写真 ゾゾ(ZOZO)が、2026年3月期の連結決算を発表した。商品取扱高は前期比8.4%増の6660億3000万円と過去最高を更新したが、修正後計画(6739億円)に対しては98.8%の達成率にとどまった。一方、EBITDAは同10.2%増の769億2400万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同5.7%増の479億2600万円となり、いずれも計画を達成したうえで過去最高実績を更新した。
主力事業の商品取扱高は計画を達成
全体として計画を下回った要因については、英国を拠点とするファッションショッピングプラットフォーム「LYST」の業績が振るわなかったことが大きく影響した。LYSTの商品取扱高は422億4000万円となったが、ラグジュアリー業界の不調や米国関税制度の変更等を背景に計画を下回った。なお、第4四半期については冬のセール販売が好調に推移し、第3四半期までの不足分を補う形で成長を記録している。
商品取扱高の内訳を見ると、ZOZOTOWN事業が5166億1000万円(同5.0%増)、LINEヤフーコマース(Yahoo!ショッピングとYahoo!オークションの合算)が789億2000万円(同13.4%増)、BtoB事業が83億7000万円(同36.1%減)となった。ZOZOTOWN事業とLINEヤフーコマース、BtoB事業の合算では6039億1000万円(同5.1%増)となり、この3事業の合算では計画を達成している。ZOZOTOWN事業に限定した年間購入者数は、2026年3月末時点で1317万3445人となった。前年同期から約36万人増加しており、WEB広告の投下量増加や友達紹介キャンペーンが新規会員獲得に寄与したとしている。休眠会員の掘り起こし施策も奏功し、アクティブ化が進んでいるという。
2027年3月期の業績予想については、商品取扱高を前期比5.0%増の6786億円、売上高を同5.9%増の2419億円、営業利益を同7.3%増の744億円、親会社株主に帰属する当期純利益を同3.7%増の497億円と見込んでいる。
中期経営計画を初公表、2030年にEBITA900億円を目指す
同社は今回、初めて中期経営計画を公表した。2030年3月期までの4年間で、調整後EBITAで900億円(2026年3月期比23%増)の達成を目指す。達成に向けて、事業をZOZOTOWNを軸とした既存事業からなる「モアファッション」、国内ファッションの周辺領域を対象とする「ニアファッション」、海外市場の「グローバル」の3つの領域に分け、それぞれの目標利益をモアファッションを800億円、ニアファッションを50億円、グローバルを50億円に設定した。
モアファッション領域では、引き続き新規ユーザーの獲得を成長エンジンとして位置づけ、音楽フェスやポップアップの開催など、ウェブ広告以外のタッチポイントの開拓も進めるほか、韓国発のファッションモール「ムシンサ(MUSINSA)」との連携も深めていくとした。AIエージェントの台頭については、ファッション特化型のAIエージェントを自社で構築していく方針を示しており、この分野では既に澤田宏太郎 社長が「悲願だった」と語る、LINE上でコーディネートや商品提案を行う「ZOZOの似合うコーデAI ラボくん」をリリースしている。
ニアファッション領域では、スキンケアやヘアサロン、フィットネスジム、ホワイトニングなど、「ZOZOTOWNユーザーが喜んでくれそうな消費体験」(澤田社長)に関連する市場へのアプローチを進める。ECでの販売に限らず、リアルサービスの展開も含め幅広いモデルを検討しており、今回発表した香りの総合プラットフォーム「カラリア」を運営するHigh Linkの完全子会社化は、この領域への進出の第1号事例として位置づけられている。
グローバル領域では、英国を本拠地とするリストと、米国・カナダで展開する「ZOZOFIT」を軸とする。リストはファッション特化型AIエージェントのノウハウを英語圏に展開することで世界規模での競争力確保を目論むほか、ZOZOFITはフィットネス層への認知が進み昨年1年間で100万ダウンロードを達成しており、今後は他国での展開を加速させる。
■ゾゾ2026年3月期連結業績商品取扱高:6660億3000万円(前期比8.4%増)EBITDA:769億2400万円(同10.2%増)当期純利益:479億2600万円(同5.7%増) 山田耕史 (Koji Yamada) FASHIONSNAP 編集記者 1980年神戸市生まれ。関西学院大学社会学部、エスモードインターナショナルパリ校卒。ファッション企画会社、ファッション系ITベンチャーを経て、主夫業と並行してフリーランスとして活動した後、FASHIONSNAPに参加。ファッションを歴史、文化、経済などの多角的な視点から分析し、知的好奇心を刺激する記事を執筆することが目標。