
「今年は◯日に帰るね」
「孫の顔を見せに行くよ」─子や孫からの帰省の連絡に、歓迎する返事をする。しかし、その心のうちは。
帰省についての“本音”
全国の子・孫を持つ50代以上の男女1000人に、帰省についての“本音”を聞いた。まずは全体の割合から。
「心から歓迎している」は37・8%。最多ではあるものの、4割に届かなかった。つまり親・祖父母世代は6割以上が子・孫の帰省に対し、100%の歓迎ではなく「う〜ん……」という感情だ。
次いで「ありがたいが、正直しんどいと感じる部分もある」が32%と肉薄。そして本心としては“拒否”となる「本音では帰ってきてほしくない」は5・7%。“しんどい”と“帰ってきてほしくない”を合わせると約4割─歓迎派とほぼ拮抗する結果に。
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ここからはより詳しい本音。まずは歓迎派の声。
「遠方にいるので、たまに帰ってきてくれるなら一緒に楽しむ予定を立てたい。孫が大きくなると学校の予定などが入り、帰省も少なくなるだろうから、今のうちに絆をつくりたい」(60歳・女性・パート)
「孫も大学生になり、じっくり話をできるのは、じじのすき焼きを食べながらが昔からのわが家のしきたり。楽しみにしている」(76歳・男性・無職)
「頻繁に連絡は取っているが、やはり直接会って現在の状況を把握したい」(53歳・女性・パート)
「日頃LINEで長文を送っても、だいたい『了解』のひと言で終わるので、帰ってきたときはウザいくらい話しかけたい」(64歳・女性・公務員)
中にはこんな決意も。
「私の実家が滞在費を取るタイプの毒親だったので、私は絶対同じことをしないで、いつでも実家には滞在してほしいと思っている」(53歳・女性・パート)
歓迎はするが、やはりそのためには必要なものが。
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「子どもも宝だが、孫はもっと宝。お金はかかるが会いたい気持ちには勝てない」(60歳・女性・パート)
「精神的・肉体的、加えて金銭的には負担となるが、それ以上に家族や孫に会える喜びが大きい」(69歳・男性・自営業)
“お金がかかる”は、どの立場の人にも大きな要素だった。
32%を占めた“しんどい派”の理由
一方、32%を占めた“しんどい派”の理由は、驚くほど共通している。食事の支度、布団の準備、後片づけ─家事だ。
「掃除から布団を干して寝る場所の確保。帰省中の献立を考えて買い出し、食事の準備、後片づけ、洗濯、その他もろもろ。誰か手伝ってくれるわけでもなく、こちらも年を重ねてきて、だんだんとツラくなってきた」(61歳・女性・専業主婦)
「みんなが帰ってくるとなるとテーブルを出して、座布団を出して……普段の家事の10倍くらいすることがある。孫や子どもが来てくれるのはうれしいが、帰ってくれたらもっとうれしく思う」(64歳・女性・専業主婦)
最後の一文のような感情は複数人が回答。“来てくれたらうれしい、帰ってくれたらもっとうれしい”。
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人間関係の気疲れを挙げる声も多い。
「息子の嫁に気を使う」(66歳・男性・自営業)、「孫だけならいいが、娘の旦那と会話が弾まない」(67歳・男性・自営業)
実の子はよくても、その配偶者は……という本音は、男女双方から漏れた。
帰省という非日常にしんどさを感じる声も多々。
「騒がしくなる」(73歳・男性・自由業)、「生活のリズムが乱れる」(74歳・女性・専業主婦)、「ミニマリストなのに孫のおもちゃなど物が増える」(57歳・女性・パート)
帰省を拒否したい親たちのホンネ
割合としては少数派ながら、全体の5・7%の親・祖父母が帰省について“拒否”の気持ち。その文面はいずれも長文で……。
「旅館の女将じゃない。めちゃしんどい。家族5人分の洗濯までするのが当たり前のように思っているお嫁様にひと言も言えず心身で疲労困憊。最近は“ユニバで遊べるよ”という口実でホテルを予約してやり、わが家への宿泊を回避している」(68歳・女性・パート)
ホテル代を負担してでも、わが家に泊めたくない─。ここまでの対策を取らせる帰省の負担……。
「母を介護していて夜間の睡眠が十分に取れない状態で、帰省されたらその子たちの面倒も見なければならない」(66歳・女性・会社員)という、老老介護と帰省対応の板挟みの声もあった。
今回のアンケートで最も鮮明だったのは、男女差。
男性は49%が「心から歓迎」と答えたのに対し、女性はわずか26・6%。逆に「しんどい」は男性22・6%に対し女性41・4%。「帰ってきてほしくない」も男性3・2%、女性8・2%。“しんどい”“帰ってきてほしくない”を合わせたネガティブ寄りの回答は、女性では実に半数近く(49・6%)に上り、男性(25・8%)のほぼ倍だった。
この差の理由は、しんどい派の理由を読めば明らかだろう。買い出し、料理、布団、洗濯、掃除─帰省の“実務”を担うのは、多くの家庭で妻だ。実際、妻・祖母の職業を“専業主婦”に限ると「しんどい」(47・7%)と「帰ってきてほしくない」(10・2%)で6割近くに達した。
「孫の顔が見たい」と目を細める夫の隣で、妻は献立と寝床の算段をしている。
年代別では、70代の「しんどい」が41%と50代(25・4%)より大幅に高い。体力の衰えとともに、喜びより負担が上回っていく現実……。「今はまだ若いので頑張れるが、10年、20年先はできないかもしれない」(57歳・女性・専業主婦)という声は、そんな未来に対しての自らの予告なのか。
「どちらとも言えない」派の理由
一方、今回のアンケートでは、「どちらとも言えない」が24・5%。
「独身の娘が帰省するのは大歓迎。帰省のタイミングで温泉旅行をプレゼントしてくれたりするし毎日の会話も楽しい。既婚の娘の家族や孫が来るのはしんどい。金銭的負担が非常に大きいし、食事も大変」(65歳・女性・無職)
嫌なのは“帰省”ではない。一方的にもてなしを強いられる役割─。
あなたは今、“帰省”において、帰る側? それとも迎える側? もし今現在帰る側の人も、いつかは迎える側になるかもしれない。ごちそうや寝床を待つだけでは、いつかあなたも苦労する側になるかも……。
そして迎える側となっている人は、不満があれば、多少の本音は漏らしても、ご先祖様だって文句は言わないのでは……。
週刊女性2026年8月18日・25日号
