
ロシアのプーチン大統領による北方領土訪問は、日本に大きな衝撃を与えましたが、ロシアは日本からの抗議に反発しています。政府は今後、どのように対応していくのでしょうか。
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プーチン氏が北方領土を訪問 翻弄される日本政府高柳光希キャスター:
13日、プーチン大統領が初めて北方領土を訪問しました。
北方領土は、北海道の北東に位置する▼国後島、▼択捉島、▼色丹島、▼歯舞群島から成ります。プーチン大統領が今回訪問したのは、択捉島です。
1945年、ロシア(旧ソ連)による占領で日本人は強制退去となり、現在はロシアによる実効支配が続いています。
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プーチン大統領の今回の訪問は、その支配力を国内外に見せつけた形となりました。
日本はこれに強く抗議しなければ、黙認したことになりかねません。
プーチン大統領は、2024年に北方領土には「必ず行く」と訪問を公言しており、日本側は訪問しないよう、繰り返し申し入れをしていました。
択捉島を訪問する前日の12日、プーチン大統領は近くにある極東サハリン州を訪問していたため、外務省幹部も「注視はしていた」ということです。
政府側は当日どのような状況だったのでしょうか。
TBS報道局政治部 外務省キャップ 大崎雅基 記者:
私たち記者は普段は外務省内の記者クラブにいますが、お盆ということもあり、静かで落ち着いた雰囲気でした。
しかし、13日正午ごろにプーチン大統領の訪問が報じられたことで、怒涛の一日となりました。
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▼13日正午ごろ:プーチン大統領の訪問が報じられる
▼午後0時半ごろ:外務省幹部が急いで対応
▼午後0時57分:外務省がXで抗議文発信
▼午後6時ごろ:茂木外務大臣が駐日ロシア大使へ抗議
出水麻衣キャスター:
安倍総理の時代は外交ルートがかなりありましたが、今はそのルートが途切れてしまっているということでしょうか。
TBS報道局政治部 大崎記者:
色々な見方がありますが、以前ほど外交ルートのチャンネルを持つことができていないというのが実情のようです。
高柳キャスター:
そもそもプーチン大統領はなぜ、このタイミングで訪問したのでしょうか。
防衛研究所の兵頭慎治研究幹事によると、2つの狙いがあるといいます。
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▼9月のロシア下院選挙
「領土問題を妥協しない」とロシア国内に向け“強いリーダー”を主張
▼ウクライナ侵攻の長期化
ロシアに対し、経済制裁を科している日本への揺さぶり
日本としては、より強く抗議できないものなのでしょうか。
TBS報道局政治部 大崎記者:
外交における抗議としては様々な手段があります。「文書による抗議」と「外務省への大使呼び出し」は13日のうちに行われました。
新しい動きとして、ロシアが日本に抗議するため、ラブロフ外相が現地の武藤大使をロシア外務省に呼び出しました。JNNの取材クルーも、武藤大使が外務省に入っていくのを確認しており、日本に対して抗議の意を伝えたと思われます。
さらに強い抗議の意思を示すために、「自国の大使を一時帰国させる」という手段もあります。
ただし、外務省内には「これをやると対話のチャンネルが失われてしまう」と否定的な意見もあります。
「国交断絶」や「大使館の閉鎖」といった手段はかなり強烈で、アメリカが過去にロシアの総領事館を閉鎖したり、イランと国交断絶したりしたことはありますが、日本がこれを行ったことはありません。
岸谷蘭丸さん:
大使館の閉鎖は今までやったことはあるのでしょうか。
TBS報道局政治部 大崎記者:
アフリカなどで治安状況が悪化し、安全上の理由から閉鎖をしたということはありますが、抗議としての閉鎖は私のほうでは確認できませんでした。
高柳キャスター:
日本としてなかなか強く出られない理由の一つが、液化天然ガス(LNG)です。
液化天然ガスは、火力発電の燃料や都市ガスの原料などに使われます。
【日本のLNG輸入先】※2025年財務省貿易統計より
▼オーストラリア:39.7%
▼マレーシア:14.8%
▼ロシア:8.9%
▼アメリカ:6.9%
▼インドネシア:6.0%
▼その他
日本はロシアからその約1割を輸入しており、この影響もかなり大きいということですね。
TBS報道局政治部 大崎記者:
ウクライナ侵攻後、日本はロシアに対して制裁を行っており、さらに輸出規制を強めるべきだという意見もあります。ただ、中東情勢の影響で日本はエネルギーの多角化を進めています。
このLNGは制裁対象から外れているため、日本は輸入を続けていて、国民の生活のためにもこのエネルギーを手放したくない状況で、非常に難しい立場に立たされています。
高柳キャスター:
では、日本としてはどう抗議していくのでしょうか。
TBS報道局政治部 大崎記者:
プーチン大統領は「北方領土はロシア領だ」と一貫して主張していて、非常に難しいのが現状です。
その中でも日本政府はこれまでの立場を変えず、対話のチャンネルを作りながら、粘り強く国際社会に発信し続けていくしかないという、非常にバランスの難しい外交が求められています。
井上貴博キャスター:
日本としては変わらず正当性を世界に訴えていくことしかないと思います。
厄介だと思うのは、アメリカのトランプ大統領も力による現状変更を容認するような姿勢を見せているため、ロシアだけだめで、アメリカはなぜ良いのかというロジックも働きかねない点です。
また、中国は今回、明確にロシアに肩入れするような発信をしているので、外堀が埋められつつあり、日本の足元は完全に見透かされているような感じがします。
高市政権は強気の外交を行ってきましたが、できることが少ないと思います。
岸谷蘭丸さん:
強気に出るといっても、状況は徐々に悪くなっているような印象です。
国際法が機能しないということが世界中のみんなにわかってしまっていると思うので、国際的なプレゼンスを経済面で上げていくということくらいしか思いつかないような気もします。
日本は資源がない国ですし、自国を経済的にも技術的にも発展させていくことが結果として、他国や国際社会でのプレゼンスのアピールになると感じています。
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<プロフィール>
大崎雅基
TBS報道局 政治部 外務省キャップ
プーチン大統領の電撃訪問で昼食を食べ逃す
岸谷蘭丸さん
教育事業家
ボッコーニ大学在学中
海外大受験や英語試験対策の会社を経営
