後輩から「壁打ちさせてください」は失礼? なんとなく感じる不愉快さの正体

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2026年07月23日 08:21  ITmedia ビジネスオンライン

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「壁打ち」は失礼な行為なのか?

 「壁打ちの機会を頂きたい」――若手からこう切り出されたら、あなたはどう感じるだろうか。


【画像】壁打ちは「自主練」で使われる言葉だった


 7月15日、この言葉づかいをめぐる一つの投稿がXで話題となった。投稿者は有名私立大学の准教授だ。同氏は「最近『壁打ち』という言葉を使いたがる自信過剰気味の10代後半から20代前半の人がいる」と指摘。目上の相手に相談や意見を求める際に「壁打ちの機会を頂きたい」と言うのはおかしく、極めて失礼だと指摘し、「壁打ちなら1人でやってて下さい」と締めくくった。


 これに対し「目上の相手を壁扱いするな」「イラッとする」と同調する声と、「1ミリも不快に思わない」「そんなことで目くじらを立てるのは過剰反応だ」と反発する声が衝突し、投稿の表示回数はわずか4日で250万を超えた。


 目上の人への「壁打ち」は、本当に失礼なのか。


●「壁打ち」とは何か


 「壁打ち」はもともと、テニスや卓球などのスポーツにおいて、1人で壁に向かってボールを打ち続ける自主練習を指していた。それがビジネスシーンに転用され、解決策の提示を求める「相談」ではなく、誰かに話を聞いてもらい、自分の考えを整理する行為を指す言葉として使われている。


 単にアドバイスを求めるのではなく、相手の反応を受けてアイデアの方向性を見直すことを重視した場合に「壁打ち」という言葉が用いられがちだ。近年は生成AIとの対話で思考を整理する「AI壁打ち」が普及し、「壁打ち」という言葉の使用頻度も上がっているように筆者は思う。


●批判派も擁護派も一理ある


 「壁打ち」という言葉を目上の人に使うべきではないとする批判派の主な主張は、人を「壁扱い」(道具化)することは、敬意を欠いているという点だ。


 人間関係と言語に関する研究「ポライトネス理論」によると、他者に何かを求める行為は相手の領域を侵す「フェイス侵害行為」と定義される。


 「依頼」という行為そのものが相手の時間や労力に踏み込む行為なのだ。そのため、ビジネスにおいて何かを依頼する際には、クッションとなる言葉を用いて相手への負担感を和らげる配慮(ネガティブ・ポライトネス)が不可欠とされる。


 したがって「壁打ちさせてください」という表現そのものが、相手に負担を感じさせる恐れがある。


 対して、失礼ではないとする擁護派の意見にも一理ある。「相談」は受け手に答えを出す責任を負わせるが、「壁打ち」は答えを求めていないという意思表示であり、むしろ相手の負担を軽減する配慮だという主張だ。


 そのほかにも「ボトルネック」「パイプ役」など、人を道具に見立てた比喩は定着しており、「壁」という表現だけを問題視するのは一貫しないという反論もある。


●「壁打ち」問題の本質


 まとめると、今回の事案について、論点は大きく3つあるのではないか。


「壁打ち」という言葉を使う側の問題


 「壁打ち」という表現を不快に感じる人は一定数いる。相手に合わせた言葉を選べていない場合、問題は以下のいずれか(あるいは両方)にある。


・語彙(ごい)力の問題:壁打ち以外の適切な言い換えを知らない


・運用の問題:言葉は知っているが、依頼する相手への配慮・選択を間違えている


 意図がどうであれ、結果的に聞き手に不快感を生んだのであれば、「壁打ち」という表現を選択したことはコミュニケーション上の失敗であり、「配慮を欠く」という批判は妥当だろう。


受け手の問題


 受け手側が壁打ちと聞いて不快に思うことは自由だ。しかし、この不快感を「自信過剰気味」などといった人格評価を伴う形で公開の場に投稿する行為が是とされるかはまた別だ。


 学生という社会経験の浅い人の発言を取り上げ「自信過剰気味」と断ずる行為は、若年層の萎縮を招き、世代間の分断を招く可能性がある。現に、今回の投稿は大きく「炎上」し、既に分断が生じている。


対立の不毛さ


 例えば「まだ固まっていない段階だが、現時点での率直な意見を伺いたい」「自分の意見に対しどう思うか伺う機会がほしい」などと言い替えれば、「壁打ち」という表現を用いなくても意図は十分伝わる。


 こんなささいな言い回しをきっかけに大炎上といえるほどの論争が起きたこと自体が、そもそも不毛ではないか。今回の対立はやはり、壁打ちという表現の是非よりも、「自信過剰気味」という人格否定が火種になったといえるだろう。


●小さな言葉の対立を、あなどってはいけない


 今回の事案の解決策はシンプルだ。依頼側は相手によって「壁打ち」という言葉を使うかどうか、見極めて言葉を選ぶべきだ。壁打ちという言葉自体がまだビジネスの場で浸透しきっていない以上、目上の人に対しては使わないのが無難だろう。


 また、受け手側は、相手の会話に違和感があれば本人へ直接伝えれば良い。いずれの立場であっても、当事者間の文脈に依存する個別的なコミュニケーションは、当事者間で処理すべきであり、外野が介入する余地はない。


 ただし、この事案をあなどってはいけない。なぜなら、人と人とのコミュニケーションは、まさにこのような小さな摩擦をきっかけに大きな対立に発展することがあるからだ。


 言い換えただけで避けられたはずの摩擦が、双方の人格攻撃の応酬により、世代間の対立にまで膨らんだ。こうした事態は、職場だけでなく家庭でも起こる可能性がある。


 裏を返せば、今目の前にいる相手への配慮と、相手の意図を汲もうとする姿勢こそが、職場の対立の芽を摘むもっとも健全な道である。相手に対する一つ一つの小さな配慮を軽視しないこと。それが本件から引き出すべき重要な学びだ。



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  • 「壁打ちさせてください」??「ご相談に乗ってもらう事は可能でしょうか?」だろうが…�फ�á��ܤ���फ�á��ܤ���फ�á��ܤ��
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