マンションがどんどん狭くなっている!? 首都圏を中心に不動産の“小分け”が進む、切実なワケ

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2026年07月17日 05:21  ITmedia ビジネスオンライン

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出所:ゲッティイメージズ

 近年、首都圏では新築マンションの面積が縮小し続けている。不動産経済研究所によると、2015年に首都圏で販売された物件の専有面積の中央値は約71平方メートルだった。2020年には70平方メートルを下回り、2025年は68.7平方メートルと年々縮小している。


【画像】最近の都内のマンション


 住宅着工統計によると、戸建やマンション、賃貸などを含む全新築住宅の平均床面積は、住宅の大規模化やバブル崩壊による土地価格の下落などを経て上昇してきた。1990年代には90平方メートルを超えていた時期もある。


 ただ、その後にピークアウトし、現在は80平方メートルを下回る。近年の不動産価格高騰を背景に、デベロッパーは価格を抑えるべく狭い物件を供給している。これが平均面積の縮小につながったとみられる。


●「世帯年収1000万円」でも手が届かないレベルに?


 標準的なファミリー向けマンションにおける物件の間取りは75平方メートル前後の3LDKだろう。だが現在、都内において中間層の手が届く範囲でこうしたマンションを探すのは難しい。特に23区内では、70平方メートル超の物件は1億円を超え、2億円以上の高額物件も珍しくない。


 東部など、不動産価格が比較的低い地域では数件ほど供給こそあるものの、それでも8000万円を超える。住宅ローンは「年収の5〜7倍」が目安とされるため、世帯年収1000万円でも手が届かないのが実情だ。


●「3LDKがない」マンションも


 その分、3LDKの間取りでも60平方メートル台に抑えた物件が多数出ている。


 例えばその一つが「シティテラス南砂」だ。東京メトロ東西線・南砂町駅から徒歩7分の場所にある地上15階建て・150戸のマンションである。


 現在受け付けている物件はいずれも約67平方メートル台の3LDKで5部屋を9900万円〜1億1800万円で販売している。住戸のエリアは2〜15階であり、住戸階の多くは1階当たりで11戸ある。70平方メートル台で1フロア10戸にしていないあたりに、企業努力が透けて見える。


 そもそも3LDKではないマンションも増えている。湯島駅前の「シティハウス湯島ステーションコート」は地上16階建て・68戸のマンションで、間取りはいずれも55平方メートル台の2LDKだ。規模は小さいが好立地であるため、現在販売中の3部屋は1億3500万円〜1億8000万円と高価格だ。このような3LDKのないマンションは駅に近い好立地でよく見られる。狭い土地では1LDKと2LDKのみのマンションも多い。


 デベロッパーがこうした狭いマンションを展開するのは、額面の価格を抑えることが目的だ。過去記事『平均で1億円超! 高騰が続く「23区マンション」 今後は明暗が分かれそうなワケ』でも触れたように、東京23区の新築マンション価格はゆうに1億円を超えている。一等地では経営者や富裕層が購入しているが、全体として主な購入者は世帯年収が高い「パワーカップル」である。


 だが、前述した「年収の5〜7倍」を基準にすると、年収2000万円程度のパワーカップルでも1億円台後半のマンションを購入できない。土地価格や建設費が高騰する昨今、彼らの手が届く範囲に価格帯を抑えるため、デベロッパーは部屋を狭くし、”小分け”して販売している。


 部屋の広さを75平方メートル以上にした場合、場所によって新築価格は2億円近くになるだろう。そうした物件のターゲットはパワーカップルから富裕層へと変化する。富裕層が購入するのは、郊外の広い戸建か都心の一等地のタワマンであることが多い。そのため、下町の2億円マンションは競争力が低い。小分けにした方が確実性が高いというわけだ。


●戸建てでも小分けが進む


 都内ではマンションと同じく、戸建の狭小化も進んでいる。


 首都圏の建売住宅は敷地面積・延床面積ともに100平方メートルほどが相場だ。一方で近年では敷地面積が70平方メートル(20坪)未満の住宅も増えている。こうした住宅には庭がなく、3階建てなど高層化することで床面積を確保しているものが多い(あるいは1階部分が駐車場か、そもそも駐車場がない)。さらにトイレがワンフロアにしかない物件も数多く見られる。


 このような物件の開発・販売で成長したのがオープンハウスグループだ。同社は庭付きの古い住宅を仕入れ、その土地に複数の住宅を建設・販売している。同社によると、開発する戸建の平均敷地面積は17〜18坪だ。


 同社は東京23区内で5000万円台に抑えた物件を数多く販売しており、安さを武器に成長してきた。売上高は2021年9月期に8105億円だったが、2025年9月期の実績は1兆3364億円で、利益も伸ばしている。


 もちろん広い土地に戸建1棟を再建し、販売することも可能だ。だがこの場合、立地によっては販売価格が1億円を超え、不動産価格が相対的に低い地域では競争力が低下してしまう。小分けマンションと事情は同じだ。


 デベロッパーの視点で捉えると、確実なニーズがあり売り上げも大きい小分け物件の方がメリットが大きい。不動産価格の高騰が続く以上、今後も都内では比較的狭いマンションや戸建の供給が続きそうだ。


●著者プロフィール:山口伸


経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。



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