
今回は、歌い手の白奇さんが7月24日に投稿したオリジナル曲「簒奪」を紹介する。
本作は、昨年開催された歌コレ2025年秋の【buzzG部門】を介して、ボカロP・buzzGさんが白奇さんのために書き下ろした1曲だ。
文/小町 碧音(こまち みお)
ストーリー性を持ったボカロ曲がシーンを席巻していた全盛期から楽曲を送り出してきたbuzzGさんのキャリアのなかで、その作風は実に幅広い。ロックでエッジの効いたギターサウンドを前面に押し出す一方、「しわ」や「ワールド・ランプシェード」のように叙情的な歌詞が印象的な曲もまた、彼の代表曲として長く聴き継がれている。
buzzG部門では、公式から指定された既発曲の歌ってみた動画を歌い手たちが投稿し、そのなかからbuzzGさん本人が優勝曲をセレクトする。同部門の醍醐味は、なんといっても「楽曲1曲を書き下ろしてもらえる権利」が懸かっていることだろう。メインとなる投稿ランキング部門の【TOP100】とはまた違う角度から用意された、歌い手にとっての登竜門的なコラボ企画といえる。
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その舞台で「インターネッツ・ディスコ」を歌い、見事頂点に輝いたのが白奇さん。2024年1月に歌い手デビューを果たし、歌コレにもこれまで歌ってみた動画を投稿し続けてきた有望株である。
そうして書き下ろされた「簒奪」は、「インターネッツ・ディスコ」で覗かせたクールなボーカルワークを、さらに一段引き上げた作品になっている。重厚でドライブ感あふれるバンドサウンドと灰汁のある歌声が邂逅した、その瞬間だった。筆者の脳天に雷が落ちたのは。
やはりハイライトは、ブリブリと暴れるベースラインで耳を奪うサウンドメイクが、白奇さんの歌声の輪郭をくっきりと立ち上がらせているところだ。低音の圧に押し負けるどころか、その厚みを味方につけて声が前へと抜けてくる。
描かれているのは、倫理観の欠落したヒロインが、狡猾な手段でカリスマの座に成り代わっていく“歪”な物語。毒気と危うさの漂うグラマラスな世界観も相まって、歌声の持つポテンシャルがかえって押し広げられているようにも感じられた。
ベテランボカロPであるbuzzGさんといえば、ストーリー性のある作品群が浮かぶが、本作が狂気性をはらんだ現代的ボカロサウンドとして鳴っていることには、改めてシーンの真ん中で深化を続ける彼の凄みを実感した。<他人を使い捨ててきた罰は 死んだら閻魔様から受けるので 続けよう 身勝手な簒奪を>とラストスパートで一気に畳み掛ける展開も必聴だ。
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なお、buzzGさんのアカウントでは重音テトSVをフィーチャーした原曲も投稿されているので、ぜひあわせてチェックしてほしい。
■楽曲配信情報「歌踊コレ」 公式サイト
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