
大学生の2人に1人が借りている「奨学金」。今、金利上昇の影響を受けて返済額が増加しています。負担の大きさから、将来設計に悩む若者も出てきています。
【写真で見る】その額「約118万円」 利率上昇で「奨学金」返還も負担増
奨学金を借りる大学生からは不安の声――奨学金の返済に不安は?
貸与型の奨学金を借りる大学3年生
「ちょっとビビりますね。どうしようって感じですね」
貸与型の奨学金を借りる大学4年生
「不安ですね。やっぱり上がってほしくはない」
学生から相次いだ不安の声。その訳は、ここ数年で奨学金の返済金利が急激に上昇しているからです。
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そもそも、返済が必要な「貸与型」の奨学金には利子のない「第一種奨学金」と、利子がつく「第二種奨学金」があります。
この利子は市場の金利と連動していて貸与型で多く選ばれる固定方式では、5年前と比べて返済利率は10倍以上となっています。
貸与型の奨学金を借りる大学1年生
「借金が残っている心理的プレッシャーにさいなまれ続けて、生きていかなければいけないと考えると不安はあります」
社会人になり、奨学金を返済している人のなかには利率が300倍になった人までいます。
金利が325倍に 「心配ない」と言われたはずが大学で奨学金を借り、返済中の高梨さん(仮名・30代)。都内のスーパーで夫と買い物中、菓子を売っているコーナーでは…
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奨学金を返済中の高梨さん(仮名・30代)
「(ポテトチップス)買わんといてよ。そんなん買ってる余裕ないわよ」
奨学金を返済するために、食費も節約しているといいます。
高梨さん
「目ん玉飛び出ましたよね。なんかそんな金利になってるのを見たことなかったし」
高梨さんは音楽大学に進学し卒業した後、4年制大学に編入。卒業後はIT企業で働いています。2つの大学であわせて730万円の奨学金を借りましたが、利率が変動する方式のため金利が上がり、負担が増えることになると話します。
高梨さん
「もともとが(利率が)0.004%だったのが、今年の9月から1.3%に上がってますね」
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2つの奨学金のうちの1つをみてみると、卒業翌月の2021年4月の時点では利率は0.004%でしたが、2026年9月からは325倍の1.3%に。
利率がふくらむことで、支払う総額は約30万円増える計算となります。
高梨さん
「借りるときに利率すごく低いから、そんなに心配しなくて大丈夫だよって言われて借りた記憶があります」
結婚して2年が経つ2人。子どもを持つことなど将来の選択肢も狭まってしまうと話します。
高梨さん
「子どもは欲しいんですけど、自分の借金がまだまだあって払っていかないといけないし、これから(金利が)どんどん上がっていく中で、子どもを諦めようかなみたいな」
高梨さんの夫
「子育てとかに関して言うと、どマイナスですよね」
現在の奨学金の制度については…
高梨さん
「私はそれ(奨学金)で人生を大きく変えられたので、そこは奨学金にすごく感謝しているところではあるという前提ですけど、やっぱり利子がつらい」
藤森祥平キャスター:
今、昼間部の大学生は約2人に1人が奨学金を利用しているというデータがあります。
平均の貸与額は323万円で、卒業後に平均15年かけて返していくという内容だということです。
小川彩佳キャスター:
社会人になった途端に300万円を超える借金を返し始めるということになり、本当に大変です。今後の人生設計やキャリアの築き方にも大きく影響していきそうですね。
教育経済学者 中室牧子さん:
奨学金(の返済)を抱えている人たちの結婚や、第一子出産のタイミングが遅くなってしまうということは、多くの研究によって示されています。
藤森祥平キャスター:
第二種奨学金で利子固定方式の場合の利率の推移を見ると、それまではほぼ0%で推移していましたが、日銀が2024年にマイナス金利を解除して以降ぐんと上がっています。
2024年3月の0.940%から2026年6月には2.922%まで上がってきている状況です。
また卒業年度で返済の総額が変わってくることになり、奨学金480万円を返還するとなると、2020年度卒業と2025年度卒業とでは返還総額の差額は約118万円と試算されています。
【奨学金480万円の返還総額は?】
(月々10万円、4年で借り入れ・固定利率・20年で返還の場合)
▼2020年度卒業
利率(年):0.268%
返還総額:約494万円
▼2025年度卒業
利率(年):2.4238%
返還総額:約612万円
一方で、親からの仕送りも減少しているといいます。
日本学生支援機構の調査によると、2006年度は月に約12万5000円でしたが、2024年度には月に約8万6000円と、約20年間で月に3万9000円も減少しているということです。
こうした状況だからこそ奨学金を借りたいのですが、奨学金を借りると利上げの分の負担が上がるという循環になってしまいます。
企業が奨学金を肩代わり 将来の選択肢を広げるきっかけに藤森祥平キャスター:
こうした中で、企業が従業員の代わりに返還する“肩代わりする制度”が注目されています。
企業が直接、日本学生支援機構に送金するもので、▼経費の一部として認められるため課税が優遇され、▼取り組みが企業のイメージ向上につながり、離職率が低下するなど企業側にとってもメリットがあります。
こうした取り組みを導入している企業が増えていて、2026年3月時点で4852社にのぼるということです。
教育経済学者 中室牧子さん:
実は2000年代の後半、アメリカで債権者側の事務手続きのミスで、奨学金が帳消しになる人が出ることがありました。
奨学金が帳消しになった人・ならなかった人のその後を比較すると、奨学金が帳消しになった人は、職業や居住地の選択で非常に収益性の高い選択をして所得が上がったという調査結果もあります。
つまり、若い人たちが奨学金を抱えた制約下で暮らしていると、本人の希望に沿った選択が十分にできず、その結果自分の能力を生かしきれていないということなのではないかと思います。
こうした企業の取り組みを通じて、若い人たちの負債を減らすことは、若者の能力を最大限活かすという意味でも、非常に社会的意義のあることだと思いますよ。
藤森祥平キャスター:
精神的な負担も大きいということですね。
教育経済学者 中室牧子さん:
思い切ったチャレンジができないということに繋がってしまうのかもしれません。
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<プロフィール>
中室牧子さん
教育経済学者 教育をデータで分析
「教育にエビデンスを」慶應大学・教授
