ライバルの好調を横目にセブンが“一人負け”…ファミマとローソンに通ずる2つの要素とは

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2026年04月30日 09:20  日刊SPA!

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ライバルの好調を横目にセブンイレブンは……
国内コンビニチェーンの明暗が分かれてきました。ファミリーマートとローソンは過去最高益を達成したものの、王者セブンイレブンの国内コンビニ事業はまさかの減益。多額の広告宣伝費を投じているものの、主力の加盟店売上が伸び切らず、利益が下押しされています。
◆広告宣伝費が増加するも、日販は微増にとどまる

2025年度、セブンイレブンの国内コンビニ事業は、営業利益が5.8%の減少でした。ファミリーマートは17.9%増、ローソンが7.0%増と好調に推移しています。ファミリーマートは日商が54カ月連続で前年を超え、加盟店の利益は3年連続で過去最高を更新しました。ローソンも加盟店の利益は7年連続で増加。コンビニ事業全体の事業利益は3年連続で過去最高を更新しています。

セブンイレブンの平均日販は69万9000円。前年比で1.0%の増加でした。ファミリーマートが同2.1%増の58万5000円、ローソンが同4.2%増の59万8000円。日販は1店舗の1日当たりの平均売上で、コンビニの収益力のバロメーターとも言えるもの。

2025年度の広告宣伝費は443億円で、前年比で16.6%(63億円)も増加しています。それにも関わらず、日販は1.0%の微増に留まりました。コンビニ事業全体の営業総収入は0.9%の増加。一方、広告宣伝費を含む販管費は4.1%増えました。

2024年度の日販が69万2000円で、前年比でわずか0.1%の増加に留まっていました。2024年度の広告宣伝費は前年比3.2%増の379億円。2025年度は広告宣伝費に厚みをつけ、集客力を高めて日販を伸ばそうとしたものと考えられます。2025年は低価格で商品を購入できる「うれしい値」のキャンペーンにも力を入れていました。しかし、客数は前年比0.9%のマイナスに。低価格路線の打ち出しと広告宣伝の強化もむなしく、十分な集客力をつけることができませんでした。

◆狙うは「カウンター商品の強化」と「省人化」

足元で力を入れているのがサービス力の強化。レジ横のマシンでセルフ調理が行なえる「できたて麺」や、店内で焼いたメロンパン、クロワッサンなど出来立ての料理を提供しています。店内で揚げたカレーパンは、2024年7月に最も販売されている揚げたてカレーパンブランドとしてギネス世界記録に認定されました。

セブンイレブンを統括するセブン&アイ・ホールディングスの阿久津知洋社長は4月9日の決算説明会にて、出来立てカウンター商品を強化する一方で、セルフレジなどへと切り替えて省人化を図る方針を示しました。これは、セブンイレブンの運営が概ね2人体制となっていることを受けたもので、従業員の負荷を軽減しつつ、人材獲得に苦慮する加盟店オーナーに配慮したもの。スタッフが1人でシフトに入った際も、安全に店舗運営ができる見守りシステムも今年から導入すると言います。

◆ワンオペで炎上したすき家を反面教師に出来るか?

牛丼チェーンのすき家は、2025年4月から一部の店舗を除いて24時間営業を取り止めることを決定しました。飲食店の単価が上がり、24時間営業も取り止めになると、セブンイレブンの出来立て商品の需要は強まる可能性があります。店舗側はスタッフ1人で付加価値の高い商品を販売でき、これまで以上の利益が確保できるのであれば、店舗を運営するメリットは高まるでしょう。

しかし、省人化はリスクが付きまとうのも事実。かつてすき家は過度なワンオペ化でブラック企業のレッテルを貼られ、ブランド力が低下しました。ミニストップの消費期限偽装問題も、背景にあったのは店舗独自の業務負荷軽減策でした。セブンイレブンのように、揚げ物などの導入でオペレーション負荷が高まった中で、省人化を図ると良からぬ問題を引き起こす潜在性が高まるのです。セルフレジの導入も、使い方に慣れない高齢者を店から遠ざけることにもなりかねません。無人店舗の「Amazon Go」が撤退に追い込まれましたが、利用者がついてこなかったことが背景にあります。セブンイレブンの省人化オペレーションは、慎重な見極めが必要になるでしょう。

◆ファミマとローソンに通ずる2つの要素とは

ファミリーマートとローソンは消費者心理を巧みにとらえました。両社に共通するキーワードはお得感の醸成と、コストパフォーマンスの高さです。

ファミリーマートは2025年3月に大谷翔平選手を起用した「おむすび二刀流」キャンペーンを打ち出しました。その際、3月4日から25日までのおむすびカテゴリーの売上が前年同期間比で20%増を達成しています。このとき、大谷選手の起用にばかり目が向きましたが、ファミリーマートはおむすびの価格帯を低・中・高の3カテゴリーに分類し、コメの価格が高騰する中でも一部の商品は低価格路線を維持していました。

キャンペーン期間中は、低価格帯のおむすびの具を増量。さらに老舗おむすび専門店「ぼんご」や総菜の名店「柿安」監修のおむすびをラインナップし、高価格帯の商品に厚みをつけました。さらに「#大谷選手ファミマおむすび割」を実施。ホームランか勝利投手となった翌日にクーポンを発行してお得感を醸成したのです。

その後もファミリーマートは「ぼんご」の作り方を参考にした「ふわうま製法」を開発。再び大谷選手を起用してキャンペーンを実施しました。コンビニのおむすびは、価格の高騰によってネガティブなイメージが染みついていましたが、ファミリーマートは価格帯に色をつけて分かりやすく提供し、商品のブラッシュアップも図りました。コストパフォーマンスを高めていたのです。

ローソンは、からあげクンやおむすび、スパゲッティなどが50%増量になる「盛りすぎ」キャンペーンが好評を博しました。やはり、お得感とコストパフォーマンスの醸成に成功しています。多くの消費者は、安さだけを求めているわけではありません。価格に見合った価値が得られるかどうかを慎重に判断しているのです。コンビニの明暗はその差が出たようにも見えます。

<TEXT/不破聡>

【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界

このニュースに関するつぶやき

  • 消費者はバカじゃない.人気タレント使いTVのCM量を増やし次々新商品を投入しても,一度着いた「悪どい」イメージを払拭するには地道に誠実な態度を貫いて行くしかない.
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