和紙で作られた風船爆弾について話す小川町立図書館の新田文子館長=7月1日、埼玉県小川町 風船爆弾は直径約10メートルの紙製気球に爆弾をつるすため、作製には膨大な量の紙が必要とされた。生産を支えたのは全国の伝統ある和紙産地で、各地の博物館などの担当者は「伝統の和紙が戦争に利用されていた歴史も知ってほしい」と話す。
気球に使う紙の開発拠点となったのは、厚手で丈夫な「細川紙」が古くから作られていた埼玉県小川町だった。しかし、開発を依頼されたのは、ごく薄い和紙だったため、職人は試行錯誤を重ね、手のひらが透けるほど薄い和紙を完成させた。
こうした歴史を未来に伝えるため、小川町立図書館は2011年から戦争をテーマとした展示を開催している。新田文子館長は「和紙生産を通じて、町全体が戦争に関わっていたことを伝え続けたい」と話す。
風船爆弾の和紙は、紙の原料となる良質な楮(こうぞ)が多く採れ、昔から「土佐和紙」で有名な高知県内でも作られた。いの町の「紙の博物館」では土佐和紙の歴史の一つとして風船爆弾を紹介している。学芸員の田辺翔さんは「和紙と爆弾は結び付かないかもしれないが、和紙も戦争に利用されたという事実を知ってほしい」と語る。

和紙で作られた風船爆弾について話す小川町立図書館の新田文子館長=7月1日、埼玉県小川町