2軍降格にも「自分と向き合い、打ちまくる」と前向きに取り組むオリックスの麦谷祐介(写真=北野正樹) オリックスの2年目、麦谷祐介外野手が2軍戦で打撃を復調させている。結果を欲しがり空回りした2か月の1軍での経験をレベルアップにつなげる。
「自分を見失った部分がありました。結果を出さなくてはいけない、ヒットが欲しい、ヒットが欲しいという気持ちが強すぎました。とにかく自分と向き合って、いつでも1軍に上がれる準備をしたいと思います」。2軍降格を伝えられた翌日、大阪・舞洲の球団施設で会った麦谷は前向きで、表情は明るかった。
麦谷は仙台市出身。中学時代は楽天シニアに所属し、大崎中央高、富士大から2024年ドラフト1位でオリックスに入団した。走攻守の三拍子そろった外野手としてアピール。1年目は6月初旬から7月末まで左手薬指の骨折で離脱したものの79試合に出場(打率.231)し、チームトップの12盗塁で存在感を示した。さらなる飛躍をと臨んだ2年目も開幕を1軍で迎えたが、打撃の状態が上がらず、5月19日に1軍選手登録を抹消された。
打撃を狂わせたのは、故郷・仙台で放った本塁打だったという。代打出場した4月11日の楽天戦(楽天モバイル)で、内星龍投手の外角高めの148kmのストレートを左中間へ2ラン本塁打。今季初安打が本塁打で、自身にとって勢いに乗っていける一打になるはずだったが、先発で起用された翌日の試合で、3打数無安打。5月5日のロッテ戦(京セラドーム)で適時三塁打を放つまで、安打を放つことはできなかった。
「あれからおかしくなってしまったんです。普通ならレフトフライのところが本塁打になったところから考えて、速い真っ直ぐを打ったことで次は直球か、変化球かと考えすぎるようになってしまいました。(打席の中で)次はこれが来るんじゃないか、いやこれじゃないな、と考えているうちにもうボールが来て手が出ない感じ。本当に最悪の状態でした。意味が分からなくなるほど考えました」。と明かす。悪循環の中でも、もがき続けた。志願の早出特打では、終了後も嶋村一輝・1軍打撃コーチに助言を求め、スイングを繰り返す姿があった。
1軍で与えられた打席数は、28(25打数3安打、4打点、打率.120)。もっと早く2軍で調整をすることも考えられたが、チーム事情がそれを許さなかった。昨季まで代走や守備固めが主だった渡部遼人選手が中堅の定位置をつかむほどの活躍をみせ、廣岡大志選手が腰痛で戦列を離れたため、1軍では必要不可欠な存在だったのだ。
不振を極めた中で、期待されていることを改めて知った。岸田護監督からは「今の状態ではもったいない。レギュラーをとってチームの中心になってほしい選手」と声を掛けられ、嶋村コーチからは「状態を上げられずにごめん」と謝られた。「僕が、再現性がなかったのに」。期待に応えることができなかった不甲斐なさ。状態を上げて戻ってくると誓った。兄と慕うチームの先輩、西川龍馬選手からは「流されず、自分のやるべきことをしっかりとやって戻ってこい」とLINEがきた。
2軍では、風岡尚幸監督から「フリー打撃のイメージでやりなさい」とアドバイスを受けた。「シンプルな言葉で、われに返りました」と、早速、出場した20日の広島戦(杉本商事Bs)では適時二塁打を放ち、22日の阪神戦(SGL)でも4打数2安打。23日の同じカードでは2-1の9回に試合を決める適時打を放った。
「感覚を戻すというような(実績のある)選手じゃないんで。とにかく打席に立って、打ちまくりたいと思います」。愚直に、ひたむきにバットを振る。
取材・文=北野正樹