「殺すってよくない」中日・井上監督も訂正した【野球用語の再考】指導者が気づけない“物騒表現”の怖さ

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2026年07月11日 06:00  週刊女性PRIME

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中日ドラゴンズ・井上一樹監督

 7月9日、『河北新報オンライン』が【「刺」「殺」を使わない指導目指す 宮城県高野連、今秋にも検討委設置へ<再考 野球用語>】との、野球界に起きている時代の変化を記事にした。

「刺」「殺」「死」「盗」「犠」などの物騒な表現を含む野球用語の見直しのため、宮城県高校野球連盟が検討委員会を設置。この結果を加盟校の全指導者に周知する方針で、いずれは県内の小学校から社会人といった野球の現場にも広げるとのこと。

「ランナーを殺しにいかないといけないプレーだったかなと思います。殺せた…殺すって表現はよくないか。タッチプレーでいくべきだったかなと思います」

 6月24日、バンテリンドームでの横浜DeNAベイスターズとの試合を4-6で落とした中日ドラゴンズ。試合後に記者取材に応じた井上一樹監督(54)は、2回の守備で起きた「挟殺プレー」を振り返り、DeNA走者をアウトにできなかったプレーを悔やんだ。

 このとき1度は「殺せた」とするも、すぐに「よくない」と訂正して「タッチプレー」と言い直した指揮官。井上監督も当たり前のように口にしたように、野球界ではアウトが絡むプレーには「刺す」「殺す」「死ぬ」などの暴力的な言葉が用いられ、また「塁を盗む」「犠牲になる」といった犯罪や生命に関わる表現も多用される。

「魚雷バット」に議論も起きていた

 他にも「〇〇軍」「戦力」「被弾」「生還」などの戦争を連想させる言葉は、スポーツメディアでも度々見出しに踊る言葉だ。最近でもメジャーリーグで話題になった「魚雷バット」だが、これらの表現をめぐって業界で議論される動きもあるようだ。

 しかしながら冒頭の通り、ここにきて宮城県内で野球用語の見直しが検討され始めたように、全国各地では現在も「物騒表現」をもって野球指導にあたる監督、コーチがいるのも事実。むしろ、井上監督のように「よくない」と気づくことができる指導者の方が少ないほど、当たり前の言葉として使っている現状がある。

 特に学童野球では、監督やコーチの言葉遣いに頭を悩ませる保護者も少なくはない。都内の野球クラブに小学生の子どもを通わせる40代の母親に話を聞いた。

「クラブの友達とゲームするときに、頻繁に飛び交うのが“殺せ”との言葉です。悪意あって使っていないのはわかるんですが、都度に“その言葉遣いをやめなさい”と注意しても一向に直る気配がありません。それで返ってきたのが“監督だって言っているよ”と。たしかに(苦笑)」

 なんでもチームを預かるのは高齢の監督で、叱らない指導が一般的になりつつある学童野球において、いまだ子どもを怒鳴りつけるような昭和的な指導者。それだけに試合中でも「殺せ!」「なんで殺しに行かねぇんだ!」と怒鳴っては、相手チームの選手までもビックリさせているようだ。

“殺せ”に慣れてしまっている子ども

「挨拶などの礼儀も含めて、きびしく指導してくださるのはありがたいんですが、やっぱり突然、“殺せ”と大声を出されるとドキッとしてしまうのが本音で、相手のお母さんたちからも“すごいね”とヒソヒソされるのが恥ずかしいやら申し訳ないやら。

 何よりも怖いのが、子どもたちが“殺せ”や“刺せ”に慣れてしまっていること。今更、監督さんに“直してください”とも言えないですし、そこは辛抱強く子どもに伝えようと思います」

 この保護者は「もうあきらめてる」と高齢の指導者に肩を落とすが、時代に見合わない「殺す」「刺す」との野球用語になんら疑問を抱かない現場が多いのだろう。

 近年ではコンプライアンスを順守し、ハラスメントや暴行行為の根絶を掲げるNPB(日本野球機構)。日本野球界のトップとして、プロ野球選手を目指す子どもたちのためにも野球用語の再考も指導する必要がありそうだ。

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