ブラジルの国旗を見せる斉藤幸子さん(中央)と両親=27日、名古屋市中区 サッカーのワールドカップ(W杯)で日本代表は30日、王国ブラジルと対戦する。日本国内の日系ブラジル人はさまざまな思いで、決戦の行方を見守っている。
1990年の入管法改正以降、世界最大の日系人社会があるブラジルからは多くの日系ブラジル人が日本に渡った。リーマン・ショックで一時減少したが、その後も各地に根付いている。
自動車関連工場が集まり、周辺を含めた人口の約半数がブラジル人といわれる愛知県豊田市の保見団地。「ブラジルに勝ってほしいけど簡単な試合にならないだろう」。こう予想するのは日系3世の美容師ジョゼ・マサオさん(55)。昨年10月の国際親善試合では日本が勝利したことに触れ、「前に負けたから今回は準備ができている。技術よりもプライドの勝負になる」と真剣な表情だ。
名古屋市の老舗ブラジル料理店「オッソブラジル」で働く日系3世の斉藤幸子さん(20)は、ブラジル国籍の両親と暮らしながら、年内の日本国籍取得を目標にしている。「日本で生まれて育った。どちらの国を応援するかは選べない」と複雑な心境を明かす。
日系人を中心に、人口の1割超をブラジル人が占める群馬県大泉町。3歳から日本で暮らす日系4世の自営業田中ウェイネルさん(31)は、ブラジルの勝利を確信しつつ、「相手が違えば日本を応援するんだけど」と苦笑い。同居する西村ハルミさん(27)は、サッカーのブラジル戦はいつも家族で見るという。キックオフは午前2時だが「寝ていたら家族みんなをたたき起こします」と笑った。
多文化共生に力を入れる島根県出雲市で、電子部品製造会社で働く日系2世の男性(49)は、来日して20年以上になる。試合当日は「もちろん、ブラジルを応援」としつつ、「もしブラジルが負けても次は日本を応援できる」と語った。

「Vai Brasil!(行け!ブラジル!)」と叫び、ブラジルを応援する田中さん、西村さん家族=26日、群馬県大泉町