
5月24日(日)の放送では、株式会社西嶋工務店に注目。代表取締役 宮大工の西嶋靖尚(にしじま・やすひさ)さんをゲストに招き、宮大工の修行や、デジタル技術の活用法について話を伺いました。
(左から)株式会社西嶋工務店 代表取締役 宮大工 西嶋靖尚さん、パーソナリティの金村剛史
◆宮大工の神髄・心根を代々継承
株式会社西嶋工務店は、兵庫県姫路市を拠点に、神社仏閣の建築や修繕を手がけています。代表取締役である西嶋さんは「法人としては代表取締役ですが、本来の肩書は宮大工・大棟梁の当主です」と語ります。
西嶋工務店は昭和30年に創業しましたが、西嶋家の宮大工としての歴史は寛永年間から約400年続いています。現在、西嶋さんは32代目。姫路城築城の時代から受け継がれてきた系譜で、会社には約40人の弟子が在籍しています。
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そもそも宮大工とは、どのような存在なのでしょうか。西嶋さんは、「宮大工の“宮”は神社の宮ですが、“御家(おんや)”という意味合いでもある」と説明します。神社の御神体や仏像を納める御厨子(おずし)など、一般には見えない神聖な空間をつくることも宮大工の役目です。だからこそ、「けがれを持ったまま触れるわけにはいかない」という考えが受け継がれてきました。
また、西嶋さんは宮大工の仕事について、「神様や仏様を雨風から守る建物をつくること」だと説明します。神社仏閣の建築には、宗派や土地ごとの形式、作法など膨大な知識が必要で、「失礼のないように建てていくのが私たちの仕事です」と力を込めました。
◆長く険しい宮大工への道のり
西嶋工務店では、一般的な「入社」という形を取りながらも、その実態は昔ながらの「弟子入り」に近いといいます。会社として社会保険などの制度は整っている一方、弟子たちは親方と盃を交わし、親子のような関係を結びます。そして、正式な弟子として認められる節目が、「法被(はっぴ)をもらう」ことです。
そこに至るまでの修業は厳しく、「途中で逃げて帰る子もたくさんいる」と西嶋さんは明かします。それでも、法被を受け取る前の3〜5年ほど修業した段階で、一般の大工なら「30年くらいの経験者レベル」になると説明しました。
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ただ、弟子たちは長年憧れてきた秘伝書を手にしても、「9割ほどわからない」と感じるといいます。そこで一度、自信を打ち砕かれ、「もう大工を辞めます」と口にする人もいるそうです。
西嶋さんは、その挫折こそが大切だと語ります。「自分がいかに調子よく上まで来ていたかを、1回へし折る。その段階を経ることで、『このままではダメだ』と気づき、人がガラッと変わるんです」と話し、挫折が成長につながると説明しました。

(左から)株式会社西嶋工務店 代表取締役 宮大工 西嶋靖尚さん、パーソナリティの金村剛史
◆目指すはデジタルと伝統の共存
400年続く宮大工の流派を受け継ぐ西嶋工務店では、伝統を守りながらも、早くからデジタル技術を取り入れてきました。西嶋さんによると、昭和55年頃には全国の宮大工のなかでも先駆けてCADを導入していたといいます。当時は宮大工向けのソフトがなく、西嶋さんの弟が自らプログラムを開発。現在は「JW CAD」をベースにしながら、独自仕様へと改良を重ねてきました。
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さらに、西嶋工務店では神社仏閣特有の彫刻をデータ化。龍や鬼瓦などを原寸で描き、それをCAD上で縮尺できるように作り直しているといいます。西嶋さんは「うちの設計は、そのまま拡大すれば彫刻ができる」と語り、データの高い精度に自信をのぞかせます。わずか1〜2ミリのズレも許されないため、最終的には西嶋さん自身が細かな修正を加えているといいます。
その背景には、「建物と彫刻を一体にしたい」という思いがあります。寺社の歴史や神仏の背景まで意識して描くことで、「派手すぎず、地味すぎず、建物と一体になる彫刻」を目指していると語りました。西嶋さんはデジタル化を「職人の仕事を奪うもの」とは考えていません。日報整理や写真管理などを効率化し、「本業に集中できる時間を増やしたい」と話します。
ただ、AIでは代替できない領域もあるといいます。ヒノキの柱を削る際の力加減や木の状態を見極める感覚は、「人間の手で修業させたい部分」だと強調しました。西嶋さんは、「職人の技術は高めつつ、そこに至るまでの工程ではロボットやAIを活用し、少しでも手間を減らしたいです」と語ります。西嶋工務店は、伝統技術を守りながら、最新技術との融合を模索しています。
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音声版「デジタル建設ジャーナル」
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<番組概要>
番組名:デジタル建設ジャーナル
放送日時:毎週日曜日 15:00-15:55
パーソナリティ:中辻景子・田久保彰太・津吉沙織里・金村剛史
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