記憶に残っているプロ野球の「初ホームラン」【山本萩子の6−4−3を待ちわびて】第225回

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2026年07月03日 17:30  週プレNEWS

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プロ初ホームランについて語った山本キャスター


プロ初ホームランについて語った山本キャスター

それは、雨の神宮球場でのこと。打席に立つのはドラフト1ルーキーの松下歩叶選手。中日の先発、金丸夢斗投手が投じた2球目はチェンジアップ。松下選手がその低めの球を振り抜くと、打球はスタンドに吸い込まれていきました。

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それが松下選手にとって、プロ入り後初のホームランとなりました。プロ初ホームランといえば、忘れられない場面がいくつかあります。

まずは、2018年9月16日のヤクルトvs広島戦。村上宗隆選手が1軍に初昇格し、初打席でホームランを記録した試合です。さらにメジャーでも、初ヒットがホームラン。やはりこの人は何かが違うんでしょう。

オスナ選手とサンタナ選手が、2者連続で来日初ホームランを放った日(2021年4月25日)も印象に残っています。とりわけ記憶に焼きついているのがサンタナ選手の一発。逆らわず右方向へ運んだ打球に、既視感を覚えました。実は2019年3月20日に東京ドームで行なわれたMLB開幕戦で、私はマリナーズ時代のサンタナ選手の満塁アーチを見ていたんです。

その日は、イチローさんの引退試合&開幕戦の取材でした。サンタナ選手はライトスタンドへ逆方向の一発を放ちましたが、打球が伸びてスタンドに入るパワーに、現役メジャーリーガーのすごみを感じました。そんな選手がヤクルトのユニフォームを着て、神宮にアーチをかけた。それに続いたオスナ選手も含め、これから彼らの勇姿が見られることに喜びを感じました。

現在はオリックスでプレーしている、廣岡大志選手のデビュー戦(当時はヤクルト)も印象的でした。

2016年9月29日、三浦大輔さんの引退試合で、プロ初打席・初本塁打。それが、"番長"の最後の被本塁打になりました。ルーキーの一発が、レジェンドの歴史の1ページに刻まれる。プロ野球の世代交代を象徴するような一発でした。

廣岡選手はここ数年怪我に泣かされており、今年4月にも腰椎椎間板ヘルニア摘出術を受けましたが、オリックスに欠かせない選手です。私が、チームが変わっても廣岡選手を追いかけているのは、あの日の初ホームランが今でも忘れられないからかもしれません。

オリックスの来田涼斗選手のデビューも衝撃でしたね。2021年7月13日の日本ハム戦で、プロ初打席で初球をホームラン。18歳のデビュー戦としてこれ以上のものがあるでしょうか。

神戸出身で、小学生の時にはオリックスのジュニアチームでプレーし、明石商業では3季連続で甲子園に出場。チームと縁がある来田選手の、柔らかさと力強さを併せ持つ打撃を見て、今後に主軸を担う未来を思い描きました。


松下選手の初ホームランの日に配布されたユニフォーム。淡いピンクで、スタンドに桜の花が咲いたようでした。

海の向こうの初ホームランでは、ドジャース移籍1年目の前田健太投手(現・楽天)を挙げないわけにはいきません。2016年4月6日のメジャー初登板で、投げては6回無失点と好投。そしてなんと、第2打席でメジャー初ホームランを放ったのです。さすがは、PL学園で4番を務めていた選手ですね。

2022年から、MLBでは両リーグでDH制が導入され、投手のバッティングは見られなくなりました。ついにセ・リーグでも来季から導入されます。交流戦中に、目を輝かせながら積極的にヒットを狙うパ・リーグの投手たちの姿を思い出します。やはり「ホームランを打ちたい」というのは、野球選手の本能なのでしょうか。

初ホームランを打ったあとに、メジャーでよく見かけるのが「サイレントトリートメント」です。ベンチに戻ってきた打者を、チームメイト全員が「知らんぷり」して無視。もちろんこれはお約束で、しばらくの沈黙のあと、一転して大盛り上がりします。

日本では2018年、ソフトバンクで内川聖一さんと松田宣浩さんがこの祝福を受けていましたが、あらためて映像を見直すと、ベンチでは事前にしっかり打ち合わせ済みのように見えます。この文化は果たして、日本でも定着するのでしょうか。

記録と記憶に残る初ホームランですが、その余韻を引きずってしまう選手もいると聞きます。本来はホームランバッターではない選手が、あの"快音"が忘れられず、本来の打撃を見失ってしまうこともあるとか。

初打席・初ホームランを打った選手は大成しない――。そんな不思議なジンクスも耳にしたことがありますが、ぜひ達成した選手たちにはそれを跳ね返してほしいと思います。

初めてスタンドまで運んだホームランボールは、選手にとってかけがえのない思い出の品ですから、選手の元に帰ってくるのが常です。スタンドでボールを手にしたファンは、ボールを返す代わりに品物をもらえることが多いようですが、松下選手はその日、球場に来ていた両親にボールを手渡したといいます。

ご両親は本当に嬉しかったでしょうね。私でもこれだけ嬉しいんですから、ご家族にとってどれほどの1日になったことか。想像するだけで、胸が温かくなります。

ペナントレースの中では一瞬の出来事かもしれません。しかし当の選手にとっては、一生忘れることのない特別な瞬間です。こんな刹那に立ち会えることは、とても幸せですよね。

この先も、そんな場面に立ち会ったら大きな拍手を送りたいと思います。それでは、また来週。

構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作

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