AI進化見据え対応精度を強化 TED新社長の宮本隆義さん

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2026年06月19日 17:10  OVO [オーヴォ]

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OVO [オーヴォ]

インタビューに応じた東京エレクトロンデバイス社長・宮本隆義さん

 経済安全保障の側面から半導体や人工知能(AI)の先端技術に各国の注目が集まる中、半導体・IT・AI製品を扱う技術商社・東京エレクトロンデバイス(TED、東京都渋谷区)の宮本隆義社長(56)は「先端技術の軍事転用防止のための輸出貿易管理の規制は今後も増えると思う。大事な部分なので、当社も人を増やしてチェック機能を強化している」と話す。経済安保やAIの進化、サイバー攻撃防御への対応などを宮本さんに聞いた。

―先端半導体・AIの輸出貿易管理への対応は。

 関係法規の順守を徹底し、当社が扱う半導体IT商品は、最終的に誰が使用するのか、何の目的に使用するのか、といったことを把握、記録しています。そもそも製品は軍事転用しない条件で売っています。エンティティーリスト(国家安全保障上懸念がある指定企業)など、規制フィルターのふるいにかけるなど、輸出貿易管理対応は担当者を増やして強化しています。GPU(画像処理装置)などの売買契約書には「軍事転用禁止」の明記などを、ベンダー(提供元)から求められています。

―AIの進化スピードへの対応は。

 AIの技術とAIを取り巻く環境の変化は少し早すぎると感じる部分もありますが、AI関連は毎日変化が起きているような状況なので、これまでもやってきましたが、新しい変化に目を光らせ次の展開を想像しながらAI関連製品を扱っていく“精度”をさらに高めていきたいと思います。

―技術商社から見たAIのポイントは。

 二つあると思います。一つはAI用サーバーに対するAIによる攻撃です。質量ともに高度化するAIの攻撃に対して人間の能力では防御が追いつかない部分がありますので、防御側も技術を高度化させて防御を機械化・自動化させることが必要です。この高度な防御分野でお客さまに採用してもらえるようなより良い製品を常に探しつづけています。もう一つは自律型の「AIエージェント」や物を運んだり組み立てたりする自律行動型の「フィジカルAI」などの形でAIの活用分野が広がっていくと思います。当社も電子デバイスチームがエッジAI(クラウドや遠隔のサーバーではなく近くに設置されたデバイス自体でAI処理を行う技術)に取り組んでいますし、AI実装時のクラウドサービスをよりうまく使えるようなサービスもやっています。当社のAI関連製品の取り扱いは今後増えていくと思います。

―サイバー攻撃に対応した御社のセキュリティー関連製品は順調に伸びていますね。

 社員のID、パスワードが盗まれて企業のシステムに「正規」にログインし業務を停止させる形のサイバー攻撃が国内でも増えています。これは、普通のログインで入ってくるのでシステム内で動き回られるのは当然です。セキュリティーソフトウェアを無効化されたり、データを暗号化されたり、データやバックアップデータも削除されたりと、ひどいことを仕掛けられてしまいます。IDの盗難や権限の不正利用を防ぐITDR(Identity Threat Detection and Response、アイデンティティー・スレット・ディテクション・アンド・レスポンス)の重要性が高まる中、昨年後半から関連製品の取り組みを本格化させています。多くのお客さまにとって優先順位は高い分野だとは思いますが、防御のやり方には企業ごとにいろいろな考え方があります。攻撃されても確実に素早く元に戻る状態を確保しておくことはとても大事ですが、コストもかかるので、そこまでは要望しない企業もありますので、当社としてはすべての要望をカバーできる防御製品を取りそろえ、各企業に最適なセキュリティー構成を考えて提供しています。

―この分野は今後さらに力を入れていきますか。

 このセキュリティー分野の製品は最近取り扱いを始めたばかりですから、ピーク状態でも何でもなくて、まだまだ入口に入ったという感じです。


▽インタビューを終えて▽

 宮本さんの趣味はラグビー観戦。「選手のぶつかり合いより、審判をよく見ています。ラグビーにはゲームの流れみたいなものがあり、その流れを読むのが面白い」と話す。ラグビー好きになったきっかけは、10年前に53歳で亡くなったラグビー日本代表選手で代表監督も務めた平尾誠二さん。平尾さんの本で「ラグビーは相手側に進んでトライしなければいけないのにボールを前に投げてはいけない理不尽なスポーツ。社会も同じである」という意味の一文に出合い、何となく感じていた社会の実相への理解を深めたという。

 「平尾さんは世界で勝つためのビジョンを持ち、明確な組織論、戦略があった。きちんとしたリーダーシップがあれば自分たちは強くなれるという信念があったと思います。ビジネスにも生かしたい考え方です」

 こう話す宮本さんは4月1日の社長就任以前から、1993年の東京エレクトロン入社以来の30年余りの業界経験を通じて、ラグビーの試合同様、変化の激しい半導体・ITビジネスの流れの先々を的確に読んでいるにちがいない。

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