アパレルの「デジタル製品パスポート」実装に向け実証実験始動、ゴールドウインが参加

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2026年06月02日 13:30  Fashionsnap.com

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 NTTドコモビジネスとサーキュラーエコノミーの社会実装を目指すベンチャー企業 サイクラス(CYKLUS)が、アパレル製品に「デジタルプロダクトパスポート(以下、DPP)」を導入する実証実験を開始した。サイクラスやゴールドウインなど4社が参加し、11月にかけて第1回の実験を行い、2027年2月ごろに第2回を実施。同年秋ごろの本格的な社会実装を目指すという。

アパレル製品の「履歴書」DPPとは?
 DPPとは、製品の原材料調達からリサイクルに至るまでの履歴をデジタル上に記録し、透明性を高める仕組みのこと。先行する欧州では、2024年に発効したエコデザイン規則(ESPR)のもとでDPPの法的枠組みが成立し、2027〜2028年にかけてアパレル・テキスタイル製品でもDPPが義務化される見通しとなっている。
 今回の実証実験では製品にQRコードを取り付け、それをスマートフォン等で読み込むと、素材構成などの「基本情報」をはじめ、CO2排出量や水使用量などの「環境指標」、製品の開発背景といった「ストーリー」を確認できる。加えて、適切なお手入れ方法や過去の「修理履歴」、リペアやリサイクル窓口への導線なども一元管理する。実験を通し、アパレル製品の修理や回収、再販、リサイクルをスムーズにつなぐサービスの実装と、将来の環境規制を見据えたデータ基盤の整備を目指す。あわせて、製品の背景や循環の取り組みをユーザーと共有することが、ブランドへの愛着形成やブランドの価値向上にどうつながるかなども検証する。

 第1回の実装実験には、修理サービスを手掛けるサイクラス、ゴールドウインのオリジナルブランド「ゴールドウイン」、クライミングウェアブランドの「4cストゥディオ(4c Studios)」、修理サービス「リフォルメ(ReForme)」を運営するミヤモリが参加し、対象となる400〜500点の製品や修理品にタグを取り付ける。参加企業やブランドからは社会実装に向けてフィードバックを集める。

 なお、同実証実験のシステム基盤には、NTTドコモビジネスが提供する再生資源循環プラットフォーム「CEMPF®(Circular Economy Management Platform)」を採用。同プラットフォームは、資源循環に必要なデータを一元管理し、トレーサビリティの確保や環境認証にも対応した次世代のICT基盤だ。今回の検証では、アパレル分野におけるDPP活用の第一歩として、この基盤を通じて製品情報の提示や関係者間の情報共有を行い、ユーザー体験の向上や実際の運用にフィットするかどうかを確認していく。
「作って売って終わり」からの脱却、国内外で高まる導入の機運
 説明会に登壇したNTTドコモビジネス スマートインダストリー推進室の前田亮室長は、「これからの時代は経済成長と環境負荷の増加を切り離し、『作って売って終わり』から『⾧く使い続ける』ビジネスモデルへの転換が求められている」と強調。続いて、サイクラスの平田健夫代表取締役が、EUのエコデザイン規則発効や国内の環境配慮ガイドライン策定などを挙げ、サプライチェーン全体で情報開示やトレーサビリティ(追跡可能性)への要請が急速に高まっている背景を説明した。
 こうした要請が高まる中、平田氏はDPPが単なるルール対応にとどまらず、製品を長く愛用するためのツールとして機能する「2つの価値」を提示した。1つ目は「情報提供の価値」。製品がユーザーに届くまでの工程や、使用・修理の履歴を可視化し、情報の付与によってモノ自体の価値を引き上げることで、ユーザーの愛着やブランドロイヤリティを育む。2つ目は「サービス提供の価値」。単なる情報の提示ではなく、修理やメンテナンス、リユースといった循環型サービスへの導線を設け、最終的に適切な形でリサイクルされる仕組みを支える。
 さらに平田氏は、DPPの導入が社会全体にもたらすメリットについて次のように強調。「DPPを循環型サービスと連携させ、モノの旅を次へと繋げていく仕組みを提供することで、ブランドやサーキュラー事業者にとっては新たなビジネス創出に繋がり、環境と経済の両立を目指すことが可能になると考えている。それにより、社会全体におけるCE(サーキュラーエコノミー)コマースの拡張を目指す」。
「ゴールドウイン」が実証実験に参加する理由
 同取り組みへの参加企業であるゴールドウインのマーケティング部長 蓑輪光浩氏に、今回の実証実験への参加理由を訊ねた。
現在、ゴールドウインは世界戦略を加速しており、欧州では英ロンドンと独ミュンヘンに直営店がある。欧州で事業を行う上で、DPP対応は避けては通れないテーマ。2028年に欧州でDPPが義務化された時に、突然対応しようとしても難しいため、事前に準備を進めておく必要がある。しかし、これを単なる制度対応としてではなく、製品の信頼性や「どう長く使っていくか」をお客さまに伝えるための、これからの社会に向けた重要な取り組みだと捉えている。サプライチェーンが非常に複雑なため、全アイテムへの一斉導入は困難だが、まずは今回の取り組みを通じてできる部分から模索していきたい。

佐々木エリカ (Erika Sasaki) FASHIONSNAP 編集記者 埼玉県出身。早稲田大学国際教養学部卒業後、国内大手アパレルメーカー、ケリング傘下ブランドのMDなどを経験した後、2023年にレコオーランドに入社。現在はウィメンズファッションをメインに担当。ファッションやカルチャーへの熱量と同様にジェンダーや社会問題にまつわるトピックにも関心があるため、その接点を見出し、思考や議論のきっかけとなるような発信をしていけたらと願っている。

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