画像提供:マイナビニュースいすゞ自動車といえば? 世代によって、思い浮かべるモノはさまざまだろう。名車「ジェミニ」の懐かしい姿が脳裏に去来する人もいれば、物流を支える大型トラックの雄姿を思い浮かべる人もいるはずだ。そんないすゞの歴史とクルマづくりを体感できる「いすゞプラザ」は、親子で行っても孫と行っても楽しめる施設である。
最新トラックやバスがズラリ
「いすゞプラザ」はいすゞ自動車の創立80周年記念事業の一環として2017年4月に開館した企業ミュージアムだ。「運ぶ」を支えるトラックやバスなど商用車の歴史や役割、クルマづくりの技術、名車と呼ばれた乗用車などを楽しく見て学べる体験施設となっている。
ちなみに、いすゞの社名は、三重県の伊勢神宮の境内を流れる清流「五十鈴川」(いすずがわ)から採っている。初期のロゴマークは「いすゞ」の文字の周りに12個のさざなみが描かれた、しゃれた美しいデザインが特徴だった。
1階の展示スペースは「『運ぶ』を支えるいすゞとは」がテーマ。普段はなかなか間近で見られない最新のトラックやバスを「さわって」「乗って」体験できる場所になっている。
高速道路などでよく見かける大型トラック「GIGA(ギガ) Gカーゴ」は全長11.97m、車両操縦量24.955トンという巨体で、そばに立つとその大きさに圧倒される。380PSを発生する9.8Lディーゼルエンジンで後軸4輪を駆動する、日本の物流を支える名車だ。
「エルフ ミオ」はいすゞが「だれでもトラック」をコンセプトに開発した小型トラック。普通自動車免許(AT限定含む)でも運転できるところが魅力で、トランスミッションは6速ATを採用している。
「エルガFCV」は2025年の「ジャパンモビリティショー」にも展示された、水素燃料電池をパワートレインとする環境に優しい路線バスだ。
ちょっと異色なクルマとしては、「オリーブドラブ」に塗られたトラック「SKW」を見ることができる。自衛隊が使用する輸送用車両だ。ぬかるんだ道路など、普通のトラックでは立ち往生するような悪路でも走破できる能力があり、災害時などには被災地に派遣され、人々や物資の輸送に活躍する車両となっている。
いすゞのくるまづくりを体験
2階はトラックがどんなふうにして作られるのか、実物を見て体験しながら知ることができるコーナーだ。施設では小学5年生の社会見学の受け入れを行っており、その視点での展示・企画が行われている。
ここには「エルフ」の20分の1スケールの生産ラインが再現されおり、調査企画、デザインから始まり、プレス、溶接、塗装、艤装工程への流れを見ることができる。
トラックの部品は小さいものから大きいものまで合わせて110万種類あり、ラインの長さは470mに及ぶ。2分に1台のスピードでラインは走り、組み立て後はスピードメーターやホイールアライメントなど、約400種類の検査が行われるという。
またドライビングシミュレーターは人気のコーナーで、子供たちは真剣な表情で運転に挑んでいた。
歴代の名車を見る
さらにその奥には、いすゞの試作部がレストアした必見の歴代名車や、数々のミニチュアモデルカーが展示してある。
1929年の「スミダM型バス」は日本初の国産乗合バス。座席数14で全20人乗りだ。戦後間もない1946年(昭和21年)に製造が始まった「TX80」は、戦争で荒廃した国の復興を支えたトラックである。
1963年の「エルフTLD20型」は、それまでのボンネット型トラックとは一線を画した2トン積みのフルキャブオーバートラック。積載量が増えたことでベストセラートラックとなった。
乗用車としては、1962年(昭和37年)にいすゞが独自開発したディーゼルエンジン搭載6人乗りの「ベレル」や、1974年にデビューしたグローバルモデルの初代「ジェミニ」などを見ることができた。
ミニチュアカーでは、いすゞが最初に作った「ウーズレーCP型」トラックや、ジウジアーロがデザインした名車「117クーペ」を展示。さらに1階のロビーでは、登場があまりにも早すぎたと言われた1997年のユニークなSUV「ビークロス」を見ることができた。
「運ぶがもっと自由になったら、どんなことができるでしょう?」をテーマとするコンセプトカー「VCCC」(Vertical Core Cycle Concept)も見ることができた。仕事に合わせて形が変えられる縦型フレーム構造と、クルマの大事な部品を繰り返し使える方式を採用ししており、「モノや人を必要な時に必要な場所へうまく運べる」仕組みを提案する未来の乗り物だ。
原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)