内藤礼「ひと」 Image by: FASHIONSNAP ジュエリーデザイナーの春高未欧が2018年にスタートしたハイジュエリーブランド「ミオハルタカ(MIO HARUTAKA)」が、麻布台ヒルズに位置する唯一の直営店舗の新たなアート展示として、現代美術家 内藤礼の作品を迎えた。
2023年にオープンした同店は、単なるジュエリーショップではなく「ジュエリーとアート、そして空間との関係を通して、美意識のあり方を提案する場」をコンセプトに運営。オープン時にはコンセプチュアルアーティスト セリス・ウィン・エバンス(Cerith Wyn Evans)の作品を、2025年には店舗デザインを手掛けた現代美術作家 杉本博司の作品を展示しており、展示の刷新は今回で3度目となる。
内藤は1961年広島県生まれ。1991年に発表した「地上にひとつの場所を(une place sur la Terre)」で注目を集め、1997年には第47回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館に出展したことでも知られる。
今回展示している作品は、デザイナーの私物コレクションから選出されたもの。展示の理由について春高は「主張しすぎないアートが好き。見えないものに意識を澄ませながら手仕事を重ね、かたちにしていくジュエリー制作と、光や空気、存在の気配に向き合いながら感覚をひらいていく内藤さんの作品には通ずるところがあると感じている。静謐さを重んじる店内の雰囲気とも合っていると思いインスタレーションを企画した」と語る。なお、展示期間については明確な終了時期を設けておらず、デザイナーの「気分次第」だという。
ブランド担当者によると、近年は海外での認知拡大を背景に、売り上げが伸長しているという。ニューヨークの百貨店バーグドルフ グッドマン(Bergdorf Goodman)やロンドンのドーバーストリートマーケット ロンドン(DOVER STREET MARKET LONDON)などの海外店舗でブランドを知った顧客が、訪日時に麻布台ヒルズの旗艦店を訪れるケースが増加。加えて、麻布台ヒルズの立地特性から、ホテル宿泊客や富裕層観光客の来店比率も増加傾向にあるという。
顧客層は20代から70代まで幅広い。ブランドは片耳ピアスをブローチやカフスへ仕様変更できるサービスも提供しており、高いカスタマイズ性が男性客からの支持拡大にもつながっている。
現在顧客の視線を集めているアイテムは、今年発売した鬣(たてがみ)が揺れるライオンモチーフのリング(432万2400円)と、ボールが回転するギミックを施したシーライオンモチーフのリング(311万6300円)。その個性的なデザインが、「王道のジュエリーブランドを楽しみ尽くした人」や、「他人と被らないジュエリーを探している人」から支持を集めており、目当てに来店する客も目立つという。また、ブランド初期から展開している“うさぎ”モチーフのリング(240万円)や、“マーガレット”シリーズなどのシグネチャーアイテムも引き続き好調な売れ行きを維持している。
現在、ブランドは麻布台ヒルズ店のみで販売を行っており、オンライン販売は実施していない。担当者はその理由について、「立体感や世界観を実際に体験してほしいという春高のこだわりを反映している」と説明。動物や自然をモチーフにした立体的なジュエリーを数多く展開しているため、写真だけでは魅力を十分に伝えきれないと考え、実際に試着しながらブランドの世界観を提供できる接客を重視しているという。今後は、麻布台ヒルズの直営店を軸に認知拡大を進めるとともに、海外でのプレゼンス強化にも注力していく方針だ。
菅原まい (Mai Sugawara) FASHIONSNAP 編集記者 2002年、東京都生まれ。青山学院大学総合文化政策学部卒業後、2025年に新卒でレコオーランドに入社。中学生の頃から編集者を志し、大学生時代は複数の編集部でインターンとして経験を積む。特技は空手。趣味は世界中の美味しそうなお店をGoogleマップに保存すること。圧倒的猫派で、狸サイズの茶トラと茶白を飼っている。