ケロロ軍曹への22年分の思いを明かした渡辺久美子 (C)ORICON NewS inc. 『ケロロ軍曹』16年ぶりの新作となる劇場版『新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!』が6月26日、公開された。このたび、アニメ初回放送時からケロロ軍曹の声を務めてきた声優の渡辺久美子にオリコンニュースがインタビュー。「再会ではなく続きの感覚」とブランクを感じさせない小隊の絆や、放送開始当時の知られざる葛藤や「中毒性」へのこだわり、自宅の等身大フィギュアと過ごす愛おしい日常までたっぷりと語ってくれた。
【画像】これぞケロロワールド(笑)『新劇場版☆ケロロ軍曹』でロボ化したケロロ小隊 『ケロロ軍曹』は、漫画家・吉崎観音氏が雑誌『月刊少年エース』で連載中の漫画が原作で、地球を侵略するためにやってきた宇宙人(ケロン人)のケロロ小隊と、そこで出会うことになる地球人たちの交流を描くちょっぴりハートフル、だけどかなりハチャメチャなコメディ作品。2004年からの7年間、テレビアニメシリーズが放送されたほか、劇場版アニメを5年連続公開するなど幅広くメディア展開。24年に原作連載25周年、テレビアニメ開始から20周年を迎えた人気作品となっている。
今回の『新劇場版☆ケロロ軍曹』は、アニメ20周年記念プロジェクトの一環として制作されたもので、監督を追崎史敏氏、キャラクターデザイン・総作画監督を小池智史氏、アニメーション制作はBN Picturesが担当し、これまでの『ケロロ軍曹』を支えてきたスタッフ陣が集結した。キャストはケロロ軍曹役の渡辺などが前作から続投し、脚本・総監督をドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズや映画『銀魂』シリーズなどで知られる福田雄一氏が担当している。
■ 16年ぶりの新劇場版「再会ではなく“続き”の感覚」
――16年ぶりの新作劇場版がついに公開となります。率直なお気持ちをお聞かせください。
渡辺: 率直に言うと、「久しぶり」というよりも「おう!」という感じですかね。「1週間前も遊んだよね」みたいな感覚なので、自分の中では「再会」というよりも「続き」です。
――ケロロ小隊の皆さんと一緒に収録してみて、感覚はすぐに戻ってきましたか?
渡辺: 周りの皆さんもいつものケロロ小隊ですし、世界観もそのままなので何年経ったとか全然感じなかったです。もう本当にあのときのままで、みんな自由。あっちへ行ったりこっちへ行ったりするので、音響監督の鶴岡(陽太)さんには、何年経っても先生のように「始まるよ!マイクの前に集まって!」と言われるような、変わらないわちゃわちゃ感でしたね。
――収録現場での印象的なエピソードはありますか?
渡辺: 「やりすぎくらいが本当に丁度いい」という感じなので、飛ばしすぎてみんな止まらないんですよ。急に大きい声を出すので、最初はミキサーさんの調整が大変だったと思います(笑)。でもスタッフの皆さんもだんだん私たちのやり方に慣れてきてくださって。本当に「何をやり出すか分からない」というところがこの小隊ならではですね。
でも逆に、冬樹殿との“いい話”でしんみりするシーンになると、すごくあったかい感じになって自然とわちゃわちゃしない。そこはちゃんとやるんです(笑)。
■ ケロロ軍曹との出会いと「中毒性」へのこだわり
――2004年のテレビアニメスタート時、ケロロ軍曹との出会いの印象を教えてください。
渡辺: 最初は「これはどういった声が出るんだろう」と、自分の声が浮かばなかったんです。大体のキャラクターは「こういう感じでやろう」とすぐ頭に浮かぶんですけど、ケロロだけはそれがなくて。女性がやっても男性がやっても、すごく若い方がやっても、年配の方がやられても、どっちでも通用しそうというか、通用しなさそうというか……本当に演じるにあたって「難しいな」という印象が強かったですね。
それに、原作を読んでまずドストライクでファンになってしまったんです。でも、好きになればなるほど演じるのってとっても難しい。自分が1番のファンになってしまっているからこそ、「自分の声でいる自分を許せるかどうか」みたいな感覚になってしまって。それが自分で許せるようになるまでは、かなり試行錯誤しました。
――その中で、お芝居として1番意識されたのはどんなことですか?
渡辺: 「中毒性」です。漫画を読み始めたら止まらないあの感覚と同じように、「聞いていて中毒性のあるお芝居をしなければ」という思いが常に頭にありました。「中毒性のある芝居ってどういうお芝居だろう」と考えたとき、別にいい声でもないし、かわいい声でも、ガサガサした声でもないんだけど、「でもなんか、このキャラクターとこの声には一緒にいてもらいたい」と思わせられたら、と。ちょっとずる賢く「こう言うとかわいいだろうな」と考えたり、軍曹自身が持つ「ちょっと悪巧みをして…」というエッセンスを含ませたりもしました。
最初は「変なお芝居がついたら絶対に自分が許せない」と思っていましたが、それが達成できた瞬間に「もう自分はケロロになった」と思えました。今ではケロロの方から「そんな緊張しなくていいから、適当、適当!」と肩を抱かれているような気がして、自然にシンクロしているのかなと思います。
■ 声優人生への影響と、ケロロを通してかなった夢
――『ケロロ軍曹』という作品は、渡辺さんの声優人生にどのような影響を与えましたか。
渡辺: とても大きいものです。「やりたいことリスト」があったとしたらほぼほぼやっているぞ、というくらい、普通の声優をやっていたら届かない領域までいろんなことを経験させていただきました。これからも隙あらばやっていこうと思っています(笑)。
――具体的にケロロ軍曹を通してかなった夢はありますか?
渡辺: プロレスが大好きなので、「いつか後楽園ホールでマイクを持ってシャウトしたい」と思っていたら、まさかケロロでかなうとは。その時、デンジャラスKの川田(利明)さんに「アンタふざけんな!」とアンタ呼ばわりで言ったんですけど、めちゃくちゃアドリブだったんです。今思えば本当に申し訳ないんですけど、当時は役のスイッチが入っていたので……でも、ものすごく気持ちよかったです(笑)。会場も盛り上がってくれたのでうれしかったですね。
■ 自宅玄関には1分の1フィギュア「ケロロという存在は『癒やし』。そして…」
――もし16年ぶりの劇場版を迎えたケロロに言葉をかけるとしたら、どんな言葉をかけますか?
渡辺: 自宅の玄関に、等身大(1分の1)のフィギュアがあるんです。私は元気なときも落ち込んだときも、玄関で「ただいま」って言うと、自分で「お帰りであります!」って声を当てるんですよ(笑)。1番信用できる相手なので、普段からよく話しかけています。だから、かける言葉はいつも通りの「ただいま」ですね。
――渡辺さんにとって「ケロロ軍曹」を一言で表すとしたら?
渡辺: 「癒やし」です。そしてマトリョーシカみたいに自分の中にコアとしてある感じ。役として見るというよりは、“まんま”「もうここにいる」という“分身”のような感覚です。
――改めて、『ケロロ軍曹』がこれほど長く愛され続けている理由はどこにあると感じますか?
渡辺: やっぱり「中毒性」とギャップですね。地球丸ごと時間を止めちゃうような恐ろしい宇宙人なのに、「電子レンジをきれいに拭くコツ」を知っている(笑)。身近であり何億光年も遠い、何のカテゴリにも当てはまらないところが魅力なんだと思います。
■ 新劇場版の見どころとファンへのメッセージ
――今回の新劇場版で特に注目してほしいシーンを教えてください。
渡辺: 個人的にはやっぱり、冬樹殿との相変わらずのイチャイチャですかね(笑)。あとは新たな強敵にどう立ち向かうか。……いっそ「最後に侵略されて終わり」っていうエンドでもケロロらしくて面白いですよね(笑)。
テレビアニメも長くやっていたので、今回は小隊以外のケロン人やペコポン側も含めて、いろんな「推しキャラクター」が本当にたくさん出てきます。「このセリフ待ってた!」というシーンや素晴らしいアクションもあって、とてもボリュームのある内容です。
――最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
渡辺: 皆さんも宇宙人ですからね。自分も宇宙人だということは常に忘れずに、一緒になって侵略作戦で走り回ってくれればと思います。『新劇場版ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!』、ぜひご覧くださいであります!