限定公開( 1 )

慶應義塾大学のキャンパス内にある池で釣りとガサガサをして、巨大生物をハントする様子を収めた動画がYouTubeで話題です。投稿は記事執筆時点で25万回以上再生され、5200件を超える高評価を獲得しています。
動画を投稿したのは、YouTubeチャンネル「野食ハンター茸本朗(たけもとあきら)ch(@hunter.takemoto)」。山や海の幸などありとあらゆるものを日本各地で採集し、食べる様子を投稿しています。以前には、夜の駿河湾で釣りをする様子や、日本各地に自生する“ジャパニーズバナナ”をなんとか食べようと試行錯誤する様子が注目を集めました。
今回話題を呼んでいるのは、慶應大学湘南藤沢キャンパス(SFC)で外来生物をハントしていく様子です。生物多様性保全の研究をしている一ノ瀬研究室の学生さんたちによると、キャンパス内の池で外来生物が大量発生してしまっているようで……?
学生さんたちの案内のもと敷地内を進んでいくと、早速大きな池が見えてきました。こちらの池は通称「鴨池」と呼ばれていて、遊水池になっています。
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鴨池に近付いていくと、すぐに大きな魚影が見えてきました。この魚影はずばり、今回のターゲットである外来生物の「コイ」です。こちらのキャンパスが設営された30年前にはまだコイが外来生物という認識がなく、意図的に放されたようです。
当時の人たちは“自然豊かな池”といったイメージのために、コイを放ったのかもしれません。しかしその思いが結果的に、コイが池の生物多様性を壊すという状況を作り出してしまっています。
というのもこういった池には一般的に水草が生えますが、コイが食べているのかあるいは堆積しているヘドロをかくはんしているのか不明ですが、鴨池には水草がほとんど生えていません。そのためコイが水草の成長を阻害しているのではないか、という仮説が立っているのだとか。水草が育たない池では、それに依存する生き物も育つことができません。そのためコイを防除した後に、どれくらい生物多様性に変化が出るのかモニタリングしていきたいと考えているそうですよ。
なお一般の人の鴨池への立ち入りや、生物の捕獲は固く禁じられています。今回はコイをハントし調理して食べますが、この企画については一ノ瀬研究室の学生さんが大学側へ許可を取った上で行われています。
この後は早稲田大学のOBである茸本さんと一ノ瀬研究室の学生さんに分かれて早慶戦、または慶早戦的にコイを狙っていくことに。果たしてどちらの陣営が勝利するのでしょうか。
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早速コイのハントを始めた茸本さんによると、日頃からパンを食べているコイは条件反射でパンを食べてしまうとのこと。そこでまずはパンをエサに、コイが釣れるか確認していきます。この池でパンに興味を示すコイは1〜2匹でしたが、キレイなフォームでパンを投げ続けると……ついに大きなコイを釣り上げることに成功したのでした。
しかし釣りでは1匹しかハントできなかったため、ガサガサでコイを狙っていくことに。鴨池はひょうたんのような形をしているので全員で池に入り、横並びになって狭い方に向けて歩き、コイを追い込んでいきます。ところが、コイの姿は確認できるものの池の広さや水中での機動力を考えると、コイの方が圧倒的に有利な状況です。
学生さんたちによると実は鴨池は“SFCのサンクチュアリ”的な存在であり、入ったら退学になるといううわさがあった場所なのだとか。しかしそれはおかしいのではないかと考えて許可を取り、昨年調査の許可が下りたばかりとのこと。手を付けなければならない場所にもかかわらず、手を付けられていないという状況が歯がゆかったそうですよ。
また今後については、鴨池の水を全部抜く「かいぼり」を考えているとのこと。ガサガサではコイを捕獲することができず、この日捕獲できたのは1匹だけでしたが、鴨池の防除に少しだけ貢献することができました。この後は本日捕獲したコイを調理して、みんなでおいしく食べることに。
一行はキッチンへと移動、茸本さんが四川料理「水煮魚」を作っていきます。この料理は淡水魚、特に街中で捕れた淡水魚をおいしく食べるレシピとしては、かなりよいものなのだといいます。
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学生さんたちはキャンパス近くの川で大量発生しているコイを捕り、何度も食べたことがあるそうです。しかし鯉こくにしたときはおいしかったけれど、唐揚げにしたときは独特な癖が感じられたのだとか。
茸本さんはコイのような魚を調理する際は、中華料理をおすすめしているそうです。特に四川料理は内陸の料理ですが、コイ科のソウギョやハクレンなどをよく利用しています。泥臭いという理由から日本ではあまり利用されていないこれらの魚たちは、中国ではごちそうになっているのです。
学生さんたちと話しながらコイの身を見てみると、赤みが強いことがわかります。茸本さんによると「ドイツゴイ」の系譜のコイは身が赤いことが多く、赤いコイは外国由来の比較的最近入ってきたものと思われます。鴨池で泳いでいるコイは、在来種ではないと考えて差し支えなさそうです。
コイ科は新鮮であればあるほどおいしいと話しつつ、皮ごとスライスしていく茸本さん。コイの皮は臭いイメージがあるけれど、皮周りにはゼラチン質が多いため、皮を捨ててしまうと魅力が半減するのだとか。骨が当たるので少し薄めに切り、市販の水煮魚の調理セットで調理していきます。
まずは下味をつけて臭みを取る粉とショウガで身を、コイのおなかにあった白子をネギとニンニクとショウガで和え、同時に調理していきます。
続いてたっぷりの油を使って香辛料を加熱して香りを立てておき、魚の身と白子を湯通しして、作ったスープで煮ていきます。最後に加熱しておいた香辛料を入れ、炒めたレタスの上に盛り付け、パクチーとワケギを乗せたら完成。キャンパス内で採れた外来植物「モウソウチク」のタケノコを使って作った、タケノコご飯とともにいただいていきます。
学生さんたちとテーブルを囲み、いざ実食。コイの水煮魚を口にした学生さんたちは「今まで食べたコイで1番癖がない」「コイだと信じられないくらいおいしい」と、その味を絶賛。臭みがなくて身はほろっとしていて皮はプルプル、骨の硬さも気にならないほどおいしかったそうですよ。
なおキャンパス周辺にはコイ以外の外来種の姿も確認されていて、近くにある小出川にはウシガエルやミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)がいるのだとか。ただし在来種のニホンナマズやテナガエビなども確認できていて、外来生物に支配されている感じではないそうです。
一度入ってしまった外来生物を完全に駆除することは難しいけれど、外来生物の方に採集圧を与えていけば、在来生物の種類や数を増やすことはできます。こういった活動を身近な環境からやっていくことで周りの人たちも動かされ、やがて環境が豊かになり、同時に生活も豊かになっていく……キャンパス内の活動からそんな流れが続き、広がっていくといいですね。
投稿には「デッッッッカ!」「鯉がめっちゃでかくて笑っちゃいましたw」「日本の未来を担う優秀な若者たちとのハント素晴らしい」「いやー、爽やかで聡明なのにコイ食べちゃうとか、大変素敵な若者ですね」「イケメン(池で環境保全活動する面々)」「フィニッシュが『食す』なのが 外来種生物に対する最大のリスペクトであり供養だと個人的には思います。命に感謝ですね」などの声が寄せられました。
茸本さんはYouTubeチャンネル「野食ハンター茸本朗(たけもとあきら)ch(@hunter.takemoto)」の他、X(Twitter/@tetsuto_w)でも情報を発信中。全国各地に存在する、マニアックな食材を食べる様子を見ることができます。
動画提供:YouTubeチャンネル「野食ハンター茸本朗(たけもとあきら)ch(@hunter.takemoto)」
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