ベンチマークより“実効速度”と“低発熱”で勝負! Seagateの新型ゲーミングSSD「FireCuda X1070」の実力

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2026年05月28日 15:10  ITmedia PC USER

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日本シーゲートのSSD「Seagate FireCuda X1070 SSD」のパッケージ。ラインアップは4TB/2TB/1TBあるが、写真は2TBモデルだ

 日本シーゲートから「Seagate FireCuda X1070 SSD」が登場した。ストレージ製品が高騰している今、比較的高価なゲーミングSSDとなる。また、PCI Express 4.0 x4接続対応のモデルなので、既にPCI Express 5.0 x4製品がある現状では「速さ」がウリというわけではない。


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 ベンチマークも交えてレビューしていくが、FireCuda X1070 SSDがどのような性格の製品か、どのような点で、どのようなゲーマーに向いている製品なのか、筆者なりの考察を交えて紹介していこう。


●スペック表から読み解くFireCuda X1070 SSDのゲーミング向け特徴


 同社はHDDメーカーとして知られるが、同社のSSDについては、ある程度PCパーツやニュースを追っている方でないとイメージしづらいかもしれない。


 どちらかと言えばエンタープライズ向けSSDにおける知名度の方が高い同社だが、HDDとSSDを組み合わせた「SSHD」というハイブリッドストレージもあったし、初期のSSDで耳にしたことがあるだろうコントローラーチップの「SandForce」もいろいろな経緯を経て2014年にSeagate傘下となった。コンシューマー向けSSDでも2010年代前半からの歴史がある。


 「FireCuda」は同社のHDDでも耳にしたことがあるであろうゲーミング向けブランドだ。SSDにおける「ゲーミング向け」とはどのようなものか、製品サイトのうたい文句によれば「シームレスな起動、読み込み、マルチタスクを可能にする」とのことだ。ゲーム用途での性能、同時処理(マルチタスク)での性能に特化したチューニングという解釈でよいだろう。


 FireCuda X1070 SSDはPCI Express 4.0 x4接続対応のモデルだが、そもそもSeagateのFireCudaではPCI Express 5.0 x4接続対応の「FireCuda 540」もリリースされていた。


 仕様書ベースで見ると、FireCuda 540(2TB)は毎秒1万MB(毎秒10GB)、FireCuda X1070 SSDは毎秒7200MB(毎秒7.2GB)である。


 本製品はFireCuda 540の下位モデルになるのかと思えば、そうでもなさそうだ。FireCuda 540は既にディスコンになっているようで、現時点のラインアップからは外れており、新品はほぼ流通していなかった。


 再び、本製品のうたい文句を見てみよう。


 「堅牢で耐久性に優れています。一貫したスループットと熱バランスに配慮した設計で、長時間のゲーミングでもスムーズなプレイが確保されます。」とある。


 耐久性、スループット、熱バランスといったキーワードを、スペック表ベースで見てみよう。


 転送速度については、PCI Express 4.0 x4接続対応のハイエンドモデルに準ずる。耐久性に関わるTBWについては、1TBモデルで600TBW、2TBモデルで1200TBWと、ここは他のハイエンドSSDと比べても標準的だ。


 FireCuda 540では、1TBモデルで1000TBW、2TBモデルで2000TBWほどであるため、そこまでのインパクトはない。耐久性をうたっているのに……と疑問に思うかもしれないが、もう1つのMTBFについては、データを公表している他社のハイエンドSSDと比べて比較的長い。FireCuda 540も同等だったので、Seagate製品全般の傾向なのだろう。


 熱に直結する消費電力だが、消費電力の表記は各社/各製品で異なるため同列比較が難しい。Seagateでは「アクティブ時の平均消費電力」という表記だ。PCI Express 4.0 x4接続対応のハイエンドの2TBで「平均消費電力」という項目があるモデルを例に挙げると6〜7Wだった。それと比べると4W台は低い値だ。ただし、平均消費電力=アクティブ時の平均消費電力とは言い切れないので注意してほしい。ここは実機での温度計測で確認していこう。


●シーケンシャル性能よりも注目は実ゲームと実アプリの起動速度


 ここからは、FireCuda X1070 SSDの2TBモデルを用いてパフォーマンス検証を行っていく。検証環境は以下の通りだ。


 FireCuda X1070 SSDは、CPUに接続された1番目のM.2スロットに挿している。2番、あるいは3番以降のM.2スロットはチップセットを経由するもので、ここで生じる可能性のあるボトルネックを排除するためだ。システムドライブは別のSSDを用意し、2番目のM.2スロットに挿している(今回用いたマザーボードではチップセット経由の接続)。


※FireCuda X1070 SSDは1番目のスロット(CPU接続側のM.2スロット)に装着して計測


 今回は、同じタイミングで比較対象を用意できていない。ただし、指標となるものなしで評価するのは難しいため、必要な箇所では、過去1年内に計測した製品(PCI Express 4.0 x4接続対応でスタンダードクラスのSSD)の数値を引き合いに説明していく。


 SSDの転送速度はIntel、AMDといったプラットフォームの違いでも無視できない差が生じるため、引用したのは今回の検証環境と近いIntelプラットフォームで計測したデータだ。


CrystalDiskMark 9.0.2


 それでは、ベンチマークテストの結果を見ていこう。まずは基本的な転送速度を確認する意味でCrystalDiskMark 9.0.2を実行した。


 シーケンシャルリード(Q8T1)は毎秒7.12GBほど出ており、公称スペックの毎秒7.2GBに近い結果が実際に出ていた。また、シーケンシャルライト(Q8T1)は毎秒6.37GBで、公称スペックから毎秒130MBほど低いが、おおむね合っている。


 ランダムアクセスはQ32T16が比較的高速で、リードは毎秒3.9GB、ライトは毎秒4.09GBといった速度だった。IOPS表記の公称スペックはランダムリードで90万、同ライトで100万だ。実測ではQ32T16時でリード95万1138、ライト99万9319だった。リードは公称を上回り、ライトはほぼ同等だ。なおQ1T1ではリードが毎秒68MB、ライトが毎秒234MBあたりだ。


 おおむね公称値通りの転送速度が得られている。シーケンシャル性能は、PCI Express 4.0 x4接続対応モデルとしてその帯域一杯引き出せていると言えるだろう。ランダムアクセスは、Q32T16側がスタンダードクラスのSSDと比べて大幅に速かった。Q1T1はPCI Express 4.0 x4 SSDでもリードで毎秒100MB近く出るものがある中では特別速いという印象ではないが、スタンダードクラスのSSDと比べると、ここでもしっかり速かった。


ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー ベンチマーク


 ゲーミング向けSSDなので、ゲームにおける性能も見ておきたい。ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー ベンチマークを試した。ローディングタイムはシーンごとの読み出し時間で、ここでは合計値を採用する。ベンチマークの設定は1920×1080ピクセル、標準品質(デスクトップPC)とした。


 「合計」の結果は10.602秒だった。構成の違いは考慮する必要があるが、スタンダードクラスのSSDでは12秒近くかかっており、それと比べると1秒以上速かった。シーンごとで言えばコンマ数秒ずつだが、ちりも積もれば山となる、といったところだ。


3DMark(Storage Benchmark)


 続いて3DMarkのストレージベンチマークだ。7つのテストで構成されており、うち3つはゲームの起動に要する時間で数値化されるので、まずこちらを見ていこう。


 Battlefield VはスタンダードクラスのSSDよりも大幅に速かった。Overwatch起動もBattlefield Vほどではないが速い。ただし、Call of Duty:Black Ops 4起動はスタンダードクラスのSSDよりも少し速い程度で、ここまでの2つほどの大きな差は付かなかった。


 3DMarkストレージベンチマークの残り4つのテスト項目はゲーム録画、ゲームインストール、ゲームのセーブ、ゲームアプリの移動といったファイル操作だ。ゲームのセーブについてはスタンダードクラスのSSDよりも大幅に速かった。一方で残る3つは少し速い程度だった。


●PCMark 10(Full System Drive Benchmark)


 PCMark 10のストレージベンチマークも見てみよう。ここではFull System Drive Benchmarkの結果を紹介する。


 このベンチマークでは一部、先の3DMarkストレージベンチマークと同じゲーム起動のテスト項目もある。数値は多少異なるが傾向は同じだ。ただし、内部的に全く同じではないかもしれない。


 Overwatchに関しては、スタンダードクラスのSSDとの差を広げていた他、アプリケーションの起動と操作と、ファイル操作としてISOファイル、JPEGファイルをコピーするテストもあるが、どちらも今回指標としたスタンダードクラスのSSDと比較すると、ほとんどの項目でより速いという結果だった。


 転送速度に関してまとめておこう。まずシーケンシャルアクセスでの転送速度は速い。次にランダムアクセスについては、キュー・スレッド数が大きい時に速くなるようなチューニングだ。その上で、実際のゲームやアプリは、個々にシーケンシャルとランダム比率が異なる。実ゲーム、実アプリでのキュー数、スレッド数は一般的に1〜多くても8あたりだろうか。


 本製品はスタンダードクラスのSSDよりも全般的に速い。ただし速い中でも実ゲーム、実アプリで非常に速い、やや速いといったバラつきが生じる理由はシーケンシャルとランダムの比率やキュー数、スレッド数だ。特に後者の影響が大きい。スタンダードクラスのSSDと比べて間違いなく速いので、本製品はゲーミングに強いSSDと言える。ただし「キュー・スレッド数が増えるような運用」で、よりゲーミングSSDらしい性能を出せると思われる。


 キュー・スレッド数を大きくする方法はいくつか考えられるとして、ゲーミングに関するものを挙げるなら、


・ゲームをプレイしながら録画もする


・ゲーム本体と録画先を共に本製品とする


 ――といった運用だ。ゲームだけのシングルタスクにおけるキュー・スレッド数は先の通り1〜8だが、タスクを増やせばその分が加算されるはずだ。「シームレスな起動、読み込み、マルチタスク」や「持続的なスループット」といううたい文句はこのあたりを意味していると思われる。


●稼働時の温度推移


 最後に、稼働時の温度推移をハードウェアログ取得ツールで計測した。計測時の室温は23度前後だ。ツールでは、SSD上にある3箇所の温度センサーの値を取得できる。どれがどのセンサー値かという情報はないが、一般的に最も高温になるのがコントローラーチップの値、次いでNANDチップ、最後にPCB基板と想定してグラフにしている。3DMarkのストレージベンチマークと、PCMark 10のQuick System Drive Benchmarkで計測した。


 3DMark ストレージベンチマーク実行中の温度を見ると、本製品はコントローラーが最大54度、NANDが最大37度、PCBが最大37度といった結果だった。


 PCMark 10ストレージベンチマーク実行中の温度は、コントローラーが最大54度、NANDが最大39度、PCBが最大39度といった結果だった。2つのベンチマークは実行時間も違い、アクセス負荷も異なると思われるが、それほど変わらない値になった。


 一般的にPCI Express 4.0 x4対応モデルでも製品自体がやや古かったり、高速なモデルだったりすると、コントローラの最大温度で70度あたりになることが多い。サーマルスロットリングのしきい値もこのあたりにある。


 それと比べると、本製品の値は大幅に低かった。季節(室温)の違い、検証環境の違いといったところでも差は生じるものだが、それを考慮しても大きな差なので、本製品は低発熱と言ってよさそうだ。冒頭で触れた、「熱バランス」といううたい文句を思い出してほしい。


●高価だが実効性能に糸目をつけないゲーマーにオススメのSSD


 本製品はPCI Express 4.0 x4接続であり、SSD全体を見渡せばPCI Express 5.0世代の選択肢も増えた現在、シーケンシャルリード/ライトのベンチマークではそこまでインパクトがあるわけではない。


 ベンチマークスコアではなく、ゲームプレイにおける実効性能を訴求するタイプの製品だ。実ゲームや実アプリではランダムアクセス性能が重要となる。ゲームの起動、アプリの起動においてスタンダードクラスのSSDよりも速かったのはこのあたりが効いていると見られる。


 そして、キュー/スレッド数が大きい状況向けにチューニングされているふしがある製品だ。ストレージの価格が高騰している現在、ライトなゲーマー、対象のゲームのみシングルタスクで楽しむゲーマーの多くは高価なゲーミングSSDではなく比較的安いスタンダードクラスのSSDに一定数流れるものと思われる。


 本製品を選ぶのは、こうした状況下でもゲーミング性能に妥協できないゲーマーだ。また、ゲームをしながら録画もする配信者、コミュニティー内で動画などをシェアするマルチプレイヤーといったマルチタスクなゲーマーなら、本製品の性能をさらに引き出せるだろう。


 最後に実売価格を見ていくと、1TBモデルで5万4000円前後、今回試した2TBモデルで10万円前後、4TBモデルで19万8000円前後となっている。現状、ハイエンドモデルでは2TBで10万円超もあるため、同クラスで比較すれば飛び抜けて高いわけではない。


 ゲームでの実効性能、低発熱かつMTBFも長い、製品保証が長い、データ復旧サービスが付くといった付加価値などもあるので、ここは総合的に判断したい。2TBモデルや4TBモデルが予算オーバーになるなら、ゲームライブラリーを整理するような運用面で工夫する前提で1TBモデルを選ぶのもありだ。



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