
レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
さて、現在主流のスマホは前面に大きくディスプレーが配置され、あまり個性がありません。一方、平成のケータイは、その形状からデザインできる要素も多く、個性的な機種がいくつもありました。
象徴的なのが2003年10月にauから発売されたINFOBAR。性能重視の時代に、デザインにこだわった携帯電話を多数開発したKDDIの企画「au Design project」の最初の機種でした。今回はその次に誕生した機種を紹介したいと思います。
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INFOBARの発売直後に発表され、そこからわずか2ヵ月後の03年12月に発売されたのがプロジェクトの第2弾となる「W11K」。デザインはINFOBARと同じく深澤直人さんが手がけ、製造は京セラでした。
W11K AKA。ボタン部分は黒。INFOBARとは異なり、折り畳みヒンジ部分に回転式カメラレンズを配置しメイン画面でプレビューしながらの自撮りに対応
ふたつ折り端末が主流の時代にストレート端末だったINFOBARとは違い、W11Kは時代の流れに応じたふたつ折り。しかし、多くの携帯電話のような流線形ではなく、INFOBARに通ずる直線的な外観でした。切ったジャガイモを意識したというデザインは、さながらピーラーを使わずナイフでジャガイモの曲面を切り落としたような形状です。
3D格闘ゲーム『バーチャファイター』初代のカクカクしたローポリゴンにも似ており、さらにさかのぼるなら、抽象化した木彫りの民芸品やそれを模した磁器の置物など、伝統的な意匠にも通ずる革新的なデザインでした。
W11K KURO。ほかにホワイト(SHIRO)もラインナップされた
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INFOBARのバリエーションの名称にはNISHIKIGOIやICHIMATSUのように日本語をローマ字にしたものがありました。W11Kもまたカラーバリエーションの名称がAKA、KURO、SHIROとローマ字になっており、INFOBARの世界観を継承しているように感じるものとなっています。
今こそW11Kにも注目していただき、デザイン重視の携帯電話が再評価され、画一的なスマホデザインにも影響を与えてほしいところです。
撮影/榊 智朗
