
住吉美紀、故郷・バンクーバーの景色をバックに
◆ワールドカップの足音が聞こえる街「バンクーバー」
パーソナリティを務める住吉美紀が、自身のルーツでもあるカナダの魅力をお届けする「BLUE OCEAN〜カナダ、歴史と自然に触れる旅」。高校時代をカナダのバンクーバーで過ごし、数年前まで実家もあったという彼女にとって、カナダは「第2の故郷というよりも、今回の取材を通して改めて『もう故郷そのもの』と実感しました」と振り返ります。今回の取材旅行で住吉が目にしたのは、慣れ親しんだ風景の裏側にある、驚きに満ちた「新しい顔」ばかりでした。
4泊6日の取材旅では、バンクーバーとビクトリアを巡りました。まず、住吉が降り立った「バンクーバー」は、今、かつてない興奮に包まれています。2026年FIFAワールドカップの開催地の1つに選ばれたからです。カナダ、メキシコ、アメリカによる史上初の3カ国共催。その開催都市数は、2002年の日韓大会以来最多となる16都市にも及ぶとのこと。
住吉は日本のメディア代表として、世界を巡る「FIFAワールドカップ トロフィーツアー」の取材に立ち会いました。「朝8時、バンクーバー美術館前の広場には、世界中から150人近いジャーナリストが集まっていました。純金の輝かしいトロフィーが除幕された瞬間、その神々しさに圧倒されました。テレビで見るのとは違う、18カラットの重みと輝き。地面から伸び上がる2人の人間が地球を支えるそのデザインは、1974年から続いているそうです」。
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「FIFAワールドカップ トロフィーツアー」に参加
◆「スタンレーパーク」を自転車で巡る
バンクーバーの魅力は、都市機能と原生林が地続きであることです。住吉は、15年のキャリアを持つガイド、サイクル・シティ創設者兼オーナー、ジョシュさんの案内で「スタンレーパーク」を自転車で巡りました。
「およそ400ヘクタールで、新宿御苑や代々木公園の約7倍という広大さです。ニューヨークのセントラルパークが美しく整えられた人工のオアシスなら、スタンレーパークは『街の隣に屋久島の森がドーンと現れた』ような野生の迫力があります」
次に、海沿いを一周する全長28キロメートルの遊歩道「シーウォール」を駆け抜けると、都会の喧騒は一瞬で消えていきます。パーク内にはビーバーが棲んでいたりします。また、バンクーバーは北米有数の映画・ドラマ産業拠点であり、エミー賞を席巻した「SHOGUN 将軍」もこの地で撮影されたのだとか。
◆かつて住んでいた実家のマンションを発見!
旅のハイライトの1つは、ダウンタウンの「バンクーバー・ハーバー・フライトセンター」から飛び立つプロペラ水上飛行機による遊覧飛行でした。
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高度を上げた機内から見下ろすと、海と街と山々が完璧なコントラストで調和しており、遠くウィスラーへと続く山々は白く雪をまとい、眼下にはかつて住んでいたマンションも見えて「私の実家だったマンションが見える! すごいすごい!」と大興奮する場面も。
「上空から見ると、バンクーバーという街がいかにコンパクトで、豊かな地形に守られているかがよく分かります。知っているはずの街なのに、角度を変えるだけで、まるで知らないジオラマを眺めているような感動がありました」と振り返りました。

「バンクーバー・ハーバー・フライトセンター」のプロペラ機
◆水上飛行機で「花の都」ビクトリアへ
続いて訪れた場所は、バンクーバーを象徴する歴史的スポット「ガスタウン」です。街角に立つと、どこからか「ポッポー!」と懐かしくも力強い笛の音が聞こえてきます。「聞こえているのは、ガスタウンにある蒸気時計『スチーム・クロック』の音色です」。蒸気時計とは、蒸気を動力とした珍しい時計で「15分おきにガスタウンの中心にある大きな蒸気時計の笛がこうして鳴るんです」と住吉は説明します。
ガスタウンは、1867年にジョン・デイトンという人物の酒場から発展した歴史あるエリア。石畳の通りに赤レンガの建物が並ぶレトロな風景は「なんか東京だと浅草とかに当てはまるのかなっていう感じ」と例えるように、どこか懐かしい情緒が溢れていました。
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「バンクーバーから水上飛行機でおよそ30分のフライトで到着したのが、花の都ビクトリア。綺麗に植えられたイングリッシュガーデンの花々も、これからがちょうど見頃の時期です」。この日のビクトリアは、太陽が出ればポカポカと暖かく、風が吹けばスッと涼しさが通り抜けていく。そんな心地よい陽気に誘われるひとときでした。
◆旅のハイライトのひとつ「ホエールウォッチング」
ビクトリアでの大きな目的が、世界的な名所として知られる「ホエールウォッチング」です。ビクトリアの美しい港町の先に広がる「セイリッシュ海」は、世界でも有数のシャチの生息地として知られています。今回、現地ツアー「オルカ・スピリット・アドベンチャーズ」のガイド、ジェイク・ホーリーさんの案内で海へ出ました。
あいにくこの日だけは雨。波が高く、客室の窓の高さまで水しぶきが上がるほどの激しい揺れとなりました。そんな過酷な状況のなか、住吉は一人甲板に踏みとどまり、執念で海を見つめていました。すると……「いました! こんなに雨が降っていて波がすごいのに本当にシャチに会えるのかなって思っていましたけど、やっぱりプロの船長ですね。野生のシャチを見ることができました!」。荒波の隙間から、優雅に背びれを出すシャチの親子に大感動する住吉でした。
これほど身近にシャチやクジラがいる環境だからこそ、人間側にも厳格な規律が求められます。「太平洋クジラウォッチ協会」は自治体と連携し、クジラとの距離や、一度に近づける船の隻数まで細かく制限しています。しかし、単に「近づかない」ことがゴールではありません。ジェイクさんは「教育こそがツアーの強みです」と強調します。
世界中から訪れる人々に対し、海のルールを伝え、シャチやクジラの生態を正しく理解してもらう。知ることで敬意が生まれ、その敬意が海を守る力へと変わっていく。ホエールウォッチングは、人と自然の持続可能な関係を築くための「教室」となっているのです。

「オルカ・スピリット・アドベンチャーズ」出航前にパチリ
◆「ナース・ログ」が育む深い森
海を堪能したあとは、車を45分ほど走らせて西側の町・スークへ。そこにある「イースト・スーク・リージョナル・パーク」で森林散策を楽しみました。広さは東京ドーム313個分という途方もない規模で、公園内にはハクトウワシやクロクマなど野生動物も生息している貴重な生態系が守られているところです。
「ここから3時間かけてガイドのトニーさんと一緒に歩きます。空気はとっても爽やか。少し湿度も感じますけど気持ちがいいです。針葉樹林なので、本当に癒やされるようないい香りがしています」。ここで目にしたのは、自然の不思議な生命力でした。
巨大な岩盤の上で木が倒れているのですが、その倒木から新しい木が何本も上に突き出すように伸びている光景を目の当たりにします。これは「倒木更新(ナース・ログ)」といって、倒れた古い木が次の世代を育てる礎になるのだそうです。
「木が倒れていて、その木の上に、また木がいくつも生えてきています。なんてダイナミックな景色なんでしょう。歩いている感触も本当に気持ちが良くて、落ち葉がふかふかの腐葉土になって地面を覆っているので、とても歩きやすかったです」と、森のなかでの授業を満喫したようです。

「イースト・スーク・リージョナル・パーク」にて
◆西海岸の「赤毛のアン」エミリー・カーという生き方
今回の旅で住吉は、この地が生んだ1人の偉大な芸術家の足跡を辿り、そして現代のカナダが向き合っている深い「祈り」とも言える大きなうねりに触れることとなりました。
住吉が紹介した、エミリー・カー(1871-1945)は、カナダを代表する作家であり、森の魂を描いた画家としても知られています。彼女の生家やビクトリア美術館を訪れ、その生涯に触れたとき、住吉の頭に浮かんだのは「あ、ここにも『赤毛のアン』がいたんだ」という新鮮な驚きでした。
エミリーは、イギリスから移住した両親のもとに生まれましたが、その抜群の感性は当時の感性の尺度では到底計れないものでした。彼女は森と自然を愛し、犬や猫、猿や鳥といった動物たちを家族として生涯を共にしました。結婚という道を選ばず、自らの芸術を貫くために下宿屋を営み、必死に生活費を稼ぎながら筆を握り続けたのです。
彼女は、当時失われつつあった先住民の文化財であるトーテムポールに強烈な芸術性を見出し、先住民の居住地を訪れてはその姿をスケッチし、キャンバスに刻みました。当時はなかなか理解されなかったその活動も、今ではカナダのアイデンティティを形成する重要なピースとして再評価されています。
もちろん、現代の視点からは「外部の人間が先住民文化を描く限界」という議論もあります。しかし、自分が持つ表現という手段で世界に貢献しようともがき続けた彼女の生き様は、今を生きる私たちに「自分に今できることを真摯に取り組むこと」の尊さを教えてくれたと住吉は語りました。
紹介しきれなかったエピソードは、Tokyo FMのポッドキャストでも順次配信していきます。
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音声版「Blue Ocean」
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<番組概要>
番組名:Blue Ocean
放送日時:毎週月曜〜金曜9:00〜11:00
パーソナリティ:住吉美紀
番組Webサイト: http://www.tfm.co.jp/bo/
番組公式X:@BlueOceanTFM
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