《退位のおことばから10年》上皇さまが訴えた「全身全霊で象徴の務めを果たす」…“旧宮家の養子”に問いたい「覚悟」

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2026年08月23日 20:00  週刊女性PRIME

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「第60回全日本高等学校馬術競技大会」開会式に出席し、選手たちを拍手で激励(2026年7月24日)

「皆様は日々、心をこめて馬に接し、馬と気持ちを通い合わせてさまざまな練習に励み、多くの課題を乗り越えてこられたことでしょう。この後、初めて出会った馬とともに競技に臨む際にも、これまでの経験が皆様を支えてくれると思います。皆様が馬と一体となって、積み重ねてきた努力の成果を存分に発揮できるよう応援しています」

馬術競技大会開会式に出席した佳子さま

 秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さまは7月24日、静岡県御殿場市の市馬術・スポーツセンターで開催された「第60回全日本高等学校馬術競技大会」の開会式に出席した。

 開会式では、出場する36チームの選手たちを前に、冒頭のおことばを述べた。報道によればこの後、佳子さまは、大会関係者から説明を受けながら馬術競技を観戦し、「動物と競技をするというのは難しく、奥が深いのですね」などと感想を述べたという。

「今年の大会テーマは『輝く稲穂に廻らす想い おがれ若人 美の国秋田に今集え』であります。参加される皆様が、日頃培ってこられた創造性を発揮し、黄金色に輝く稲穂のごとく、多様な才能を実らせ、飛躍していかれることを期待いたします」

 秋篠宮ご夫妻は7月26日、秋田市のあきた芸術劇場ミルハスで行われた「第50回全国高等学校総合文化祭 あきた総文2026」の総合開会式に出席した。この大会は、「文化部のインターハイ」とも呼ばれ、1977年から、全国の都道府県が持ち回りで開いている。

 今年は第50回という節目の大会となり、8月1日までの期間中、演劇や書道、茶道、華道など計22部門に約2万人の高校生が参加した。

 秋篠宮さまは、総合開会式で前述したように挨拶し、高校生たちを激励していた。

 翌27日、秋篠宮ご夫妻は秋田市の県立美術館を訪れ、写真部門の優秀作品を鑑賞。その後、同市内の体育館で、書道部門の作品を熱心に見て回った。

「私も80を越え、体力の面などからさまざまな制約を覚えることもあり、ここ数年、天皇としての自らの歩みを振り返るとともに、この先の自分のあり方や務めにつき、思いを致すようになりました。

(中略)次第に進む身体の衰えを考慮するとき、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」

 2016年8月8日、上皇さま(当時は天皇陛下)は、「社会の高齢化が進む中、天皇もまた高齢となった場合、どのようなあり方が望ましいか」についての考えを、前述したように、国民に向けたビデオメッセージという形で発表した。

 いわゆる「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」として世に知られているが、当時、佳子さまは21歳で大学生だった。

10年という大きな節目

 今年8月8日は、あの日から、ちょうど10年という大きな節目にあたった。

 当時、上皇さまは82歳で、高齢による体力面のさまざまな不安を感じていた。そして、終身天皇を前提とする制度の問題点にふれ、生前退位の意向を強く示唆したのである。

 天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的にふれることは控えるとした上で、上皇さまはビデオメッセージで約10分間にわたり個人的な考えを述べた。当時の安倍晋三首相は、次のように記者団に語っている。

「天皇陛下が、国民に向けてご発言されたということを重く受け止めている。
(中略)ご公務のあり方などについては、天皇陛下のご年齢やご公務の負担の現状に鑑みるとき、天皇陛下のご心労に思いを致し、どのようなことができるのか、しっかりと考えていかなければならない」

 翌年の2017年6月、天皇陛下の退位を実現する特例法が成立した。2019年4月30日、陛下は退位し、5月1日、皇太子さま(現在の天皇陛下)が即位した。新しい時代「令和」が幕を開けたのだった。

 上皇さまの「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」の次の箇所に、私は感動した。

「私が天皇の位についてから、ほぼ28年、この間、私は、わが国における多くの喜びのとき、また悲しみのときを、人々とともに過ごしてきました。私はこれまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えてきましたが、同時に事にあたっては、ときとして人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えてきました。

 天皇が象徴であるとともに、国民統合の象徴としての役割を果たすためには、天皇が国民に、天皇という象徴の立場への理解を求めるとともに、天皇もまた、自らのありように深く心し、国民に対する理解を深め、常に国民とともにある自覚を自らの内に育てる必要を感じてきました。

 こうした意味において、日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じてきました。皇太子の時代も含め、これまで私が皇后とともに行ってきたほぼ全国に及ぶ旅は、国内のどこにおいても、その地域を愛し、その共同体を地道に支える市井の人々のあることを私に認識させ、私がこの認識をもって、天皇として大切な、国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは、幸せなことでした」

 上皇さまの長年の経験に裏打ちされたその一語、一語の持つ意味はとても重くて、深い。

 上皇さまは「象徴とは何か」を、いつもひたむきに、自らに問い続けてきた。その長く険しい旅路の果てにつかんだ答えが、「おことば」に凝縮されていると思う。

 何よりも「全身全霊をもって象徴の務めを果たしていく」という文章に、私は強く心を揺さぶられた。

 改正皇室典範が成立した。旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎えることで、これからも象徴天皇制は安定して維持できるのだろうかと、今でも疑問に感じている。上皇さまの「おことば」をじっくり味わいながら私は、もし養子や養親になる人たちが出てきたら、上皇さまが訴えた、その覚悟はできているのかと聞いてみたい。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に2025年4月刊行の『悠仁さま』(講談社)や『秋篠宮』(小学館)など

週刊女性2026年9月1日号

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