちではなく宇宙船に取りつけられたもの。最新モデルはHERO13なのでかなり前のモデルということになる(2014年)。
実際に宇宙から撮影された月や地球の写真をこうして高解像度で見られるのはすごく楽しいし、EXIF情報から宇宙飛行士達のいた環境を少しでも想像できるのはありがたい。今回はFlickrの画面でEXIF情報をチェックしたけれども、Webブラウザの「Chrome」には画像のExif情報を見る機能拡張がいくつかあるし、画像をダウンロードしてしまえばExif情報を見られるアプリはたくさんある。
写真の撮影データに興味ある方はぜひEXIF情報をチェックしてほしい。なお、Web上にアップロードされた写真にはExif情報が削除されているものも多いのでご了承を。
|
|
|
|
|
|
|
|
Copyright(C) 2026 ITmedia Inc. All rights reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。

au「配慮に欠けた」X投稿を削除(写真:ITmedia NEWS)89

au「配慮に欠けた」X投稿を削除(写真:ITmedia NEWS)89