
中でも電気代の節約というと、省エネ家電への買い替えや電気料金プランの見直しに目が向きがちです。しかし、見落とされやすいのが、毎日のお風呂などで使うお湯をつくる給湯設備です。給湯は家庭のエネルギー消費の中でも大きな割合を占めており、設備を見直すことで電気代を大きく削減できる場合があります。
今回は、電気温水器からエコキュートに交換したことで、電気代を大幅に削減できた50代女性・S子さんの体験をご紹介します。
年間の電気代は約32万円。「なぜこんなに高いのか…」
S子さんは50代後半。70代の母、40代の妹と3人で暮らしています。家計を見直すため、3年前には冷蔵庫やエアコンを省エネタイプに買い替え、日頃から無駄な電気を使わないよう心掛けていました。それにもかかわらず、年間の電気代は約32万円。友人と電気代の話になった際、夫婦2人暮らしでオール電化の友人宅が年間約22万円だったことに驚きました。「オール電化の家庭よりも、わが家のほうが高いのはなぜだろう」と疑問を抱いたそうです。原因を調べるうちにたどり着いたのが、長年使っていた電気温水器でした。電気代の多くが給湯に費やされていたのです。
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電気温水器とエコキュートの仕組みの違い
電気温水器とエコキュート、どちらも「電気でお湯をつくる設備」ですが、お湯をつくる仕組みが大きく異なります。電気温水器は、電気ヒーターで水を直接温める仕組みです。シンプルな構造ですが、使うエネルギーはヒーターが発生する熱だけのため、電力消費が大きくなりやすいという特徴があります。
一方、エコキュートは、空気中の熱を取り込み、少ない電力で効率よくお湯をつくる「ヒートポンプ方式」を採用しています。電気だけでなく空気の熱も利用するため、消費電力を抑えられ、省エネ性能に優れているのです。この仕組みの違いが、電気代に大きな差をもたらします。
エコキュートへ交換した結果、電気代が大幅ダウン
S子さんは思い切ってエコキュートへ交換を決断しました。設置費用は本体約30万円、工事費約31万円で、合計約61万円でした。ここで重要なのが、補助金の活用です。
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気になる電気代は、以下のように変化しました。
2026年6月は設置月だったため大きな変化は見られませんでしたが、交換後初めて1カ月間フルで使用した7月の結果は以下の通りです。
・電気使用量:782kWh→415kWh(約47%減)
・電気料金:約2万3000円→約1万4000円(約9000円減)
この実績に基づくと、年間の電気代削減額は約10万〜12万円が見込まれます。実質負担額の約43万円を年間12万円で割ると、約3.6年で初期投資を回収できる計算です。
「給湯省エネ2026事業」とは?
「給湯省エネ2026事業」は、エコキュートなど高効率給湯器の導入を支援する国の補助制度です。|
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補助制度は予算の上限に達すると受付が終了する場合があります。交換を検討している人は、「給湯省エネ2026事業」の公式Webサイトや、お住まいの自治体のホームページで最新情報を確認しましょう。
参照:給湯省エネ2026事業【公式】
老後準備には「家の設備の点検」も忘れずに
老後の家計を考えるときは、預貯金や年金だけでなく、住まいの設備を見直すことも大切です。給湯器やエアコン、冷蔵庫など、長年使っている設備は、最新の省エネ機器へ買い替えることで、毎月の光熱費を大きく抑えられる場合があります。
とはいえ、全てを一度に交換する必要はありません。まずは、「何年使っているか」「故障の心配はないか」「光熱費への影響は大きいか」を確認し、優先順位を付けて計画的に更新していくことが大切です。
S子さんの事例では、エコキュートへの交換によって年間10万〜12万円程度の電気代削減が見込まれ、初期費用も約3.6年で回収できる計算となりました。
老後は収入が限られる一方で、光熱費などの固定費は長くかかり続けます。家の設備を「まだ使える」ではなく、「今の暮らしに合った設備か」という視点で見直すことが、将来の家計負担を軽くする第一歩になるでしょう。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))

