
満を持してのシニア移行だった昨シーズン。トータルのシーズンベストは坂本花織と千葉百音に次ぐ3位、さらにGPファイナル2位、ミラノ・コルティナ五輪3位と結果を出したシーズンを、中井亜美(TOKIOインカラミ)はこう振り返る。
「本当に人生が変わるようなシーズンを過ごせました。終わった今になって考えると長かったし、そのなかでも楽しい時間も悔しい試合もあったけど、いっぱい学べて本当に幸せな時間を過ごしたなと思います。
五輪などの結果については今でも本当にびっくりしているし、ここまで来るとは思ってなくて。でも自分自身でしっかりチャンスをつかみとってそこで結果を出せたというのは、運もあったけど実力があったからかなと少しずつ思い始めています。本当に楽しみながらできたというのが、自分にとって一番よかったなと思います」
その演技のなかで印象的だったのは、武器であるトリプルアクセル以外のジャンプのミスがほとんどなくなっていたことだ。前季まではそこが不安定で200点に届かない試合が多かったが、昨季は最悪でも200点台はキープした。
「意識の違いでそうなったと思うけど、以前はトリプルアクセルにずっと重きを置きすぎていたというか、アクセルが大事というふうに思っていました。でも中庭健介先生とも話して、アクセル以外のジャンプも大切ってことに気づいたので、それ以外のジャンプの練習をすごくするようになって。
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プラスアルファでトリプルアクセルも頑張っていくと決めたことで意識が変わったというか、全体的なバランスがうまく取れるようになったと思います。それでトリプルアクセルも逆に力まなくなった感触もありました」
そんな手応えがシーズン初戦からあったからこそ、初挑戦のGPシリーズものびのびと臨めて楽しむこともできたのだろう。そして結果を積み重ねることで、初の大舞台だった五輪でも生き生きとした滑りで挑戦することができた。
「正直、最初のほうはシニアデビューシーズンの試合だったので緊張というより、不安が大きくて『どうなるかわかんない。ドキドキ!』みたいな感じでした(笑)。でも五輪になった時はそれまでにいろんな試合を経験して出た試合だったので、本当に楽しくて『自分自身今の実力を発揮するだけだ』というふうに思ってたので、本当に今の自分を出せたかなと思っています。
でもショートで1位になると思っていなかったし、最初のほうに演技が終わって坂本花織選手やほかの皆さんの演技を見ていたので。だから1位の時は一瞬、緊張感というか『どうしよう?』という気持ちになったけど、中1日あったので次の日から気持ちを切り替えてできたのでよかったと思います」
最終戦の世界選手権は、五輪メダリストとして出場するプレッシャーもあった。硬い表情の滑りだった中井は、シーズンワーストで競技を終えて9位にとどまった。だがそれも、五輪銅メダルという結果を必要以上に大きく引きずらずに次へ向かえるきっかけにはなったはずだ。その面でも彼女の強運ぶりを感じる。
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「やっぱりあれだけの長いシーズンを過ごしたことがなかったし、たくさんの大舞台を何回も何回も重ねてきたので、相当なプレッシャーや緊張を世界選手権では一気に浴びた感じでした。
だからすごく難しかったというか、どういうふうに立ち向かっていけばいいかがわからないままで出場しちゃったので。そこはまた来シーズンに向けて新しい課題かなと思います。
いつも楽しいことだらけで挑戦できていたんですけど、最後の世界選手権ではあらためていろんな気持ちを感じ取れたというのは、来シーズンに向けて大切なことかなって思います。だから本当にいい意味で、あそこで学べてよかったなと思います」
インタビュー後編につづく>>>
【プロフィール】
中井亜美 なかい・あみ/フィギュアスケート選手。2008年4月27日生まれ。主な成績は2025年グランプリファイナル2位、2026年四大陸選手権2位、2026年ミラノ・コルティナオリンピック銅メダル。『ファンタジー・オン・アイス2026』には初めて出演し、家入レオとコラボパフォーマンスも披露する。
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