
ローソンの車中泊サービス「RVパーク」が導入店舗を拡大する。店舗の駐車場を車中泊スペースとして貸し出す、コンビニ初の取り組みは約1年間の実証実験を経て、7月17日から埼玉、静岡、愛知の3県に対象を広げ、計4県・28店舗で展開する。2026年度内には、約70店舗まで拡大する方針だ。
連休を中心に高い稼働率を記録する一方、当初の想定とは違うニーズが見えてきた。コンビニの車中泊サービスは、この1年で何が分かってきたのか。
RVパークとは、車中泊に適した設備を備えた駐車スペースを指す。ローソンのRVパークは、専用サイトでの事前予約・決済制で、料金は1泊2500〜3000円。1店舗につき1日1台まで利用でき、電源ドラムの貸し出しや店内トイレの利用、ごみ袋などを提供する。
同社は2025年7月から、千葉県の房総半島にある7店舗で1年にわたる実証実験を実施した。お盆や年末などの連休は稼働率が90%を超え、リピート利用も15%を超えた。通年での平均は20〜30%にとどまるが、休みが取りやすい連休に利用が集中する傾向が見られた。
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また、観光地やインターチェンジに近い店舗ほど、稼働率は高い傾向があった。この結果を受け、7月17日から実施店舗を拡大。キャンピングカー利用者が多い大都市圏から、1〜2泊の旅行先として選ばれる観光地周辺を中心に選定した。
●50代の利用者が多い
車中泊市場は拡大しており、日本RV協会によると、国内のキャンピングカー保有台数は2016年に10万台を超え、2025年には17万3000台に達した。車中泊スペースのRVパークも、2022年以降は年間約100カ所のペースで増え、7月時点で全国670カ所を超える。
旅行スタイルの多様化を背景に、ペットや子ども連れなど、ホテルに泊まりにくい層の受け皿となっていることも、需要を押し上げている。
ローソンが当初見込んでいた利用者は、宿泊費の高騰を受けてホテルから流れてくる層だった。だが、実際には車中泊そのものを目的とする利用者が多かったという。「節約志向というより、車中泊自体を趣味として楽しむ人が多い」と、ローソン新規サービス部の戸津茂人氏は説明する。
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夫婦2人での利用が多く、50代以上も目立った。約30%がペット連れで、関東近郊からの利用者が80%を超えた。車種は半数以上がキャンピングカーで、残りも車中泊仕様に改造したクルマが中心だった。レンタカーで訪れる若者はほとんどおらず、戸津氏は「若い層は2500円を払うより、道の駅で無料で済ませるのでは」と分析する。
利用者層は限定的だが、満足度は高い。アンケートでは、対象エリアが広がった場合に「利用したい」と答えた人が99%に上った。設備や環境への満足は70%を超え、利用者の90%超が来店時にローソンで500円以上を購入している。「食材を買える」「24時間営業で安心」「料金が手頃」といった点が評価された。
●大きなトラブルなし。副次的な効果も
実証実験を始めた当初、ローソンは利用者のマナーや近隣への騒音を懸念していた。しかし、車外にテントを張ったり火を使ったりする行為を禁じ、飲食や調理は車内のみとするなど、ルールを徹底。1年間の運営で、周辺からの苦情はなかったという。「車中泊に慣れた利用者が多く、大きなトラブルは起きていない」(戸津氏)
また、有料の車中泊サービスを始めたことで、無断駐車がほぼなくなるなど、副次的な効果もあった。一方で、休憩のために立ち寄るトラックの運転手など、車中泊以外の目的で駐車場を使うクルマもいる。戸津氏は、そうした車両とのすみ分けを今後の課題に挙げる。
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深夜に商品を運ぶ納品トラックの音で、利用者の快適性が損なわれる懸念もあった。しかし、車中泊用の駐車区画をトラックの出入り口から離して配置するなど、騒音の影響を抑えた。今回の拡大でも、納品作業と車中泊スペースが重ならないよう工夫している。
季節ごとの傾向も見えてきた。夏は、エンジンを切ったまま過ごせる仕様のキャンピングカー利用者が中心で、アイドリングなどの問題も起きなかった。冬は大みそかの予約がほぼ100%に達し、初日の出を目的とした利用が多いことも確認された。
●70店舗に拡大も検討
ローソンは、この事業をさらに広げる。実証実験を始めた千葉の7店舗のうち、利用実績を踏まえて2店舗は終了し、5店舗が継続。今回は新規店を加え、千葉11店舗、埼玉5店舗、静岡9店舗、愛知3店舗の計28店舗とする。埼玉の秩父、川越、静岡の三島、浜松、愛知の岡崎、犬山といった観光地周辺を中心に展開する。
加えて、利用者からの要望を受け、エリア拡大に合わせてチェックインの受付時間を従来の午後6時〜9時から午後3時〜10時に変更し、チェックアウトも午前9時から午前10時に延ばす。
2026年度内には約70店舗規模まで増やし、その先も東京、神奈川、三重、岐阜などへの展開を検討している。さらに、Wi-FiやEV充電設備の導入も検討しているという。快適性を高めるとともに、車中泊の付加価値を高める狙いがある。
一方で、利用者層を一気に広げることには慎重だ。料金を下げれば新規層を取り込めるかもしれないが、車外での活動を禁じるなどのルールを守らない客が増えれば、これまでの運営が崩れかねない。数を追うより、ルールを守って利用する現在の利用者との関係を優先する考えだ。
店舗数を増やしても、利用マナーは維持する。1年間の実証実験を経て拡大するコンビニ発の車中泊サービスは、今後どこまで広がるのか。
(カワブチカズキ)
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