写真に埋まっている位置情報はおっかないのか 【岡嶋教授のデジタル指南】

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2026年07月22日 14:50  OVO [オーヴォ]

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写真に埋まっている位置情報はおっかないのか 【岡嶋教授のデジタル指南】

 「この写真、いいですねえ。ご自宅は××ですか」。初対面の人にいきなりそんなことを言われたら、ちょっとびびります。写真には、これを実現する情報が、ぼくらの目に見えない形で埋め込まれていることがあります。

 スマホやデジカメで撮った写真には、絵としてぼくらの目に見えている部分のほかに、メモが付いています。このメモはExif(エグジフ)と呼ばれる書式で作られていて、撮影した日時、カメラの種類、シャッター速度などの撮影設定、そして位置情報サービスがオンなら、撮影場所の緯度と経度が書き込まれます。

 大昔のフィルム時代には、現像した写真の裏に「1991年2月25日 秋葉原にて」などと鉛筆で書き込んだり、カメラが自動的にフィルムに日付を印字してくれたりする機能などがありました。

 あれをスマホが自動で、しかも異様に几帳面にやっているとイメージするとよいと思います。緯度経度も高精度に記録されますから、「秋葉原にて」どころか「どのショップの、どのコーナーか」まで分かりかねないきめ細かさです。

 このメモ、たいていの場合は頼りになったり、役に立ったりします。写真アプリを開くと、撮った写真が地図の上に並んだり、「去年の写真」で検索すれば去年の写真だけ出てきたりします。あれはぼくらが整理したのではなく、Exifを頼りにスマホが仕分けてくれているわけです。ぼくのような、撮った写真はほぼ見返さないし、間違ってもフォルダ分けなんてしないずぼらな人間ほど、恩恵を受けています。

 しかし、当然ながらいいことばかりではありません。この几帳面なメモごと、写真を他人に渡してしまうと悲劇の種がまかれます。一人で過ごしたはずのクリスマス、なぜかブティックホテルにいたことなどがばれてしまうわけです。

 で、そんな危険物を世の中に放置しておいてよいのかという議論ですが、現時点でだいぶ安全にはなっています。大手のSNSサービスなどは写真が投稿された時点で、位置情報を自動的に削除してから公開する仕組みを採用しています。

 かつて「SNSで自宅バレ」で血の涙を流した先達の犠牲が教訓になり、いまや玄関で靴を脱ぐように、「位置情報を脱がせてから掲載」がお約束になっています。ですから、普通にSNSを使っているぶんには、Exif経由で住所が漏れる心配はまずありません。

 怖いのは、メモ欄がくっついたまま人の目にさらされる経路です。代表格はメールへの添付でしょう。メールは基本的には写真をいじらず、そのまま届けます。フリマアプリの出品写真や、個人で開設したブログなど、サービスによっては位置情報が残ることがあります。

 これにどう備えるのか? 一番漏れのない対策は、そもそも写真に位置を記録しないことです。スマホの設定画面で、カメラアプリが位置情報を利用できないようにすれば、以後の写真には場所が記録されなくなります。

 アルバムの整理は面倒になるかもしれませんが、安心には代えられないという方に向いた方法です。

 また、機種によりますが、写真を送る画面の「オプション」で、その一枚だけ位置情報を外して誰かに渡すこともできます。それも面倒なら、画面に表示してスクリーンショットを撮って送る荒業もあります。写し直したスクショにはメモ欄が引き継がれません。

 なお、Exif情報を完璧に消しても、旅先から「いま根室に来ています」と実況すれば、「自宅は留守です」と世界に告知しているのと同じです。技術で消せるのはExifというメモだけで、写り込んだ表札や、投稿の内容そのものは対象外です。技術の限界を知って用心しておくことが、結局いちばん効果があります。

 見えないもの、知らないものは守りようがありません。「見えないメモ欄がある」と知ることがとても重要です。

【著者略歴】

 岡嶋 裕史(おかじま ゆうし) 中央大学国際情報学部教授/中央大学政策文化総合研究所所長。富士総合研究所、関東学院大学情報科学センター所長を経て現職。著書多数。近著に「思考からの逃走」「プログラミング/システム」(日本経済新聞出版)、「インターネットというリアル」(ミネルヴァ書房)、「メタバースとは何か」「Web3とは何か」(光文社新書)、「機動戦士ガンダム ジオン軍事技術の系譜シリーズ」(KADOKAWA)。Eテレ スマホ講座講師など。

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