『遙かなるオーガスタ』『リアルゴルフゲーム』―― ゴルフゲームで名を馳せた有名メーカー「T&E SOFT」の源流『3-D ゴルフシミュレーション』 <連載:このゲーム、探してます!>

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2026年04月29日 18:15  ねとらぼ

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著者撮影

 皆様、こんにちは。ゲーム保存協会の手島孝志です。今回は「T&E SOFT(ティーアンドイーソフト)」を取り上げます。筆者自身、T&E SOFTの『ハイドライド』が大好きで、T&E SOFT関係の収集家でもあります。そのため、あまりマニアック過ぎないように心がけつつ、同社の魅力をご紹介していきたいと思います。


【画像】懐かしのゲームの数々


ライター:ゲーム保存協会

2011年設立。日本が世界に誇るゲーム文化を100年先の未来に残すため、関係する歴史的資料の保護・保存技術の開発や啓蒙、他団体との連携・支援などに取り組む完全非営利の民間団体。本部は東京世田谷の等々力にある。公式サイト:https://www.gamepres.org/


最初の市販ゲーム『リアルゴルフゲーム』

 資料によると、T&E SOFTは1981年(昭和56年)10月、兄弟2人が岐阜県一宮市で父親が経営していた映像関連会社を間借りし、パソコンゲームの製作を開始したのが始まりとされます。翌1982年からは雑誌『I/O』を発行している工学社の系列である「コムパック」を通じてゲームの販売を開始しました。そして同年10月には独立して株式会社を設立しており、これが企業としてのT&E SOFTの原点と言われています。


 当初はPC-6001向けのゲームソフトを開発していました。コムパックで販売するにあたり、雑誌『I/O』にリリースするゲームの記事を掲載しています。記事にはゲームの紹介だけでなく、プログラムリストも掲載されており、これを入力することでゲームが遊べるようになっていました。しかし、雑誌を見ながら長いソースを入力するのは非常に手間がかかったため、手軽に遊べるパッケージソフトも好評を博したようです。


 最初に販売されたのは『リアルゴルフゲーム』という作品です。面白いことに、このパッケージソフトは2種類が存在していました。黒いパッケージ(上記画像左)は社内において手作業で製作されたものです。のちに店頭で並んでいた商品のシュリンク包装内に米粒が混入しているのを見つけて冷や汗をかいた、という開発者のコメントが残されています。一方、それとは別にコムパックから販売されたパッケージ(上記画像右)もあり、こちらをご存知の方も多いのではないでしょうか。


『3-D ゴルフシミュレーション』

 T&E SOFTのゴルフゲームといえば、『遙かなるオーガスタ』から続くシリーズが有名です。これはアメリカ・ジョージア州にあるオーガスタ・ナショナルGC(オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ)の実際のコースをゲーム上で再現したものです。同地ではメジャー大会「マスターズ・トーナメント」が開催され、日本でも毎年生中継されています。筆者もゴルフが趣味だった父親の影響で、この生中継をよく見ていました。その後、1990年代に入ってからスーパーファミコンなどで『オーガスタ』や『ワイアラエの奇蹟』をプレイしたことをよく覚えています。


 T&E SOFTは、そんな『オーガスタ』へと繋がるゴルフゲームの源流を、1980年代前半にすでに生み出していました。


 PC-6001向けゲームのリリースが続いていた1983年、同社は『3-D ゴルフシミュレーション』をリリースします。その名の通り3D表現を売りにした画期的な作品で、ショット時にはプレイヤーの視点が再現され、打ったゴルフボールの軌跡も3Dで描画されました。こちらも雑誌『I/O』にFM-7版のプログラムリストが掲載されています。


 更に当時市場に出ていたあらゆるホビーパソコンを網羅するかのように、たくさんのバージョンがリリースされました。初期はBASIC言語のみで作られていたため処理速度が遅く、決して快適にプレイできるとは言えなかったようです。しかしその後、マシン語を導入して高速化を図った『Part2』や『スーパーバージョン』などが次々リリースされ、すべて合わせると非常に多くのバージョンが存在しています。ここで把握できている『3-D ゴルフシミュレーション』の一覧を見てみましょう。


『3-D ゴルフシミュレーション』(Part2・スーパーバージョンも含む)


ソフト名、発売年月、機種、メディア、型番、バージョンなど


3-D ゴルフシミュレーション、1982年11月、CASIO FP-1100、TAPE、、ゲーム集「T&E スペシャル」(TE07)に収録


〃、1983年2月、富士通 FM-7、TAPE、TE09(TET-09)、旧版・更新版


〃、1983年2月、富士通 FM-8、TAPE、TE10(TET-10)、


〃、1983年5月、NEC PC-8801/mkII、TAPE、TE11(TET-11)、


〃、1983年5月、シャープ X1/C/F、TAPE、TE12(TET-12)、


〃、1983年7月、東芝 PASOPIA7、TAPE、TE14(TET-14)、


〃、1983年10月、富士通 FM-7、5”2D、TED-09、Ver.1.1


〃、1983年11月、NEC PC-8801/mkII、5”2D、TED-11、


〃、1984年3月、NEC PC-9801/E、5”2D、TED-28、


〃、1984年6月、MSX、ROM、TEX-01、旧版・高速版


3-D ゴルフシミュレーション Part2、1984年7月、富士通 FM-7、TAPE、TET-31、


3-D ゴルフシミュレーション スーパーバージョン、1984年7月、日立 MB-S1、TAPE、TET-33、


〃、1984年9月、シャープ MZ-1500、Quick Disk、TEQ-36、


〃、1984年11月、富士通 FM-77、3.5”2D、TEM-40、


〃、1984年11月、IBM JX、3.5”2DD、TEM-41、


3-D ゴルフシミュレーション、1984年11月、NEC PC-9801F/VF/VM、5”2DD、TED-42、


3-D ゴルフシミュレーション スーパーバージョン、1985年1月、NEC PC-6001mkII/6601/SR、TAPE、TET-47、


〃、1985年1月、NEC PC-6001mkII/6601/SR、3.5″1D、TEM-47、


〃、1985年1月、NEC PC-6001mkIISR/6601SR、TAPE、TET-48、


〃、1985年1月、NEC PC-6001mkII/6601/SR、3.5″1DD、TEM-48、


〃、1985年5月、NEC PC-8801mkII SR/FR/MR、5″2D、TED-56、


〃、1985年5月、富士通 FM-16β SD/FD、5”2HD、TED-57、


 また、この一覧には掲載していませんが、MSX版はT&E SOFTと東芝EMIの2社から併売されており、それぞれパッケージが異なります。東芝EMI版には海外向けや別デザインのパッケージも存在しており、複数のバリエーションが確認されています。


 さらに『3-D ゴルフシミュレーション』の最初のリリースは、実はFM-7版ではありません。会社設立から間もない1982年11月頃にリリースされたカシオ FP-1100用のゲーム集「T&E スペシャル」に収録されたバージョンが初代となります。


 以前に取り上げた『信長の野望』ほどではありませんが、本作にも非常に多くのバージョンが存在するため、特定の機種に限らず全般的に探しています。強いて挙げるならば、富士通FM-16β版やIBM JX版などは、現存しているかどうかさえ確認が難しいほど希少なレベルかもしれません。


 いかがだったでしょうか。T&E SOFTといえば、まずは『ハイドライド』が思い浮かぶかも知れませんが、今回は創立の歴史を振り返るという趣旨から『3-D ゴルフシミュレーション』を取り上げました。



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