画像提供:マイナビニュース 北海道大学創基150周年記念事業・HBA連携講義「オリジナルノベルティ制作の実践で学ぶ商品開発とマーケティング」の最終(第6回)講義が7月2日、北海道札幌市のHBA本社で行われた。この日は、開催初年度だった昨年の9チームを上回る14チーム(うちオンライン参加3チーム)の計71人が最終プレゼンテーションに参加。4月中旬に始まった過去5回の講義の内容を踏まえたオリジナルノベルティのアイデアを披露した。
○広告・デザイン・ブランディングを幅広く学ぶ3か月
今回の講義が始まったのは、約3ヶ月前の4月16日だった。第1回は、グラフィック広告、テレビCMなど広告制作業務を幅広く手掛ける北海道博報堂クリエイティブディレクターの鏡浩二氏をゲストに招聘。オリエンテーションとノベルティ制作に必要な基礎的知識の講義が行われるとともに、HBAがサポートする北海道日本ハムファイターズの球団関係者も壇上に上がった。また翌週には、建築家でデザイン教育者の大塚裕介氏がゲストで登場し、ノベルティ案の検討を実施。商品・サービスを使用する典型的な顧客像を具体化するペルソナ設定、デザインとブランディングについて学んだ。
5月中旬の3回目は、2026年4月にクリエイティブ関連企業のTYPE3を立ち上げた滝田陽介氏が登壇。ノベルティのコンセプトの決定、コピーライティング講座へと進んだ。同月28日の4回目は、空知地方を拠点とするデザインチーム「空のアトリエ」代表の小菅謙三氏が来場。コンセプトの確定、見た目に限らず、使いやすさ、安全性、機能性などを含めたプロダクトデザイン(総合設計)講座で学びを深めた。
そして講義としては最後となる第5回は6月中旬。ノベルティの最終デザイン、パッケージの検討を行い、第6回の最終発表を迎えた。過去の講義に参加したゲスト4人に、最優秀賞を獲得したノベルティを実際に製作・配布するHBA執行役員の高野達氏、同社次長の南大介氏も審査員に加わり、14チームのプレゼンテーションが始まった。
○“バラマキ”と“プレミアム”の多彩なアイデアが集結!
HBAが今回のノベルティに期待する効果は、「ブランド認知度の向上」「集客・見込み客の獲得」「ブランディングできる」の3つ。参加した学生たちは、この要件を満たすうえで、多数配布を想定した「バラマキ用」、顧客へのブランド価値訴求を重視した「プレミアム」という、利用シーンに合わせた2種類のノベルティのプレゼンテーションを、わずか3分で行うことを求められた。評価基準は、(1)コンセプトの明確さ、(2)ターゲットへの訴求力、(3)創造性・独自性、(4)ブランド(HBAの企業理念やブランドイメージ)との親和性、(5)実現可能性・コスト意識、(6)プレゼンテーション力の6点だ。
学生たちの持ち時間は、審査員との質疑応答を含めてもたった6分。実際にプロトタイプ(試作品)を作成して視覚に訴えるチームもあれば、50歳代の社員に扮した寸劇などで実用性を強調するチームもあり、実務家の審査員たちも、最後まで賞の選定に頭を悩ませた。
例えば【TEAM3・get】は、「バラマキ用」として絆創膏を、「プレミアム」としてはマスキングテープを発表した。花火大会の会場で子どもが転んだり靴擦れを起こしたりした時に、その場ですぐ役立つバラマキ用のノベルティとして、絆創膏を提案。商品のキャッチコピーは「痛い傷口(エラー)、パッチで解決」。「傷口」にはあえてIT企業を想起させる「エラー」とルビを振り、「パッチ」には、ITシステムの不具合を修正する「パッチ」と、単に絆創膏を意味する「パッチ」という2つの意味を掛け合わせた。そこには、システムのエラーだけでなく、人の痛みや不安にも寄り添い解決するHBAという企業の姿勢も表現されており、最終的には見事に最優秀賞を獲得した。
getのプレゼンテーション終了後には、審査員から「バラマキ用もプレミアムもどちらも“貼る系”にしたのは何か意味があるのでしょうか?」という質問があった。学生が「HBAには、人に密着するヒューマニティや、さらに北海道への密着し、寄り添うという姿勢があると考え、“貼る系”にシフトしました」と返答すると、審査員が感心したようにうなずいた。
○最優秀賞バラマキ部門【TEAM3・get】江頭泰斗さん(北大文学部3年)
「これから社会人になるにあたって、ノベルティを作ることも、企業の方と関われるのも面白そうだと思い講義に参加しました。言うべきこと、伝えるべきことの「WHAT TO SAY」と、どのように伝えるか、どのような商品にするかという「HOW TO SAY」が、この授業の肝だったのかなと思っています。ターゲット層を設定するペルソナなど、商品作りに欠かせないことも実践的に学べました。将来の就職先候補にはHBAさんのようなIT企業もありますし、創造性が発揮できそうなマーケティングにも興味があります。就職活動が始まった時期に最優秀賞を取れたのは、めちゃめちゃ(心が)熱い。自信もつきました。」
○北海道博報堂・鏡浩二氏
「不慣れ&短い時間でまとめる、だったので大変だったと思います。プレゼンは“原稿を読む”よりも、“自分の言葉で説明する”ほうが圧倒的に伝わるので、これからたくさん経験を積んでいけるといいと思いました。最近の学生らしく皆さん真面目で、熱心に取り組んでいる様子が感じられました。こうした取り組みはチームでのモノづくりなので、人のアイデアを磨くことや、自分のアイデアが人の意見で磨かれるといった経験が多かったと思います。チームの人数がいるメリットは“作業の分担”ではなく“視点が多い”ということ。今後参加する学生さんにも、そうした『議論する創作』に興味を持っていただけると楽しめると思います。」
○北海道大学・大塚裕介氏
「昨年に比べ大幅に人数も増えましたが、参加生の熱意にさらに高まりを感じました。チームの問い、アイデアを明確に言語化するというプレゼンテーションの本質の力が試される時代。審査ではノベルティを手渡したときに、いかに企業のコンセプトが伝わるかに着目しました。AIを使用した生成画像使用が多い中、手作業で頑張ったチームには結果に関わらずデザインの入り口に立って作品を完成させたことに自信を持ってほしい。」
○空のアトリエ代表・小菅謙三氏
「限られた時間の中で、少しでもアイデアをカタチにできるように努める姿に共感し、可能な限り力になりたいと共鳴しました。プレゼンテーションはさまざまな制限があり緊張する場面であったと思いますが、その中で各々工夫していて感心しました。想いをカタチにすることが好きであることを前提に、その好きなことを続ける持久力を、人生の時々で工夫して養うこと、生きるとは、自分とは何者であるか、など根本的なことも含め、すべてを明らかにするような圧倒的な好奇心が、はたらく(はたはたの者を楽にする)ことに役立つと感じております。」
○TYPE3代表・滝田陽介氏
「(講義では)キャッチコピーの書き方を担当しましたが、参加の皆さんが非常に短時間で要点を自分のものにして、当日のディスカッションに臨んでいたのが印象的でした。また講義後の発表までの間にも、コピーとしての工夫が見られるものがいくつもあり、しっかりと学んだことが実地で生かされているという印象を持ちました。自分とチームが、面白がって時間をかけられるアイデアを見つけられるかどうかで、その後のクオリティは決まります。だから無理に形としてまとめようとせず、初期のアイデアを発想する時点で、本当に気に入るものを見つけるのが非常に大事です。ソツなくこなしたり、すぐに応用できそうなテクニックを使ったりする以上に、自分とチームが楽しむために、プロジェクトの取り組み方そのものを学んでもらえたらいいなと思います。」
○最優秀賞バラマキ部門・作品名「幸せのバトンタッチ(メッセージ入りの筒形パッケージの中にキャラメル)」【TEAM9・Narrow Desk】陰山夏希さん(北大経済学部2年)
「幸せのバトンタッチの方を選んでいただけたのは、私の中では『その通り』という感じでした。紆余曲折はありましたが、最終的にバトンという形に落ち着きました。OEMを検索するときに、私たちが5人でしたリサーチよりも、HBAの社員の方がされたリサーチの質が高く、『(うまくリサーチする)コツがあるのかな』と不思議に思ったことが印象に残りました。社会人として実際に仕事をされる方との(力量の)ギャップも感じました。そして商品に『何かキャッチコピーがある』というのは、すごく大きな発見でした。食品業界を目指しており、この夏に東京の企業で5日間のインターンに参加することが決まっていますので、今回の経験を十分に活かしたいと思います。」
○最優秀賞プレミアム部門・作品名「HBA、おかわりしたくなる会社です(ふりかけ)」【TEAM6・チーム和食】穴田莉可さん(北大医学部3年)
「将来は『食品系のメーカーに進みたい』『何かを生み出すことをしたい』と常々思っており、その練習になればと思って講義に参加しました。それぞれ所属している場所も学年も違う人が、はじめて会って、集まって、しかもたった数回の中でしたけど、『何かを作りたい』という同じ情熱を持って、ぶつけ合えたのは良かったと思います。ふりかけには自信がありましたが、他のチームもみなさま素晴らしいモノでしたので、『いやー、ちょっと厳しいのかな』と不安にもなりました。ただ最終的に賞をいただけて、本当にうれしかったですね。ふりかけの発想は“融合”という言葉から出てきました。HBAと他業種との“融合”の関係を表現するのに、『具材ができるだけたくさん入っているのがいい』というの始まりです。私は(医学部)保健学科ですので、健康を意識した(病気の)予防系の食事などを作れたらと思っています。」
○最優秀賞3作品は実際にノベルティグッズ化へ
今後は、今回のプレゼンテーションで最優秀賞を獲得した3作品のアイデアをベースとして、HBAのノベルティグッズが実際に制作される予定とのこと。そして9月21日(月・祝)に、北海道札幌市・大和ハウスプレミストドームで開催予定の「HBA Special Night 道新・秋華火」など、HBAが主催・協賛する今後のイベントで、来場者に配布される予定だ。
○そのほかの受賞作品
北海道博報堂賞【TEAM A・NEO ラボ】「Humanity key」(キーボードのキー)
TYPE3賞【TEAM2・Aプラス】「ノベルティグッズ詰め合わせ」
空のアトリエ賞【TEAM4・逆張り商事】「HBAマスターズ」(カードゲーム用カード)
北海道大学賞【TEAM10・Novelist】「スマホの寝ぶくろ」(スマホケース)(中島洋尚)