ペットみたいに癒やされる? 風船のように浮かぶ魚型ロボット、慶応大などの研究で話題

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2026年07月16日 18:01  ITmedia NEWS

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ソファに座る人のそばに浮かぶソフト浮遊ロボット(出典:論文より、以下同)

 慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科(神奈川県横浜市)などの研究チームが発表した、室内で人と共存する「ソフト浮遊ロボット」(以下、SFR)に関する論文が話題だ。発表は6月だが、補足資料として掲載している実機の映像が13日ごろXで拡散。「可愛すぎる」「家に欲しい」と注目を浴びている。


【画像】浮遊ロボット「Cuddle-Fish」が室内を漂う様子(1/15)


 SFRはヘリウムなどの浮力で空中を漂う柔らかいロボットで、高速回転するプロペラで飛ぶドローンと異なり静かで、触れてもけがをしにくい。ただ、SFRの研究開発はこれまで、研究者ごとに個別の試作機を作るばかりで、共通の設計語彙がなかったという。


 ディズニーの「ティンカー・ベル」やポケモンの「フワンテ」など“空中を漂う優しい存在”は大衆文化において繰り返し描かれており、3次元空間全体で人と共存する柔らかな存在への欲求自体は根強くあった。しかし宙に浮かんでいて触れても安全という、地上を走るロボットにもドローンにもないSFRならではの持ち味を、どう設計に生かせばいいのかが整理されておらず、応用も“珍しいだけ”の域を出にくかったという。


 そこで研究チームは、人とコンピュータの関わり方を研究する「HCI」(ヒューマンコンピュータインタラクション)の研究者に加え、デザインとロボット工学の専門家を合わせた12人を対象とした調査を実施した。その結果を基に、SFRの設計を考える際の10の軸を、「見た目・作り」「人との関わり方」「飛び方・振る舞い」の3グループに整理。案内役や遊び相手といった応用シナリオもまとめ、後続の研究者やデザイナーが「自分のロボットはどの軸で何を狙うか」を位置づけられるようにした。


 その補足資料として掲載されていたのが、筆頭著者の徐鳴陽(Mingyang Xu)氏らのチームが手掛けるSFRの映像だ。25年3月の国際会議「AHs 2025」で発表した魚型SFR「Cuddle-Fish」は、マンタやウミガメなど胸びれで泳ぐ海洋生物から着想を得た浮遊ロボットだ。水中の生物が水の浮力を利用して低速のひれ運動で進むように、ヘリウムの浮力で宙に浮き、エイのような翼をゆっくり羽ばたかせて“空中を泳ぐ”ように進む。


 機体はアルミコーティングしたナイロンフィルム製で、全長約1m、重さは70g。小型モーターで翼をゆっくり羽ばたかせて進み、左右の翼の動きに差をつけて曲がる。上下の移動は、機体内部の重りを前後に動かして重心を移すことで行う。翼を下げると幅が狭まるため、一般的な室内のドア枠も通り抜けられ、部屋から部屋へ移動できる。


 人間に与える印象を調べる実験も実施した。24人の参加者を対象に、操作者が遠隔操縦するCuddle-Fishの飛行を間近で体験してもらったところ、22人(92%)が促されなくても自発的にロボットへ触れた。中にはなでる・抱きしめる・頬を寄せるといった愛着行動を示す参加者もいた。


 実験後の調査では8割超が落ち着きやリラックスを感じたと答え、感情の快・不快を測る指標も実験前より有意に向上した。研究チームは、羽ばたき式のSFRが人のそばで日常空間に溶け込む飛行ロボットになり得るとみている。


 現状のCuddle-Fishは操作者による遠隔操縦が前提のため、チームは今後、周囲の状況に応じて自律的に飛ぶ制御の開発を進めるとしている。将来的には、床を使わず天井付近で待機する“同居ペット”のような使い方や、離れて暮らす家族が遠隔操縦して子どもと遊ぶ“分身”としての活用を見込む。


 研究成果は、米国計算機学会(ACM)主催の国際会議「DIS 2026」で発表した。



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