写真 1919年にアメリカで創業した「ビッグヤンク(BIG YANK)」は、実用的なディテールが全米のブルーワーカーから愛されたワークウェアブランドだ。1980年代に一度市場から姿を消したものの、その後ヴィンテージ市場で高い評価を得るようになり、希少なアイテムには数十万円の値段が付くことも珍しくない。「アナトミカ(ANATOMICA)」の日本展開などを手掛ける35SUMMERS代表 寺本欣児は、数多くのヴィンテージ収集を経て2012年に同ブランドの復刻アイテムの販売を開始。2025年には日本での版権を取得した。今回、2027年春夏コレクションの展示会で、ブランドのディレクションを担当する古着屋「ベルベルジン(BerBerJin)」店長 藤原裕に、ヴィンテージの復刻に対するこだわりや、今後の展望について話を聞いた。
「数あるワークシャツブランドのなかでもビッグヤンクは屈指の人気を誇る“王様”のような存在で、ジーンズにおける『リーバイス(Levi’s®)』のようなブランド」だと藤原は話し、自身も数多くのヴィンテージピースを所有しているという。その最大の特徴は、ポケットのデザインにある。ポケット上部が山形に尖った「山ポケット」や、胸の左右にそれぞれ異なったデザインのポケットをあしらった「ガチャポケ」と呼ばれる仕様は、ワーカーの利便性を追求して生まれたディテールだが、今やブランドを象徴するモチーフになっていると、藤原は語る。2027年春夏コレクションでは、ヴィンテージアイテムで定番のシャンブレー素材を用いたシャツに加え、寺本が所有するヴィンテージアイテムをアレンジし、オックスフォード素材を採用したガチャポケのシャツを揃える。
山ポケットは、当時のオリジナルアイテムには存在しなかったTシャツにもあしらわれている。これまで展開してきたホワイト、ブラック、ネイビーに加えて今季はエメラルドグリーンを追加。ポケットのサイズを調整するなど、アップデートを加えている。
さらに、今季のイチオシとして藤原が挙げるのが、米国を代表する小売企業でヴィンテージアイテムの人気も高い「シアーズ(SEARS)」の1950年代シャツジャケットをレファレンスにしたアイテムだ。
他にも、ビッグヤンク以外のヴィンテージを参照したアイテムを展開する。ボックスシルエットのオープンカラーシャツは、Tシャツと同様にエメラルドグリーンを新色として追加。また、米海軍のパンツから着想を得たデニムスラックスやショートパンツも発売する。デニムスラックスについては「ヴィンテージでも存在するが、理想的なサイズ・シルエットのアイテムに出合うことは難しい」(藤原)と語り、「シャツに合うパンツ」としてすっきりとしたシルエットを追求したという。
ウィメンズの需要にも応える。ベイクルーズグループ(BAYCREW'S GROUP)のブランドである「ザニーム(THENIME)」長尾悦美ディレクターの別注アイテムとして、ワークシャツをショート丈やワンピース仕様に仕立てたアイテムも展開する。
今後は品番を徐々に拡充させつつ、定番アイテムを固定して色展開で変化を付けていく方針。バッグや付属小物の追加も検討しており、ブランドの世界観をより立体的に表現していく考えだ。