『孤独のグルメ』原作者が558円のコロッケ弁当を食べて褒めまくった理由…「見た目は平凡なれど、死角なし」/久住昌之

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2026年05月30日 09:00  日刊SPA!

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ありそうでなかった、コロッケ弁当
―[連載『孤独のファイナル弁当』]―
『孤独のグルメ』原作者で、弁当大好きな久住昌之が「人生最後に食べたい弁当」を追い求めるグルメエッセイ。今回『孤独のファイナル弁当』として取り上げるのは「コロッケ弁当」。果たして、お味はいかに?

◆孤独のファイナル弁当 vol.33「ありそうでなかった、コロッケ弁当」

 展覧会前で準備が忙しく、手伝いの人に弁当を買ってきてもらった。「なんでもいい」と言ったら「有機牛肉のコロッケ弁当(有機玄米)」というのを買ってきた。798円のところタイムサービスで558円。

 弁当容器が細長くコンパクトだ。腹いっぱいにしたくなかったのでちょうどよい。

 しかし「コロッケ弁当」というのもありそうでない、いやあるけど、なかなか自分でチョイスしない弁当なんだな、と買ってきてもらって初めてわかった。シンプルでいい。

 だが、蓋を開けてみたら、コロッケ弁当と名乗りながら、おかずが多く、見た目にも充実していて意外だった。

 まず半分の卵がゆで卵というより目玉焼きに近い。これがまずなんだか嬉しい。

 かなり小さいが鶏の唐揚げも入ってる。きんぴらごぼう。ちくわの磯辺揚げもあるぞ。そしてこれは牛肉のそぼろだろうか。あ、これはサツマイモだ。珍しや。

 きんぴらごぼうも押さえているし、コーンものぞいていて、紅生姜もある。

 いいじゃないかいいじゃないか。楽しいぞ楽しいぞ。

 とコロッケから食べ始めたら、うまいうまい。どれもこれも、平均点を超えている味。コロッケ、「有機牛肉」と謳うだけあって、肉が多めでポテト部分もおいしい。卵の薄い形が食べやすくナイス。黄身硬めでそれがゆで卵的なニュアンスも醸し出していてグッド。コロッケにも合う。

 そして小さいのをケチって半分齧った鶏の唐揚げがまた充実味。半分ずつ時間をずらして食べるのが正解。後半思い出したように食べたい。

 きんぴらの味付けがよい。そしてちくわもテキトーではない。きちんとうまい。小さいから思わず大切にしちゃう。

 そして肉そぼろがウマイ。これはこの弁当の準主役。というか影の番長(最近言わねえな)。これとごはんで懐かしく幸せな弁当時間が出現。

 そう、玄米ごはんがしっかり土台を支えている。おいしい。量もいい。そこにコーンがチラホラいるのも、全然邪魔ではなく、むしろ歓迎。楽しい。

 これはいい弁当だなぁ、と思いながら食べてみたサツマイモが甘くておいしい。このくらいの大きさのこのくらいの甘さは、甘いの苦手なボクにもありがたい。他のおかずの盛り上げ要因として十二分に機能。

 だけどやっぱりちょっと甘いな、と思って紅生姜をちょいと摘んでみたら、こいつがまたちゃんとしている。牛丼屋の紅生姜もいいけど、こっちはちょいと本格派。サツマイモと反対色になって、この弁当全体に味のダイナミクスを出している。

 久しぶりに褒めまくってるが、この弁当、見た目はやや地味やや平凡なれど、死角なし。隅々まで丁寧に美味しいものであった。

 お手伝いのスタッフに大感謝だった。その後の仕事がスコブル捗った。

―[連載『孤独のファイナル弁当』]―

【久住昌之】
1958年、東京都出身。漫画家・音楽家。代表作に『孤独のグルメ』(作画・谷口ジロー)、『花のズボラ飯』(作画・水沢悦子)など。Xアカウント:@qusumi

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