
<アメリカンフットボールXリーグプレミア:パナソニック20−21オービック>◇3日◇東京ドーム
社会人Xリーグが設立30周年を迎えた今年、新たに創設された国内最高峰「Xリーグプレミア」が開幕した。昨季の頂点を争った日本選手権ライスボウルの対戦カード、パナソニック・インパルス(年間1位)とオービック・シーガルズ(同2位)の顔合わせが再現され、逆転したオービックが記念すべきプレミア初勝利を挙げた。
6−20の劣勢で迎えた第3クオーター(Q)に12−0で猛追。合計スコア18−20で迎えた最終の第4Q残り6分25秒、フィールドゴール(FG)を決めて逆転した。
後半だけで15得点。守備も無失点と粘り、パナソニックにレギュラーシーズンでは20年11月以来6季ぶりとなる土をつけた。当時も止めたのはオービックだった。
その立役者が、加入2年目のRB島田隼輔(23)だ。第3Qに16ヤードTDランを決めた後、キッカーとの「二刀流」として3本のFG(41、34、27ヤード)を沈めた。後半の全得点を稼ぎ「うれしい。FGを決めたのはXリーグでは初めて」と喜んだ。
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小中学校でサッカーをしていた経験を生かし、アメフトを始めた近畿大の付属高から大学まで、キッカーやパンターとしてもプレーしていた男の面目躍如だった。
前年度の日本一決定戦で7−9惜敗の借りを返し「ルーキーイヤーの去年はライスボウルのフィールドに立てなかったので、試合に出て(点を)取り切れて良かった。また東京ドームに戻ってきたい」と長くなったシーズンを見据えた。
Xリーグ「プレミア」化の背景には、チーム力の均衡化を図って興行の質を向上させ、観客動員を増やす狙いがある。競争激化、移籍の流動化も図るため今季からシーズンロースター(選手登録枠)を65人から53人に縮小。さらにゲームロースター(試合登録枠)も昨季までの63人から48人に絞るルールになった結果、開幕戦MVPに輝いた島田のような兼任が重宝され「二刀流」が実現した。
シーズンロースターから外れたリザーブロースター12人は、企業チームが多いこともあり活発ではなかった移籍が自由にできる対象となる。ゲームロースターは試合2時間前までに5人を外して48人となる。日本社会人協会の並河研理事長は「競争力を高めたい。人数が少なくなった中、よりマネジメント力も求められる」と期待している。
さらには、従来の秋開幕から春初戦の通年制に初めて移行。急の準備を余儀なくされた。島田は、ライスボウル直後で例年はオフとなる1月下旬から体づくりを始め、チームも3月に全体練習スタートを前倒し。枠も狭まった中でポリバレント性を買われ、出番をつかんだ。
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一方でオービックの塚田昌克ヘッドコーチ(HC)は「選手も指導者も、しんどい。正直、まだまだ手探り」と本心を打ち明ける。「試合の枠も48人に減ってメンバーのやりくりが厳しい。去年まで63人だったので大きな違い。特にキッキングチーム」と吐露した。そこで考案した島田の二刀流を勝利に結びつけたが、試行錯誤の1年となりそうだ。
敗れたパナソニックの高山直也HCも「一番はモチベーションのところ」と指摘。65人から試合前週の木曜正午までに12人をメンバー外とする苦渋の決断が生まれ「我々は企業チームなので、応援いただいている中で試合に出られなくなる選手は相当きつい。伝え方には特に気をつけているところ」と明かした。
大きな変化で今は苦しさが上回るが、HCも参加しての検討会を通して決定した規定でもある。縮小する一方の競技人口と人気の拡大が不可欠であることは一致しており、アメフトに関わる全員で危機感を持って「プレミア」を盛り上げていくしかない。【木下淳】
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