警察から突然の電話……高齢母を引き取った42歳バツイチ女性を待っていた「泥沼の同居生活」

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2026年07月16日 22:40  All About

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「自分はいらない人間」。そう涙を流す高齢の母を見捨てられず、同居を決意した42歳の娘。しかし始まったのは、孤独を恐れる母との息苦しい日々だった。歪んだ価値観にとらわれる母との生活は次第に泥沼化していき……。※画像:PIXTA
高齢の親との同居は、さまざまな観点からリスクが大きい。互いの状況にもよるが、第三者が入らず、二人で顔を突き合わせなければいけない生活はフラストレーションを生むだけかもしれない。

バツイチ独身、母とは疎遠だったが

27歳で結婚したものの、結婚後も夫が人妻と付き合っていたことが発覚、1年もたたずに離婚したトモカさん(42歳)。当時、妊娠していたものの精神的な影響から流産した。

「とても悲しいできごとだったけど、後ろを見ていては生きていけない。仕事を続けていたのはよかったと思います。頑張って仕事をすることで自分を立て直していきました」

詳細を知らせていなかった田舎の母からは、「離婚なんてみっともない」と言われたことがずっと尾を引いていた。それ以来、実家に顔を出すのは数年に1度だった。あるとき、その言葉を母に伝えたら、「私はそんなことは言ってない」と断言された。

「そういう人なんだなと諦めました。接点をもつつもりはなかったんですが、結婚して実家近くに住んだ兄の妻と性格が合わず、いろいろ問題を起こしていたようです。母が兄の家に時間かまわず突入して、義姉の悪口を言ったり。問題行動を起こすようになったのは父が亡くなってから。たぶん寂しかったんだろうけど、寂しいと素直に言えるタチではないから、そんなことになったんでしょう」

「自分はいらない人間」と言って泣く母に

2年ほど前、仕事中のトモカさんのもとへ警察から連絡があった。母を保護しているという。あわてて飛んでいくと、「あんたの家が分からなくて」と笑っている。

「私は母には引っ越し先の住所を伝えていませんでした。来られても困るから。とりあえず警察から引き取って自宅に連れていくと、『私はもうあの人たちの近くには住めない』と泣くんですよ。何があったのかと聞いても何も言わない。兄に電話をしてみると、あちらはあちらで怒っている。引き続き嫁姑問題だったようです。

兄に引っ越せばと言ったら、家を建てたばかりだから越せないと。実家は借家ですから、母をどこかにやってくれと兄が言う。そんなことを言われてもと困りました」

私はもう誰にとっても“いらない人間”なんだねと、母はうつむいて泣いていた。その姿を見たとき、「母だからというわけではなくて、一人の高齢者がここまでつらい思いをしているのを見逃してはいけない」と人道的な思いがこみ上げてしまったのだとトモカさんは言う。

同居してみたものの

数十年ぶりに母との生活が始まったが、予想以上にストレスがたまる日々となった。母は一人ではどこへも行けない人だったのだ。トモカさんは友達と一緒にいるのも好きだが、基本的にはソロ活タイプ。

「休日も出掛ける私に『どこに行くの? 私も連れてって』というんですが、『元気なんだから一人で行けば?』と言うしかない。母はもともと東京生まれだし、かつてはよく遊びに来ていたのだから、まるきり知らない土地ではない。

好きなように動けばいいのに、『一人でいる人ってみじめに見える』『あんたはどんなにみじめな中年に見られているか分かってない』と意味不明な価値観をまき散らすんですよ。とにかく放っておいてと、1日に何度も言っています」

70代半ばの母は健康そのもので、認知症とも縁がないと医者の太鼓判をもらっている。価値観が歪んでいるのは脳の機能の問題ではなく、性格の問題と医師は苦笑していた。

解決策が見つからない

「食事も別、洗濯も別と、ルームシェア状態で暮らしていたんです。元気なうちはそうしようと話して、母も納得したはずだった。でも半年ほど前から母が部屋に引きこもるようになったんです。さすがに食事をしたのかどうか気になって、3日目くらいに部屋に入って『どうしたの』と聞いたら、『もう生きていたくない。餓死する』って。心配してほしかったんでしょう。

食事を作って呼んだらリビングに出てきて、めいっぱい食べていました」

このまま暮らしていても楽しくないはずだから、地域のサークルに入るとか、どこかで何か習うとか、何かした方がいいと言っても、真剣には聞いてくれないのだという。

「介護状態ではないけど、資金的に老人ホームに入るのも無理。ハンストして体調を崩されたら、私が大変になるだけ。それでも母の自立心を促すために、私はなるべく家では食事をしないようにして、冷凍食品やら野菜やらは用意してある。役所に相談しても、解決策は見つからない。母が自分で気付くしか自立の道はないんでしょうね」

一人はみじめ。母がそう思っている限り、この泥沼状態から脱する方法はないのかもしれないと、トモカさんは暗たんたる気分になっている。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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